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ドラマのことを語る


❲名もなき毒❳
・宮部みゆきの小説2作を2013年にドラマ化。小泉孝太郎が大企業会長の娘と結婚したサラリーマンを演じる杉村三郎シリーズ。会社の広報室に持ち込まれる案件の探偵役となる。義実家に頼るつもりはなくても、妻との金銭感覚の違いは隠せない。国仲涼子の無自覚なお嬢様ぶりも自然。
・自転車事故で父親を亡くした姉妹から依頼され、事件の真相と父親の過去を調べる1〜5話の原作は『誰か Somebody』。事件だけでなく姉妹の日常まで探ってしまい、資産家の親族となったことへの罵声を受ける。チャライ南沢奈央と堅実な深田恭子の組み合わせの違和感をそれぞれの罵声で吹き飛ばす。特に正論に反発する深田恭子が力強い。傍から見れば孤独や生活不安がない杉村だからこそ正論を言えるように見えてしまう。
・飲料への毒物混入事件扱った6〜11話が『名もなき毒』に相当。宮部みゆきは同情できないヤバイ人を描くことも多いが、江口のりこ演じる周りに敵意を剥き出しにするアルバイトは典型。ただコミュ力低めの立場にも言い分はあるで。理解できない人に怯える一般人の構図だと、宮部みゆきは“世間”を描くのが上手い人だと思える。一方で再婚しようとする父親に反発して、ガンバれない相手女性を詰問する娘役の真矢みきは鉄板。世間に寄り添いつつ世間の醜い部分も漏らさない。