一方的すぎる想いから出る言葉は大切な人の心を抉る。弓道部の部長を務め、誰もが認めるイケメンで、その人気から告白されることも日常茶飯事の柳楽涼介。そんな彼には、霊感体質という秘密があった。負の感情を抱き、妖狐に取り憑かれてしまった同級生とともに妖の世界に閉じ込められた涼介は、異空間の壁を打ち破ることができるのか。そして、言霊の力は心にかかった靄を取り払ってくれるのか。『神様とゆびきり』では高校生だった涼介の、中学生時代の物語。
物語は大正四年、人気作家・佐藤紅緑が妻子を捨て、新進女優の横田シナを狂おしく愛したことに始まる。父親への屈折した思いを胸に、散り散りになる八郎、節、弥、久の四人の息子たち。シナのつれなさに苦悩する紅緑が半ば別れを覚悟した矢先、シナの妊娠が判明。大正十二年、愛子の誕生で、二人は離れられぬ宿命を受け入れる。
『古寺巡礼』『ヒロシマ』『筑豊のこどもたち』『室生寺』など、昭和の写真界をリードした土門拳は、達意の名文家でもある。肖像写真に添え、被写体の人間像を見事に描出した『風貌』、日本の伝統美を熱く語る『私の美学』をはじめ、時代と社会を見つめ、リアリズムを説き、写真論を展開した珠玉のエッセイ集。「一日本人としての自分自身が日本を発見するため、日本を知るため」そして人々にそれを伝えるために、生を賭した“写真の鬼”。
日本人の心の奥底、固有の土着的世界観とはどのようなものか、それは、外部の思想的挑戦に対していかに反応し、そして変質していったのか。従来の狭い文学概念を離れ、小説や詩歌はもとより、思想・宗教・歴史・農民一揆の檄文にいたるまでを“文学”として視野に収め、壮大なスケールのもとに日本人の精神活動のダイナミズムをとらえた、卓抜な日本文化・思想史。いまや、英・仏・独・伊・韓・中・ルーマニアなどの各国語に翻訳され、日本研究のバイブルとなっている世界的名著。上巻は、古事記・万葉の時代から、今昔物語・能・狂言を経て、江戸期の徂徠や俳諧まで。
パソコン上で文章を編集するように、あらゆる動植物のDNAを自由に編集する。ノーベル化学賞を受賞した、SFのような究極の遺伝子編集技術は、いかにして発見されたのか?人類の未来をも左右する科学はどのように使われるべきなのか?夢の技術を発見した科学者が綴る、科学の可能性と危険性とはー。
リーマンショック以降、電子化と規制で一変したウォール街。二軍投資銀行に勤めるブラッド・カツヤマは、何故か株を買おうとすると値段が逃げ水のようにあがってしまう事に気づく。そこには投資家を出し抜く超高速取引業者“フラッシュ・ボーイズ”の姿があった。巨大システムの詐欺と実態を暴いた傑作NF。
生まれた瞬間の宇宙の星々の様子を命盤に落とし込み、性質や運命を細密に見ていく紫微斗数占い。気の遠くなるような年月をかけて瞬く星たちの叡智を受け取る、とても神秘的な占術です。
念願のビストロを開店して早一年。常連客もつき、経営は順調に見えたが、徐々に客足が鈍り始めた。新規顧客を開拓すべく立ち上がった佳恵と健司。しかし、健司は一目惚れした花屋の女性のことで頭がいっぱいで…。経営不振に陥った店を救う秘策はあるのか?美味しい料理と切ない恋が心に沁みる、お料理小説シリーズ第二弾。
カポーティ文学の魅力と魔力を読み解く!「破綻」「不安」「狂気」から「再生」「復活」へ。色彩に内包されるイメージを解析。積年の研究の成果、ここに結実!