人間を抑圧しつつ、それを隠蔽するもの。「帝国」は人種、ジェンダーなどによる見えない障壁、ヴェールを土台に自らを構成している。例えば黒人に貼りつく孤立や苦しみが、白人の側からは不可視のままになっているように。ヴェールに隠された人間の叫びに応答するための、ラディカルな幕開けの書。序文では、近現代世界史を再検証するために「人種資本主義」という概念を紹介・提案する。第1部ではアメリカ帝国の形成と人種とジェンダーの関わりを、第2部ではポストコロニアリズムの時代におけるジェンダーとセクシュアリティの問題を考察する。第3部では帝国日本に支配されていた東アジアの諸地域が戦後、新たな「帝国」へと再編されつつも、植民地主義の問題が根本的に清算されないまま現代に継続している問題を見つめる。
日本に西洋音楽がもたらされ普及していくなかで、ほかの楽器に比べて一般の家庭に積極的に受け入れられていったピアノ。その習い手は、多くの場合には妻、そして娘であった。なぜほかの楽器ではなく、ピアノなのか。なぜその習い手は女性なのか。ピアノが普及していく黎明期の日本社会を丹念に追い、その背景に迫る渾身の書。
内発的開発という自立の道。カトマンズ盆地のネワールは、カースト制とジェンダー構造が根強い。本書は、女性自助組織ミサ・プツァの活動から、自立を模索する女性たちの姿を描き、震災とパンデミックという多重災害の中で揺れる、女性たちの立ち位置に迫る。
「性」って、人前で話せないこと、恥ずかしいことだと思っていませんか?それは誤解です。あなたが知っている「性」に関する知識は、ほんの一部かもしれません。性に関する権利、性暴力、ジェンダーギャップや性的マイノリティのことを十分に学んでいないと、言葉にできない生きづらさを感じたり、周りの人から傷つけられてしまったり、思いもよらず周りの人を傷つけてしまったりすることもあります。10代のうちから性に関する権利や、ジェンダー、セクシュアリティについて学ぶことは、自分と周りの人の心と身体を尊重するためにとても大切なことなのです。
政治・経済分野の「パリテ」を達成し、さらに同性婚や生殖補助医療、氏の選択にまで法制度を広げた国、フランス。フランス人権宣言と憲法の歴史的展開、そして今に至るまでのフランス政策動向を丁寧に追いつつ、日仏の比較法的検討を通じて、日本のジェンダー平等実現に向けた法・政治分野の課題を提示する。
困難な状況に置かれた人々を生み出す社会の矛盾に目を向け、当事者主体の支援を展開しながら、人々を抑圧する構造の変革をめざすソーシャルワーク。だが、その本質を失いかけているといわれて久しい。ソーシャルワークはなぜ視野を狭め、非政治化したのか。フェミニズムとジェンダーを通して、ソーシャルワークを批判的に検証し、その変革への糸口を示す。
心理学的側面から研究を重ねた、研修プログラムの実践と効果をご紹介。ジェンダー平等に取り組む企業、必読の一冊!
小説は、感情と親しいが、分析や主張にも強い。フェミニズム・ジェンダー研究の意義や成果を解説する“理論篇”。テーマごとの問題意識と作品を紹介する“項目篇”。文学研究の現在を知り、小説の豊かさを知ることができるガイドブック。
いまだ法律で認められていない同性婚。そもそもなぜ日本では「異性婚」しかできないのか?憲法・民法・国際人権法の視点から「法の論理」を、そして独・仏・台湾事情から同性婚法整備の過程とその後の経過を学び、日本における婚姻の自由と平等を考える。
社会・生活の中のジェンダー問題を明らかにする。性とは何か。対人関係、教育、メディアに性はどのようにかかわるか。なぜ性によって差別や不公平が生じるのか。その解決のための理論・方法とは。ジェンダーをめぐる多様な課題に学際的に迫る。
この違和感、私だけ?!40代、双子の父。フェミニズムに向き合う文筆家が、自己矛盾も罪の記憶も正直に、生活を綴る。
一〇〇年前から、市川房枝は女性の地位向上を訴えた。いまよりさらに男尊女卑、性別役割分業意識が強い時代にあって、どのように社会を動かそうとしたのか?そして今、彼女の願った男女平等は、達成されているのか。戦前は平塚らいてうと組んで、女性の参政権を獲得する運動をはじめ、戦後は、参議院議員として、女性差別撤廃条約批准を推進させ、男女雇用機会均等法の成立を後押しした。戦前の米国行き、ILO事務所勤務、独立して婦選活動、終戦後の公職追放、六〇歳直前で参議院初当選、八七歳で全国区トップ当選ー働く女性のトップランナーとしての市川房枝八七年の生涯をたどる。
男性も女性も、誰もが自分らしく生きられる社会へ。日本共産党の提案と実践。
同性愛が観察された種は1,500以上!
海のジェンダー平等を実現することはなぜ大切なのか。SDGs目標5「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」。海は男の世界と言われていた。性差の偏りが著しいこの言葉は過去のものであり、それに替わるのが、海洋でのジェンダー平等である。本巻は執筆者を女性を軸に構成し、その実現を目指す。