2010年9月19日朝、ワタシは第14回レインボーマーチ札幌を参観すべくメキシコ市緑区(ウソ)からJR 北海道の列車に乗り込んで一路札幌を目指した(ホント)。途中千歳などの辺りで外を見ると、道路がジャブジャブに濡れており、雲行きが心配であったが、同時に空は晴れ間もあった。札幌に着いてみると、雲は少なくなく、風が吹くとやや冷たさを感じるものの、陽差しがあり、日光に射たれると俄かに暑さを感じるほどであった。12時頃には気温は21度くらいになっていた様だ。
ワタシは JR 札幌駅から南下して大通公園三丁目につきあたり、東進して大通公園一丁目にたどり着いた。札幌テレビ塔下の会場にはすでに多くの人が集まっていた。赤い着ぐるみが目に入り、一瞬あの「ドームくん」が赤くなっているのかと思ったが、それは「テレビとうさん」であった。テレビとうさんもレインボーマーチに興味を持ったのかどうかは知らないが、とにかくにこやかに記念撮影に応じていた。もちろん、ドームくんの姿もあった。
昨年に続き会場となったテレビ塔下はとても狭く、袋になっていることもあり人の流れも良くない。ブースもこぢんまりとしており、不充分な感じもある。その中にあって特筆すべきは、昨年も協賛企業に名を連ねていたソフトバンクモバイルが出展していたことで、厚紙製の柄なし団扇と葉書大のカードを配布していた。また舞台の左右にもソフトバンクモバイルの垂れ幕が立てられていた。
出発時刻の13時が近付くと、一丁目広場で隊列の編成が始まった。「風船の紐が絡まって配れない」「はさみで切っちゃえ」なんて声も聞こえたが、13時過ぎ、無事出発となった。ワタシはずっと順路の右側の歩道から写真を撮りながら、そして第14回レインボーマーチ札幌 - はてなハイクへ投稿しつつ、随行していった。大通公園から車道に出た隊列は、朗らかなアナウンスや音楽とともに、まず丸井今井のある通りを南へ行く。買い物などのために街を歩く人たちも目を向ける。
南三条の通りに折れて駅前通りに出ると北へ向かい、4丁目プラザの辺りで恒例の風船飛ばしを行う。大通公園の北側の道に出る。ここで通るのは大通公園三丁目と四丁目の間で、四丁目から西では今札幌オータムフェストが開催されている。そこから東へ折れ、先頭は13時40分頃に大通公園一丁目へ戻った。
14時30分頃、プライド集会が始まる。司会挨拶ののち、まずはギターと歌。札幌市の協力で手話通訳が付くことが紹介される。実行委員長挨拶。そして昨年は来られなかった上田札幌市長が登場。また高橋北海道知事やミュンヘン市長、ポートランド市長から祝辞が寄せられていることが紹介され、この際、舞台近くにいた上田市長から司会へ「ポートランド市長はカミングアウトしている」ということが伝えられる。米オレゴン州ポートランドのサム・アダムス市長は以前から同性愛者であることを公表しており、2008年の市長選挙で当選した人。道内全市に要望書を出し、内12市から祝辞が返信されたことも紹介された。各政党からは公明党の人と社民党の人が登壇し、福島社民党党首からの祝辞が読み上げられた。参加者表彰が行われた。
レッドリボンさっぽろ、レインボーファミリー in 札幌、Qwe're、アムネスティなど協賛団体等の人が舞台に上がり、挨拶や関連イベントの案内などを行う。ソフトバンクモバイルで LGBT マーケティングを担当しているという人も登場。そういう担当があるという事実が新鮮な驚きであった。そして実行委員たちが舞台上に集合し、実行委員長から改めてしめくくりの言葉があり、この場はお開きとなった。
さて、プライド集会で発表された今回の参加者数は、700人弱。ここ数年はたしか900から1000人くらいに定着していたはずだから、目に見えて減っている。時期としては三連休の中日だから、2008年までの9月第二日曜日よりは来やすい人が多いだろうと思われるが、どうしたことだろうか。今までに何回か参加登録をして列の中で歩いた人が、今回は沿道から見てみようといったことが多く起こったのだろうか。あるいは倦怠期なのか、はたまた昨年からのテレビ塔下という会場の狭さが影響したのだろうか。
また、沿道のたまたま居合わせたと思われる多くの人たちも、パレードに注目していた。その中で、友達どうしで「あれって何なの?」「さあ、何だろう」といった会話が何度か耳に入った。こうした声が聞こえてくる感じは、2008年にワタシが初めてここに来た時と変わらないものであり、タイムスリップしたのではないかという錯覚を感じたくらいである。ここにも一つの課題がありはしないだろうか。
今回使われたプラカードは、前回とほぼ変わらないものだった。しかし LGBT からの「私たちはこうだ」という主張は、まだ充分ではないとしても、世にありふれたものになりつつある。そこで、「それは分かったけど、それが他人の私とどう関係するのか」とか、「それが社会の一般利益とどうつながるのか」という段階に他から向けられる疑問が発展してきたときに、どう答えられるのか、そのための準備はできているのか、そういったことがレインボーマーチの様なイベントの在り方も左右するときにいま達しているのではないか、ワタシはそんなことをそぞろに考えながら帰りの列車に揺られていたのであった。
祐樹 曰く、