去る7月16日、ロンドン五輪に出場するサッカー日本代表は男女とも、その準備のために同便に登場してパリに向かった。これについて各紙報道からまとめると、事情は次の様である。

女子サッカー日本代表は、先年のワールドカップで素晴らしい活躍を見せ優勝した。今回の五輪でも最有力の優勝候補である。しかるに、日本オリンピック委員会は、男女とも渡航のためにエコノミークラスの座席を用意したが、日本サッカー協会は、男子代表の座席をビジネスクラスに格上げしたのに対して、女子選手のための座席は「プレミアム・エコノミー」へ上げるのにとどめた。これによって彼女たちは、およそ13時間に及ぶ飛行中、少し足を伸ばすことができただけである。男子サッカー日本代表は、競技の成績においては、より小さい成功しか得ていない。

パリに到着した沢穂希選手─33歳─は、その座席について、記者に対して「逆だろうね、私たちの方が年上だし」と冗談を言った。男子代表は原則として23歳以下の選手で構成されている。日本サッカー協会は以前、この座席の区別は長い間そうであったと述べた。男子のリーグがプロ化して二年後、アトランタ大会に彼らはビジネスクラスで飛んでいる。日本の女子サッカーリーグはセミプロであり、大部分の選手は競技に専念することが難しい。代表選手の中にさえ、収入を補うためにスーパーマーケットでレジを打っている人もいる。

ワールドカップの優勝によって、一夜にして彼女たちが有名になった後、多くのスポンサーが付いた。選手たちはメディアにおいて必須の存在となり、商品の広告において顔となった。しかし日本サッカー協会の姿勢を変えるには十分ではなかった。その水曜日、日本サッカー協会の会長は、女子代表が金メダルを獲得すれば、帰りの座席をビジネスクラスにすると述べた。しかし男子代表は良い席に座るために優勝する必要はない様だ。云々。

この件は、日本の、つまりは男女平等への進行が遅れている先進国として知られている国の、性差別問題として、ヨーロッパやアメリカではかなり話題になっているらしい。英語圏を少し検索してみても、多くの記事を見つけることができる。日本語圏では、スポーツ各紙はさすがに専門であるだけにそれなりに伝えている様だが、一般紙やテレビでの扱いはどうなのだろうか。産経新聞などは、「どうしてなでしこがエコノミー? 五輪代表“男女差”を欧米メディアが批判」などと、まるで他人事の様な見出しを付けて記事を載せている。「恥の上塗り」という言い方はこういう場合に使うべきだろうか。