著者自らが「最高傑作」という本作は、探検家としても作家としても心身に力が漲る40〜41歳の間に成し遂げられた。太陽の昇らない冬の極地を旅するという、未知の冒険。極寒の闇の中で起きたことはすべてが想定外だった。犬一匹と数十キロの橇を引き、4カ月ぶりに太陽を見たとき、著者は何を感じたのか。第1回ヤフーニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞&大佛次郎賞W受賞。
…途中で離れてしまわぬように。愛しい人を守り続ける、時を超えた想い。神様と女子高生をつなぐご縁とは!?
急逝した友人が抱え続けた、空襲の夜の母子の秘密。狂気をはらむ年上の女との情交に囚われた学生時代の友人。そして防空壕の底で爆音に怯えた幼時の自分。生涯の記憶は、老年の男の身の内で響きあう。戦後の時空間にひしめく死者の声とエロス、現代の生の実相を重層的に描いた長篇小説。
あるところにくまさんのしゅげいやさんがありました。くまさんはなにかをつくるのがだいすきです。
大正14年、第一書房から刊行されたこの秀逸な訳詩集は、日本の現代詩に多大な影響を与えた。のみならず、多くの読者に愛読され続けた。訳者自身による度々の改訳のあと、著者満60歳、全面にわたり改訳された昭和27年白水社版、上田敏『海潮音』と並ぶ、雅趣豊かな名翻訳詩『月下の一群』。
昭和八年、共産主義者弾圧の嵐が吹き荒れ、多くの若い華族が逮捕された。その中に紅一点、維新の元勲・岩倉具視のひ孫がいたー。岩倉靖子、二十歳。転向を拒否し、八ヵ月半を獄中で過ごした靖子は、信仰に光を見出すが…。「おっとりしたおとなしい」少女に一体何が起きたのか。貴重な資料や手記を紐解きながら、出自と時代に翻弄された令嬢の悲劇に迫る。
ひもがいっぽんありました。だれかがそれを「わ」にしました。ゆびにかけてあそんでいたら、あらあらふしぎ。いろんなかたちができました。やま、かわ、とり、むし、さかな…どんどんかたちがかわったり、おとなりさんととりあったりして、とってもたのしくあそべたよ。
「犬をかいたいんだけど」ってぼくがいっても、ママは「だめ」っていうんだ。だからある日、「ドラゴンをかいたいんだけど」っていってみた。そしたら…?おしゃれなママとかしこいぼうやの、ユーモラスな絵本。
ハマを興奮の渦に巻き込んだ『横浜大戦争』の続編が文庫化!横浜各区の土地神である中の神、西の神、保土ケ谷の神が明治時代へ飛ばされた!戸惑う神々へ手助けを申し出た商家の娘・れんげが誘拐され、神々は奪還を決意。れんげの運命やいかに!?神々は現代に戻れるのか!?濃厚な文庫版特別付録「神々名鑑と掌編」も必読!
現実に内在し、ときに露呈する強度の現実としての超現実ーシュルレアリスム。20世紀はじめに登場したこの思想と運動について、ブルトンやエルンストを中心に語り、さらに「メルヘン」「ユートピア」へと自在に視野をひろげてゆく傑作講義。文学・芸術・文化を縦横にへめぐり、迷路・楽園・夜・無秩序・非合理性などをふたたび称揚するとともに、擬似ユートピア的な現代の日本を痛烈に批判する。いま、“幻想を超えて生きるには”。
美味なる酒や発酵食品をもたらす微生物には謎が多い。地球上にはまだ未知の微生物が無数に存在し、濃硫酸の中でも生存したり、強力放射能の被曝にも耐えられる種が新たに発見されている。人間の常識を超える微生物の正体にスリリングに迫る。
「生きる希望を捨ててはいけません。帰国の日は必ずやって来ます」シベリアで捕虜として死と隣り合せの日々を過ごしながらも、家族を想い仲間を励まし、懸命に前を向く男がいたー山本幡男の壮絶な半生と、夫の無事を信じ11年間待ち続けた妻との夫婦愛、捕虜となった仲間達との絆を描く。心震わす感動の実話。映画ノベライズ。