本論では、“男装の少女”というヒロイン像を切り口に、日本の少女マンガにおけるジェンダー表象がどのような形で構築され、どのような形に変容していったのかを探ることを主要な目的としている。“男装の少女”というヒロインの容姿造形を構成する絵画表現、すなわちジエンダー・コードとなる表象記号に着目し、どのような表象記号の組み合わせによってヒロイン像が描き出されていったのかに重点を置いた論考を試みている。
ワステカ(la Huasteca)と呼ばれるこの地域は温暖多雨で肥沃な土地に恵まれ、先スペイン期からトウモロコシの栽培が人々の暮らしを支えてきた。だが近年、とくにメキシコ国家が新自由主義体制に移行してからは、グローバル化の巨大な波が、直接的・間接的に、そして急速に押し寄せてきた。このような社会経済的な変化とジェンダーとの関係は、どのように分析できるだろうか。
ジェンダーに関わる社会現象を分析するために社会理論はいかに有効か。研究の最前線を担う執筆陣が明らかにする。
純愛・性愛・家族そして性暴力という視角から、近現代小説の象徴的な場面を読み解く、斬新でスリリングな一冊。
「境界」から「二重の声」を響かせるアメリカ女性作家たち。白人、黒人、日系、アジア系の人種の枠を超え、階級を超え、時代を超えて語りかける彼女たちの声に耳をかたむけ、発掘、再評価する8つの論考を収める。多様性を重んじ、矛盾や曖昧さにも開かれたフェミニズム批評の魅力が、ここに結晶する。
90年代初頭より本格化した「規制緩和」と「機会均等」圧力は、男子正規従業員中心の従来型=ジェンダー型企業社会そのものの変革を求めてきた。本書は人間本性論に照らして、日本型=組織主義的資本主義体制の歴史的妥当性を主張しつつ、均衡ある経済社会の実現へ向けて「生産者の論理」から「生活者の論理」へのパラダイム転換の必要を説く。
ILO(国際労働機関)の「対日本勧告」を手掛かりに、日本の男女賃金差別と性奴隷問題の国際的位相を明らかにするジェンダー問題を考えるうえで必読の書。
1960年代末以降の「第二派フェミニズム」と呼ばれる世界規模での女性解放思想は、その理論的枠組みにおいても、対象とする専門領域においても多様な流れを生み出したが、ジェンダーという共通の概念を発見した。そして、1980年代、1990年代以降の市場経済化の進展とグローバリゼーションのもとでは、ジェンダーを分析軸にすえた新たな知の枠組みが模索されている。本書は、主流派を構成する新古典派経済学の理論、さらにリベラリズムの思想をジェンダーの視点から理論的に検討し、同時に、市場主義化がもたらす新たなジェンダー問題を家族・社会政策、開発経済学、社会思想、人類学などの諸領域から問い返すことで、社会・経済の変動を理論的、実証的かつ歴史的にとらえる方法を提示する。
ジェンダー法学は、既存の法律学をこれまでにない視座から批判し、既存の法制度や学問の領域にたって、性別による社会的不平等を是正しようと試みる。女性の普遍性、男性の特殊性の事実に目を向け女性の視点と経験が生かされることが、真の男女共同参画社会実現の第一歩である。新しい学問領域であるジェンダー視点から法学を学ぶ最新のテキスト。法改正と社会の動向をキャッチした充実の第2版。
ヨーロッパ近代秩序としての公私二元構成ーその生成過程には、ジェンダー・バイアスの生成が伴った。姦淫罪(法と道徳の分離)、嬰児殺(人道主義)、読書協会(市民的公共圏の成立)の3側面から立証。
ゲーテは女性になりかわって、その内面を代弁したり、女性を素晴らしい存在だと見なしていたわけではない。自分を語るための器として用いたにすぎない。それは空であるほどたくさん盛ることができる。器である女性が自ら語り出したり、自己主張することはゲーテにとって望ましくなかった。女性の視点からゲーテを読み直す。また18世紀から19世紀の女性小説を丹念に読み、男性社会規範の中でもがいた彼女たちの姿をうかびあがらせる。