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かぐや姫のことを語る

かぐや姫 94  帝のお召しに応じないかぐや姫

かぐや姫は、ある年の春頃から、月を見て、物思いにふけることが多くなりました。

「姫さま。月をみるのは、不吉です。二度と月をみてはいけません」
姫に仕えている人がとめるのですが、姫は月をみて、はげしく泣くようになりました。

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かぐや姫 93  帝のお召しに応じないかぐや姫

帝は、かぐや姫に、何度も手紙を書きました。
かぐや姫は、お召しには応じなかったが、帝との手紙のやりとりはしました。
帝は、かぐや姫への手紙に、季節の木や花をつけて、歌を届けるのを楽しみにしています。
 
帝とかぐや姫が、手紙のやりとりをしているうちに、三年がすぎました。 

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かぐや姫 92  帝のお召しに応じないかぐや姫

帝は、御殿に帰り、そばに仕えている女性をみたが、かぐや姫のように美しく、素晴らしい歌を詠む人はいません。
今までは、他の人よりは素晴らしいと思っていた女性さえ、かぐや姫と比べるとみおとりがしました。

帝は、かぐや姫のことが気になり、一人で暮らしています。
仕えている女性の所も、帝は行く気がないようでした。

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かぐや姫 91  帝のお召しに応じないかぐや姫

かぐや姫が、帝に歌を返します。

  むぐらはふ下にも年は経ぬる身の
  なにかは玉のうてなをも見む

帝は、かぐや姫の歌を詠み、すばらしい歌だと思いました。
帝は、御殿に帰りたくなかったが、ここで夜を明かすわけにはいかないので、しかたがなく御殿へ帰りました。

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かぐや姫 90  帝のお召しに応じないかぐや姫

かぐや姫をみることができた帝は、おじいさんにお礼をいいました。
おじいさんは、帝とおつきの人たちに、盛大に御馳走をしました。

帝は、輿に乗ってから、かぐや姫に歌を詠みました。

  帰るさのみゆき物憂くおもほえて
  そむきてとまるかぐや姫ゆえ

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かぐや姫 89  帝のお召しに応じないかぐや姫

「かぐや姫が、あっという間に、消えてしまった。残念だ。姫がいうように、普通の人ではないのかもしれない。そうであれば、無理やりつれていくわけにもいくまい。かぐや姫、連れて帰るのはあきらめたから、もう一度、姿をみせておくれ」

帝のことばを聞き、かぐや姫は姿をあらわしました。
帝は、かぐや姫を連れて帰ることは無理だと思い、あきらめました。
でも、かぐや姫に対する気持をおさえることはできませんでした。

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かぐや姫 88  帝のお召しに応じないかぐや姫

かぐや姫は、顔を袖で隠しています。
「許しはしないぞ」と帝がいうと、かぐや姫が、「私は、この国で生まれたものではありません。だから、私を連れて帰るのは難しいでしょう」といいました。

「そんなはずはない。私は、どんな手を使っても、連れていくつもりだ」
輿を邸につけている間に、かぐや姫はすっと姿を消してしまいました。

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かぐや姫 87  帝のお召しに応じないかぐや姫

帝は、急いで狩りの日を決め、狩りに出かけました。
そして、姫の家へ寄りました。

帝が、家の中へ入ってみると、美しい姫が座っています。
今までみたことのない美しさでした。
帝は、奥へ逃げて行こうとするかぐや姫の袖をつかまえ、そばに座らせました。

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かぐや姫 86  帝のお召しに応じないかぐや姫

すると、帝が、
「翁の家は、山のふもとにあるそうじゃな。狩りをするふりをして、翁の家に寄り、かぐや姫をみることはできるだろうか」

「それはいい考えかもしれません。娘がぼんやり何か考えている時に、急においでになれば、娘をみることができると思います」
おじいさんは、いいました。

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かぐや姫 85  帝のお召しに応じないかぐや姫

「世間体のことなど、どうでもいい。帝に、宮仕えができないと伝えてくる」
おじいさんは参内して、帝に姫の気持を伝えました。

「娘を入内させようと何度も説得しましたが、だめでした。もし、宮仕えをさせるならば、娘は死ぬといっております。娘は、妻が生んだこどもではありません。昔、竹林でみつけたこどもです。だから、世間の娘たちとは、考え方も違うのでしょう」

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かぐや姫 84 帝のお召しに応じないかぐや姫

「姫、何をいうのだ。姫が死んでしまうなんて・・・。じいは、爵位などいらない。でも、姫は、なぜ宮仕えをしないのか。死ななくてはならない訳でもあるのかね」

「じい、私のいうことが、嘘だと思うなら、私を宮仕えさせて、死んでいるかどうか確かめればいいでしょう。私は、五人のかたの求婚をことわりました。それなのに、帝のお召しを受けることは、世間体が悪いのではありませんか」

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かぐや姫 83  帝のお召しに応じないかぐや姫

「翁が育てたのに、なぜ思うようにならないのじゃ。かぐや姫を献上すれば、翁に五位の位をあげよう」
おじいさんは、帝の言葉を聞き、喜んで家に帰りました。 

「帝が、かぐや姫が宮仕えをしてくれたら、じいに五位の位をくださるそうだ。それでも、姫は宮仕えをしないつもりかね」
「私は、宮仕えをするつもりはありません。じいが、無理に宮仕えをさせるなら、私は死にます」

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かぐや姫 82  帝のお召しにおうじないかぐや姫

帝は、竹取りのおじいさんを呼びだし、命令しました。
「娘のかぐや姫を献上せよ。とても美しい姫だと聞き使いをやったのに、その甲斐もなくかぐや姫にことわられてしまった。このままでは、私の気持がおさまらない」

「娘は、宮仕えをする気はありません。ですが、もう一度、帝のお召しを受けるように、娘を説得してみます」

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かぐや姫 81  帝のお召しに応じないかぐや姫

使者の房子は、内裏へ帰り、かぐや姫のことばを帝に伝えました。
すると、帝が、
「それが、おおぜいの男の心を乱してきたかぐや姫のことばなのだろうね」といいました。

その時は、かぐや姫のことをあきらめた帝でしたが、帝はかぐや姫のことを忘れることができませんでした。

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かぐや姫 80  帝のお召しに応じないかぐや姫

すると、使者が。
「かぐや姫に、かならず会ってこいとの命令ですので、このまま帰る訳にはいきません。かぐや姫は、帝のお召しを、なぜことわるのでしょうか。恐れ多いことですよ」

そのことばを聞いたかぐや姫は、「私が、帝の命令にそむいたというのなら、私を殺していただいてけっこうです」といいました。

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かぐや姫 79  帝のお召しに応じないかぐや姫

日頃は、実の子のように、姫に接しているおばあさんでしたが、会うのをいやがっている姫をみると、強制することはできませんでした。

おばあさんは、使者の所へ戻り、「申し訳ありません。娘は強情者でして、お会いしたくないといっております」と伝えました。

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かぐや姫 78  帝のお召しに応じないかぐや姫

おばあさんは、姫の部屋へ行き、使者のことばを伝えました。

「姫、早く支度をして、使者のかたに会いなさい」
「私は、美しくありません。だから、使者のかたには会いません」

「困ったことをいうね。姫、帝の使者を、おろそかにするわけにはいきませんよ」
「帝が、私をお召しのようですが、帝の申し出をことわったとしても、おそれ多いとは思いません」
姫は、使者に会おうとしません。

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かぐや姫 77  帝のお召しに応じないかぐや姫

帝は、美しいかぐや姫のうわさを聞き、内侍(ないし)中臣の房子に命令しました。
「おおぜいの男の心を乱し、誰とも結婚しないかぐや姫は、どんな女性なのか。かぐや姫の家へ行き、じっくり見てきなさい」

使者の房子は、かぐや姫の家へ行きました。
おじいさんは、帝の使いがきたので恐縮し、使者を座敷に通しました。
「帝が、美しいかぐや姫を、よくみてくるようにといわれたので、かぐや姫に会いにきました」
使者は、おばあさんに伝えました。

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かぐや姫 76  石上の中納言と燕の子安貝

  かひはかくありけるものをわびはてて
  死ぬる命をすくひやはせぬ

中納言は、かぐや姫に返歌を書き終えると、ぐったりしてなくなってしまいました。
かぐや姫は、中納言が亡くなったことを知り、気の毒に思いました。

そのことから、少しうれしいことを「かいあり」というようになりました。

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かぐや姫 75  石上の中納言と燕の子安貝

中納言の様子を聞き、かぐや姫はお見舞いの歌を送りました。

   年を経て浪立ち寄らぬ住の江の

   まつかひなしと聞くはまことか

家来が、かぐや姫の歌を読んできかせると、中納言は気力が弱っていたが、頭をもたげて、かぐや姫に返歌を書きました。