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かぐや姫のことを語る
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かぐや姫 133  帝、不死の薬を高い山で焼く

帝の命令で、おおぜいの兵士を引き連れて山に登ったことから、この山を「士に富む山」(不死の薬の山)、「富士山」と、いうようになりました。

そして、帝がかぐや姫からもらった不死の壺を焼く煙は、今も雲の中に立ちのぼっているそうです。

       おわり

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かぐや姫 132  帝、不死の薬を高い山で焼く

勅使の調(つき)の岩笠を呼び、駿河の国にある山の頂きに、壺と手紙を持っていくように、命令しました。
帝は、その山頂ですることを、勅使に教えました。
不死の薬の壺と手紙を並べて、火をつけ燃やすようにと、命令したのです。

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かぐや姫 131  帝、不死の薬を高い山で焼く

帝が、歌を詠みました。

  あふこともなみだにうかぶ我が身には
  死なむ薬も何にかはせむ

かぐや姫からもらった不死の薬の壺に手紙をつけて、御使に渡しました。

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かぐや姫 130  帝、不死の薬を高い山で焼く

帝は、かぐや姫の手紙をみて、悲しみのあまり何も口にしなくなりました。

「天に一番高い山は、どの山じゃ」
帝は、大臣たちに聞きました。
すると、ある人が、
「駿河の国にある山が、都にも近く、天にも近いといわれています」と答えました。

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かぐや姫 129  帝、不死の薬を高い山で焼く

中将は、翁の家に派遣された二千人を引き連れ、御殿に帰りました。そして、月の都の人たちと戦ったが、かぐや姫をひきとめることができなかったとを、帝に報告しました。
そして、不死の薬が入っている壺と、かぐや姫の手紙を、帝に渡しました。

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かぐや姫 128  帝、不死の薬を高い山で焼く

すると、おじいさんが、「これから何をするために、命を大切にしなくてはならないのだ。誰のために、命を大切にするのだ」といって、薬も飲みません。
おじいさんは体が弱ってしまい、ずっと寝室で横になっています。

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かぐや姫 127  帝、不死の薬を高い山で焼く

かぐや姫が、月に帰ってしまった後、おじいさんとおばあさんは、毎日泣いています。  
二人がどんなに泣いても、かぐや姫が月から帰ってくるわけではありません。

二人のことを心配した人たちは、かぐや姫が残した手紙を読んで聞かせました。

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かぐや姫 126  帝、かぐや姫の昇天を確かめる

すると、ふしぎなことに、悲しい気持やなごりおしい気持が、かぐや姫の心からすっと消えてしまいました。

姫は、月の車に乗り、百人ほどの天人と一緒に、月の世界へ帰って行きました。
帝の兵士・二千人とおじいさん・おばあさん・使用人たちが、かぐや姫を見送りました。

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かぐや姫 125  帝、かぐや姫の昇天を確かめる

   今はとて天の羽衣着るをりぞ
   君をあはれと思ひいでける

かぐや姫は歌をつけ、帝への手紙に、壺に入った不老の薬を添えました。
そして、帝に献上するようにと、頭中将を呼び依頼しました。
中将が、壺を受け取ったので、天人がかぐや姫に天の羽衣を着せました。

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かぐや姫 124  帝、かぐや姫の昇天を確かめる

「このように、おおぜいの兵士を、派遣していただきありがとうございました。みんなで、月からの迎えをとめていただきましたが、月から迎えがきて、これから月に帰ります。くやしくそして悲しいです。帝のおそばにお仕えできなかったのも、私が月の国の人だったからです。命令に従わない無礼なやつめと思われているのが、ほんとうに残念です」

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かぐや姫 123  帝、かぐや姫の昇天を確かめる

「ちょっと待ってください。天の羽衣を着ると、心が変わってしまいます。ひとこといっておかなくてはならないことがあります」

「姫、早くしなさい」といって、天人たちがいらいらして待っています。
姫は、帝に手紙を書きました。

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かぐや姫 122  帝、かぐや姫の昇天を確かめる

「さあ、姫。壺に入っている薬を飲みなさい。穢れた地上の物をたくさん食べたから、気分が悪いことでしょう」と、薬を持ち、姫のそばに寄りました。

姫は、その薬を少しなめ、少しだけ薬を形見として残しておこうと思いました。
姫が、薬を形見の着物に包もうとすると、天人がとめました。
そして、天の羽衣を取り出し、無理やり姫に着せようとしました。

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かぐや姫 121  帝、かぐや姫の昇天を確かめる

月がでた夜は、月をながめてくださいね。大切に育てていただいたのに、このような形で、月に帰って行くのは、心苦しく思います。空から落ちてしまいそうな、そんな気持です」

天人が持っている箱の中には、天の羽衣が入っています。
また別の箱には、不死の薬が入っていました。

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かぐや姫 120  帝、かぐや姫の昇天を確かめる

「じい、手紙を書いて、お別れします。私を思い出した時には、手紙を読んでくださいね」といって、姫は泣きながら、おじいさんに手紙を書きました。

「私が、人間の国に生まれていたならば、二人といつまでも一緒に暮らせたでしょう。ほんとうに残念です。私が着ていた着物を、形見に置いていくのでみてください。

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かぐや姫 119  帝、かぐや姫の昇天を確かめる

「なぜ見送りをしなくてはならないのだ。悲しくて、見送りなどできない。なぜじいを捨てて、月へ帰ってしまうのか。じいも一緒に連れていっておくれ」
おじいさんが泣いている姿をみて、かぐや姫はとほうにくれました。

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かぐや姫 118  帝、かぐや姫の昇天を確かめる

姫を閉じこめてあった塗籠の戸も、自然に開いてしまいました。
おばあさんは、抱いていたかぐや姫が、籠の外へ出てしまったので、泣いています。

かぐや姫は、泣き伏しているおじいさんのそばに寄り「心ならずも、月へ帰らなくてはなりません。じい、私が月へ帰るのを見送ってください」といいました。

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かぐや姫 117  帝、かぐや姫の昇天を確かめる

「かぐや姫を大切に育て、二十余年がすぎました。わずかな時間と聞き、疑わしく思います。別の所に、かぐや姫という人がいるのではありませんか。ここにいるかぐや姫は、重い病気にかかっているので、外には出られません」

屋根の上に、かぐや姫が乗る車を寄せると、
天人がいいました。
「さあ、かぐや姫。こんな穢れた所に、なぜ
長い間いるのですか。出てきなさい」と。

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かぐや姫 116  帝、かぐや姫の昇天を確かめる

月の王が、おじいさんに、
「おまえは、未熟者だ。おまえが、つつましく真面目に生きていたので、わずかな期間だけと思い、姫を下界におろしたのじゃ。おまえは、竹からたくさんの黄金を得て、大金持ちになった。

姫は、月の都で罪をおかしたので、賤しいおまえの所に住むようになったのじゃ。姫の罪の償いの期間が終わったので、姫を迎えにきた。おまえは、泣き悲しんでいるが、今更どうすることもできない。早く姫をだしなさい」といいました。

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かぐや姫 115  帝、かぐや姫の昇天を確かめる

かぐや姫が乗っていく車が、一台用意してあり、薄絹をはった天蓋がさしかけてありました。
その中にいた王が、「翁、でてこい」と、いいました。

猛々しく構えていたおじいさんは、その声を聞くと、何かに酔ったようになり、うつぶせに伏してしまいました。