([修正:2008-09-07]この記事の初版のファイトバックの会のブログのキャッシュへリンクした部分について、問題の再生産に繋がるおそれがあるという指摘があり、該当部分を削除するとともに、記事の意図を明確にするために加筆・修正を行い再構成しました。ご指摘に感謝するとともに、ご迷惑をおかけした方へお詫び申し上げます)

ファイトバックの会ブログ・享年三歳(<本名ファイトバックの会(館長雇止め・バックラッシュ裁判を支援する会)>=http://fightback.exblog.jp/)8月31日、内部分裂のため終了。同ブログは7月21日付の記事を最後にしばらく更新が行われていなかったが、『ファイトバックの会「分裂」状態の原因をつくった「ニュー世話人会ML」事件の顛末 - ふぇみにすとの論考』、『ファイトバックの会からの反発 - *minx* [macska dot org in exile]』などが伝えるところによると、同ブログに掲載された事実誤認に基づく記事への対応で揉め、慣性の法則で存続していたが、8月30日付で『ブログ閉鎖のお知らせ』が掲載され(参考:はてなブックマーク - ファイトバックの会(館長雇止め・バックラッシュ裁判を支援する会) : ブログ閉鎖のお知らせ)、翌31日にブログ自体が消去された模様です。

同ブログは2004年12月に開設され、「とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ」非常勤館長だった三井マリ子さんが解雇を不当として提訴した裁判に関する情報や意見などの記事を複数人で執筆し、公判などがある際には多くの記事が短時間に投稿されていました。

ファイトバックの会の会員でもあったという山口智美さんの記事(ファイトバックの会ブログ謝罪問題の顛末と、便利に使われる「バックラッシュ」 - ふぇみにすとの論考)によると、分裂の原因になったのは同ブログに掲載された、桂容子さん(とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ前館長)への誹謗中傷を含む記事についての謝罪問題であったようです。謝罪すべきかどうか、問題の記事をどう扱うかなどについて揉めたあげく、中途半端な謝罪文の掲載と、当該記事の削除、ブログ自体の消去という結果に至ったもようです。

しかし、この結果は問題の性質を考えたときに非常にまずいものだと思われます。なぜなら、ウェブ上に掲載された記事は様々なところでキャッシュされ、どこかしらに残ってしまうからです。代表的なものではウェブの国会図書館的なサービスであるいわゆる Web Archive(Internet Archive Wayback Machine)があり、また同ブログはフィードで記事の全文を配信していたため、Google Reader その他のウェブ上のフィードリーダや、フィードを読み込むローカルのアプリケーションにもそれが残っている可能性があります。

記事がアーカイブされているということは、必ずしも元の URL に記事がそのまま残っていることと同じ意味を持つものではありません。しかしながら、元のブログに詳細な謝罪文を載せたり、問題の記事があった URL にその記事のどこが悪かったのか分かるような文章を残しておけば、キャッシュから URL をたどったときに読者は正しい情報を得ることができます。謝罪の意志があるならそうすべきでした。記事の削除とブログ全体を消してしまうことは、この場合とても良くない考えでした。

私は会の内部事情は知るものではありませんが、運動体とその関係者たちが情報技術やインターネットをどうつかめばいいのか、これらを利用して顔の見えない読者とつきあったり、オンラインのコミュニティを維持するための経験をどう積めばいいのか、あるいはこういったものの存在を前提としたときに運動はどう変わって行けばいいのか、などといったことを考える材料を頂いたと思います。故ブログのご冥福をお祈りします。合掌。

なお、ブログでない方の『館長雇止め・バックラッシュ裁判』のウェブサイトは健在で、今後も存続するつもりのようですが、消滅したブログへのリンクがまだ残っているあたり行く末が危ぶまれます。