ヤンネは突然ぼくのまえに現れた。まっ赤な髪の毛をなびかせ、自転車に乗っていた。そばかすだらけの白い肌、女の子みたいにきゃしゃな体つきでも、「ヤンネ」という名の男の子だ。自転車の腕前も度胸も、ぼくたちの仲間の誰にもひけをとらない。ぼくにとってヤンネは、かけがえのない親友になっていくが、ヤンネの正体は謎につつまれたままだった。親も、住んでいるところも、そして名字さえもわからない。その上、ヤンネは、ときどき姿をくらましてしまう。そんなある日、ぼくは街角でデカから尋問をうけることになった。よりによって、ヤンネのことで…。ヤンネの正体をめぐって、物語は急激に展開する。謎が謎を呼び、最後には思いがけないどんでんがえしが…。現代スウェーデンを代表する作家の渾身の一冊。ニルス・ホルゲッソン賞、スウェーデン文学協会新人賞、ドイツ児童図書賞受賞。10代〜。
子供たちの独立国家は、本当に実現するのか?そこで浮き彫りになる、日本の現在(いま)とは?本書は、竹島問題、憲法改正、象徴天皇制などのアクチュアルなテーマを、架空の小学校を舞台に平易な言葉で論じる、一八世紀以前にヴォルテールやルソーなどが得意とした「小説的社会批評」だ。謎の園長・ハラさんが経営する小学校に通う、主人公の小学生「ぼく(ランちゃん)」とその仲間たちは、知性と個性に彩られた不思議な大人たちに見守られながら、少しずつ自分たちの「くに」を創り始める。
白血病だったことを知らされたぼくがかみしめるいのちの重さ。幼児から大人まで。
イスラエル占領下のパレスチナ。十二歳の少年カリームの夢は、サッカーの世界チャンピオンになること。外出禁止令が解除されると、瓦礫の山を片づけて、さあ、サッカーの練習だ!ここが、ぼくたちの砦なんだ!-過酷な環境の中、いつか自由を、と願いながら、明るく生きる少年たちの物語。
カルは、高い山の上に住んでいるので、学校へ通うことができません。もちろん図書館なんてないし、本を読みたいと思ったこともありませんでした。ある日、馬に乗った女の人が、カルの家に本を持ってやってきて…。今から、80年前のアメリカ。学校にかよえない不便な場所でくらしている子どもたちへ図書館の本を運びつづける人たちがいた。
時は一九七〇年代。田舎町に住むヤンチャでムチャでワンパクな男子高校生と町の駐在さんが“あいかわらず”繰り広げるイタズラ合戦第七弾。高校入学から間もなくして写真部に入部したママチャリは、駅前で撮った写真におかっぱ頭でもんぺ姿の少女が写りこんでいるのを発見する。これを機に“ぼくたち”は『心霊研究会』を結成。やがて、クラスで話題の「稲荷神社で聞こえる謎の笛の音」「千人針の怪談」がとある女性から語られていたことを知る。彼女の意図とは一体なんなのか!?今回は“ぼくたち”と駐在さんが出会う前のプレストーリー『桜月夜』を一挙掲載。
私はセシリア・シヴィル。女神教会の騎士であり、現在は勇者ミカミ・トオルとともに旅をしている。トオルからは師匠などと呼ばれていて…恥ずかしいが、光栄でもあるかな。さて、魔人ゲインの襲撃により重傷を負い、“先端医療開発特区・ナルス”に担ぎ込まれた私たち。気がつけばカプセルのようなものに寝かされていて、外に出てみれば私のことを探しに来たトオルに裸を見られてしまって、そして、ファルディオとルウがテロリストとして追われていると聞かされ…。これから語られるのは、ナルス史上最悪の事件の顛末と、そしてー私、セシリア・シヴィルの、最後の一週間の物語。
自分が地上で最も偉いなんて威張るのは人間だけ。驚くべきは、昆虫たちや、ネコや犬、そして大型動物まで、あらゆる生き物が体現する生き延びるための想像を絶する才能と知恵。その無限の可能性に魅せられた少年は何を考えて成長したのか。渋谷でチョウを追った少年の物語。