ある秋の日、大往生を遂げた男の通夜に親戚たちが集まった。子、孫、ひ孫三十人あまり。縁者同士の一夜の何気ないふるまいが、死と生をめぐる一人一人の思考と記憶を呼び起こし、重なり合う生の断片の中から、永遠の時間が現出する。「傑作」と評された第154回芥川賞受賞作に、単行本未収録作「夜曲」を加える。
グンナー・アスプルンド、アルヴァ・アアルト、アルネ・ヤコブセン、ヨーン・ウッツォン…7人の建築家の夢ー家族と過ごした時間と空間。
無名の陶芸家が生み出した美しい青磁の壷。売られ盗まれ、十余年後に作者と再会するまでに壷が映し出した数々の人生。定年退職後の虚無を味わう夫婦、戦前の上流社会を懐かしむ老婆、四十五年ぶりにスペインに帰郷する修道女、観察眼に自信を持つ美術評論家。人間の有為転変を鮮やかに描いた有吉文学の傑作。
不登校児は全国24万人。その処方箋にもなる実話マンガ。大原家の次男、レイが中学校に行けなくなった。大量の課題(宿題)に追い詰められ、オンラインゲームに逃避。スクールカウンセリングでは発達障害が疑われ、さらに“体罰”を受けていたことも発覚し…。問題山積のなか、レイは学校に戻れるのか…!?
ベストセラー『クラシックCDの名盤』から九年。曲目大量追加、推薦盤大幅入れ替えを行い増補改訂。一曲ずつ三者が丁々発止を繰り広げるスタイルは旧版同様。ファン必携の永久保存版。
八丁堀同心・畝源三郎の嫡男・源太郎も、はや七歳。いつもよりしおらしい麻生家の花世が気にかかる。花世の歯痛を治そうとして、幼い二人が偶然巻き込まれたのは…。表題作ほか、東吾とるいに待望の長子誕生の顛末を描いた「立春大吉」「虹のおもかげ」「狸穴坂の医者」など全八篇。江戸の春とともに旅籠「かわせみ」にも春の訪れか。
なってみないとわからない、あの「おキモチ」。第19回えほん大賞絵本部門大賞受賞作品。
友だちとうまくいかなくなった時、恋人と別れた時、どうすればいいのか、いつも本が教えてくれた。村上春樹「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」、宮下奈都「羊と鋼の森」、吉田修一「パレード」、西加奈子「サラバ!」…。大切な本を通して、人生のターニングポイントとなる瞬間を切り取った、瑞々しい初エッセイ。
人口も規模も世界最大の、古代都市ローマ。タイムスリップしてそこを訪れるとしたら?そんな想定で作られたのが、このトラベル・ガイドブックだ。イタリアまでの船旅の手配、快適な宿屋探しのコツ、お得なショッピング情報等々、アドバイスが満載。豪華な宮殿、にぎやかなフォルム、豪壮なパンテオンやユピテル神殿など名所はもちろん、公衆浴場や売春宿、戦車競走や剣闘士の死闘などのエンターテインメントまで、あますところなく紹介。ローマ豆知識コーナーや、多数のカラー図版、役に立つラテン語会話集を完備した文庫オリジナル。いまだかつてだれも思いつかなかった観光案内。