なんてことはない。ただ Android ベースの PMP を4980円で買ったら、付属のイヤホンは単品では通常価格2580円という、高級ではないがそこそこいいものだったのだ。
Zen Touch 2 シリーズは、Creative が2010年末に発売した Android ベースの PMP である。一番下の型で通常価格19800円としている。しかし、Android というとスマートフォンやタブレットばかりが注目を集めるし、なにせ向こうは見かけ上の価格を下げて毎月の料金でじわじわ回収する魔法を使ってくるという状況の中で、売れ行きはあまりよくなかったのか、直販サイトではアウトレットとして少し前から6980円に値下げ販売していた。それが先日さらに下げて4980円になったので、ちょうどカナル型イヤホンも探していたところなので、うっかり買ってしまったのだったった。携帯電話商法により物価が撹乱された市場の中でのできごとである。
Zen Touch 2 の USB デバッグ接続(完)
買ったのは Android アプリの開発に手を付けて、開発専用にするモノが一つ欲しかったのもある。当初設定を間違えていて adb で認識できなかったが、洗い直してみたらできたのでこの節を修正しておく。
/etc/udev/rules.d/51-android.rules を作成
ファイルのパーミッションを変更
# chmod a+r /etc/udev/rules.d/51-android.rules
このファイルに udev のルールを書く
SUBSYSTEM=="usb", SYSFS{idVendor}=="041e", SYMLINK+="android_adb"
~/.android/adb_usb.ini を作成して VendorID を入れてみる。
# touch ~/.android/adb_usb.ini # echo "0x041e" ≶> ~/.android/adb_usb.ini
udev にルールを再読み込みさせる。
# udevadm control --reload-rules
adb server を再起動
# ./adb kill-server # ./adb start-server
認識することを確認。
$ ./adb devices List of devices attached 1A195805D7245083 device
これで他の Android スマートフォンと同様に root 権限で adb server を起動したら一般ユーザで adb 接続できるようになった。
もちろん USB マスストレージクラスとしても接続できる。dmesg の関係部分:
[936400.048054] usb 1-1: new high speed USB device number 87 using ehci_hcd
[936400.169121] usb 1-1: New USB device found, idVendor=041e, idProduct=4166
[936400.169131] usb 1-1: New USB device strings: Mfr=1, Product=2, SerialNumber=3
[936400.169137] usb 1-1: Product: ZEN Touch 2 Series
[936400.169142] usb 1-1: Manufacturer: Creative
[936400.169147] usb 1-1: SerialNumber: 1A195805D7245083
[936400.174943] scsi19 : usb-storage 1-1:1.0
[936401.180468] scsi 19:0:0:0: Direct-Access Creative ZEN Touch 2 0100 PQ: 0 ANSI: 2
[936401.182091] sd 19:0:0:0: Attached scsi generic sg1 type 0
[936401.185337] scsi 19:0:0:1: Direct-Access Creative ZEN Touch 2 SD 0100 PQ: 0 ANSI: 2
[936401.185668] sd 19:0:0:1: Attached scsi generic sg2 type 0
[936401.203946] sd 19:0:0:0: [sdb] Attached SCSI removable disk
[936401.209940] sd 19:0:0:1: [sdc] Attached SCSI removable disk
Zen Touch 2 の装備
メモリ
Zen Touch 2 (以下 ZT2 と略)の内蔵ストレージは少し特殊で、約8GBがまず半々に分けられている。その片方が通常の Android 搭載機でいう内蔵メモリであり、ここにシステム領域やデータ領域がある。もう片方はメディアストレージ領域と呼ばれ、OS からは SD カードのように見える。この二つに加えて最大32GBの microSD カード(SDHC 規格)を挿入できる。アプリ本体やその内部的なデータ、キャッシュなどが保存されるのがデータ領域で、ここが小さいとアプリが少ししか追加できないが、ZT2 の場合は2.95GB確保され、かなり余裕がある。
タッチパネル
ZT2 のタッチパネルは感圧式(抵抗膜方式)だ。最近のスマートフォンに多い静電容量式のタッチパネルでしかこういうものを操作したことがない人は、「反応が悪い」と思うかもしれない。実際にはそうではなく、方式の違いである。感圧式では、先の細いものを使えば小さい要素も確実にタップできる。抵抗膜を簡単に傷付けないものなら何でも良い。もっとも ZT2 のタッチパネルは感圧式としても悪くはないが最良というほどでもなく、やや柔らかさがあり、硬いものでつつくとやや粘りを感じる方なので、軸が金属製で重みのあるスタイラスを使うのが最も良い。サンワサプライの「マルチ入力ペン」PDA-PEN11 や PEN12 はかなり前に発売されたものだが、今でも購入できる。指で操作する場合は、静電容量式のように曖昧に触れるのではなく、対象を点として意識すると良い。
ソフトウェア
購入したものはすでに最新のファームウェアがインストールされ、Android 2.2 になっていた。インプットメソッドも OS 標準の Japanese IME(OpenWnn)が入っていた。ブラウザやメールなどは独自のアイコンが当たっているが、中身は普通のもの。
あるのかないのか
ZT2 には Google Play や Google Map などのアプリはない。これらは Google が定める互換性の要件が細かくあり、それに適合しないと入れさせてもらえないため。
さらに、ZT2 にはカレンダーや連絡先なども無いように見えるのだが、実は /system/app には入っている。例えば ADW Launcher にはデフォルトの状態でデスクトップに連絡先などのショートカットが置かれているが、ここからは起動できる。なんと、電話アプリさえも入っていて、起動できる。カレンダーもおそらくランチャーに登録することが出来れば起動できるのだろう。
連絡先の項目は、例えば他の Android 機などから Bluetooth で転送し、ファイルマネージャで開くと追加でき、メールを作成するとき宛先の候補として出てくる。
機内モードも無いように見える。しかし、Wifi オンの状態で機内モードを切り替えるアプリやウィジットを使うとオフになるので、内部的には存在しているようだ。
同期アカウントの追加は Google アカウントはなく、Exchange アカウントの設定になる。これもどこかには隠されているのだろうか? (Google は Windows Mobile などの Exchange 同期機能を利用して Gmail などと同期する方法を提供している。このため、Exchange アカウントの設定でも Gmail や Google カレンダーとの同期が可能。気を付けるのは、サーバーアドレスを m.google.com にすること。『Setting up your Windows Mobile phone for Google Sync』を参考に。カレンダーは標準以外のアプリを使えばよい。)
アプリのインストール
ZT2 には Google Play アプリがない。なので、Creative の公式サイトでは、日本の利用者向けには当初 AndroApp や Andronavi を案内していたが、前者は閉鎖、後者は Google Play へのリンクだけになってしまったため、現在はBBソフトダイレクトに誘導している。しかしここも ZT2 向けにはたったの15件しかアプリを掲載していない。これでは利用者をガッカリさせるだけなので、なんでこんなところを紹介しているのか、全く意味がわからない。Google Play がない機種で利用できる代替マーケットは他にもある。
- ウェブ型
- モバイルアプリ頒布の老舗 Handango の Android 端末向けサイトは、標準ブラウザで m.handango.com へ。
- Opera Mobile Store を利用するのに Opera ブラウザが必須というわけではないようだが、Opera Mobile/Mini も m.opera.com からダウンロードできる。
- アプリ型
- 1Mobile Market は品揃え豊富。
- Soc.io Mall は雰囲気がいい。
OpenWnn Plus や LYSESOFT、OpenIntents などのように開発元のサイトで apk を配布している場合もある。
総評
Zen Touch 2 はスマートフォンから携帯電話を抜いたものだと思うと失望するかもしれないが、PMP に Android アプリ互換環境が付いてくると思えばかなりおもしろい。PMP と Android を組み合わせた利点は、標準のアプリが気に入らなければ他のプレイヤーアプリをインストールできる点にある。Wifi があるので対応アプリを入れれば SHOUTcast なども聞くことができる。4980円からという価格になり、安物ではないイヤホンを買うならもう少し足してコレ、という選択もありえる。汎用的な OS であることを利用して、「俺専用」の PMP にカスタマイズすることを楽しめる人には是非オススメしたい。
CharliePl 曰く、
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