海坂藩士・葛西馨之介は周囲が向ける愍笑の眼をある時期から感じていた。18年前の父の横死と関係があるらしい。久しぶりに同門の貝沼金吾に誘われ屋敷へ行くと、待っていた藩重役から、中老暗殺を引き受けろと言われるー武士の非情な掟の世界を、端正な文体と緻密な構成で描いた直木賞受賞作と他4篇。
筆頭家老の家に生まれ。一生裕福で平和に暮らせるはずだった大石内蔵助の人生は、主君が起こした松の廊下の刃傷事件によって暗転する。不公平な幕府の裁定を前に、籠城だ仇討だといきり立つ藩士たち。内蔵助は彼らをのらりくらりとかわしながら、「藩士どもを殺してたまるか!」とお家再興に向けて奔走する。しかし、下からは突き上げられ、上からはそっぽを向かれる四面楚歌。やってられるか、こんなこと!役割や責任なんて投げ出せたら楽になれるのに…。人間・内蔵助を等身大で描く、新たな忠臣蔵。
綱渡りの如く心身のバランスをとりながら、医師で作家という二足の草鞋を履いて四十余年。今、定年退職し、地元の男たちと山から伐り出した材で小屋を建て、岩魚を食し、酒を呑む。その場に現れるのは祖母、母、父、姉、山遊びの先達ら先に逝った懐かしい人びと。生と死の境を淡々と越える真摯でユーモラスな傑作私小説集。
『ザボンの花』から庄野潤三独特の家庭小説が始まる。これは、著者にとって最初の長篇小説であり、麦畑の中の矢牧家は、彼がまさに創りつつある、新しい家庭であり、生活を愛し育んでいく本質と主張を、完成度の高い文学作品にしあげている。一生のうち、書くべき一番いい時に書かれ、やがて『静物』『夕べの雲』へ続く作品群の起点でもある。
副業で殺し屋を営む経営コンサルタントの富澤允。その仕事は丁寧で、安定と信頼の殺し屋として引く手数多だ。しかし彼には、標的の何気ない行動が気になり、その謎を解かずにはいられないという奇妙な癖があった。そんな中、富澤の前に、商売敵が現れてー。日常の謎を殺し屋が解き明かすシリーズ、第二弾。
ミラーゲーム。犯人をさがせ。テレパシーゲーム。船長さんの命令。背中合わせで立ちましょう。五人組、体じゃんけん。3、4文字口パクあてクイズ…ルール、使い方、所要時間など活用の目安を入れ、パッと使えるノウハウを紹介!全ゲーム、QRコード付き。スマホをかざすだけで、全体像クッキリ。
「線がみつけられない」「みわけがつかない」を解消。フルカラーでチェックするポイントがわかりやすい。線のはじまりと終わりに注目するシンプルメソッド。手相早見表でみている手相がすぐわかる。
「ほかに好きなひとができた」-次から次へと女性とつきあい、すぐにそう別れを告げる男・神崎登吾。唐突な別れを受け入れられない萠は、姿を消した彼を追い、自分より前の交際相手、登吾の同級生、親戚などを訪ねて回る。彼に運命を捻じ曲げられた人々の証言から、徐々に浮き彫りになる登吾の過去。そして萠が最後に辿り着いてしまった、衝撃の真実とは。戦慄の傑作サスペンス。