今なお生きつづける、勇みで粋な町鳶の世界。本物の江戸っ子たちの、惚れぼれするような横顔。
迫る官軍、備える幕府。明日にも江戸突入かという騒然たる中、相対する勝海舟と西郷隆盛。江戸焦土作戦との取引説もある、江戸城無血明け渡し。これは海舟の最大の功績とも言われる。反面、幕府を売ったーとも。この真相を解明し、現代日本のポスト・リストラの道筋を明らかにする、文庫書下ろし長編小説。
崩壊しつつあるのは果たして「農村」なのか、それとも…?東北の知的専業農民が鍬をペンに変えて、現代の「妖怪」に戦いを挑む。笑いと涙と怒りのエッセイ25編。
26歳、夏瞳が綴る詩集第3弾。
僕がいかれているのは百も承知だけど、これ以上いかれたくないんだ。疲れ傷ついた心を抱える「クソ真面目・百点満点野郎・完璧主義者・人の目を過剰に意識する人」たちに捧ぐ、癒しのエッセイ。
自らは粗衣粗食に甘んじ、残りは社会福祉に寄贈して、全国から殺到する病める人々を命がけで癒し続ける現代のキリストとも言える壮絶な生き様を初公開。
1958年から93年まで35年余、国家公務員としていわゆる五十五年体制のもとで働き、「私はいまでも公務員であったことに誇りを持っているし、国家にとっても国民にとっても、いたずらに公務員を貶めることによって何の利益もないと思っている」という筆者が、アノニミティ(匿名性)の重石をはずして綴った随筆集。柔らかい語りのなかで、今の日本人が忘れかけたものを思い出させてくれる。
「(勝小吉は)42歳になった天保14年におのれの放埓な一代のことを『夢酔独言』と題して、書いて残した。この時代の武士になかなかないことで実に率直に、無邪気な程度に隠すことのない自伝である」と大仏次郎が評した表題作に、『平子龍先生遺事』を収録。江戸時代の庶民の声が蘇える。
「親父、一度山小屋に泊まってみたいな」かつて“お父さん”と呼んでいた息子は今や私を“親父”と呼ぶまでに成長した。家族、友人との温かな交流を深めながら、10年にわたり登った山々が今詩情豊かに描き出される。
男と女、善と悪、裁く者と裁かれる者…その切なくも哀しい人間の実相に法と慈眼で迫り続けたヤメ検弁護士の半生記。
日常生活で感じた、あんなこと、こんなこと。ちょっと視点を変えてみれば、毎日がまったく別のものに思えてくるはず。何気ない出来事をほのぼのとした筆致で綴った、心温まるエッセイ集。