世界に名だたる長時間労働体制下の日本において、家族は解体の淵に立っているのか-本書は、従来の家族研究方法に内在する問題点を批判的に考察しつつ、現代日本の家族を歴史的に位置づけ、かつ「企業社会」との相互連関構造を明らかにする。ジェンダー・アプローチによる家族研究の到達点。
オペラにおいて女性と男性が文化としてどのように表現されているか?歴史上のさまざまな時代に欲望と快楽は音楽でどのように構成されてきたか?音楽理論ではジェンダーを内包するメタファーがどのように行き渡っているか?ジェンダーとセクシュアリティの視点からひらく音楽学の新たな地平。
女性固有の利害関係が政治世界に与えるインパクトをアメリカの現代政治史を通して分析する。
ジェンダーの視点から、様々な題材を通して、近現代の権力および支配・ヘゲモニー現象を「ジェンダー・ポリティクス」として分析。同時にその変容の契機、方向性を模索。
「ジェンダー秩序」とは、本書においては、「男らしさ」「女らしさ」という意味でのジェンダーと、男女間の権力関係である「性支配」を、同時に産出していく社会的実践のパターンを意味する。本書において呈示したいことは、まさにこの、ジェンダーと「性支配」が、ジェンダー秩序に沿った社会的実践の持続によって、同時的に、社会的に構築されるということにある。
福祉政治の動態は、北欧でも、大陸ヨーロッパでも、イギリスでも、旧来の「3つの世界」の枠を越え出ようとしている。福祉国家はどこに行くのか。本書は、各国の動態分析をふまえて、福祉国家再編にかかわるキーワード群を掘り下げ、21世紀の福祉国家を展望する。
比較福祉国家論は、今日、静態的な類型化にとどまっていない。今後の進むべき針路や社会保障の具体的なPolicy Makingを考える際に重要な示唆を与える。本書は比較福祉国家論の理論的・実証的深化をめざしている。
空間、時間、身体、生きられる経験の根源にまでさかのぼり、その概念の再構築を通して、グローバリゼーションへの対抗的理念を提示する。
デパート、スーパーで働く女性たち。女性労働の特殊性を過度に強調したり、不利を告発したりする「ジェンダー・ステレオタイプ」の分析を斥け、今日的状況にふさわしい労働組織変革の方途を探る。
結婚と出産を“回避する”若い女性の意識の変容に社会システム・価値意識・コスト感の三つの側面から実証的・総合的に迫る。
ジェンダーの視点から労働法の再構築をめざす。日本的雇用関係の変容、賃金・昇進における男女差別などの課題を、“女性中心アプローチ”の方法により精緻に分析する。
もっとも身近で日常的な社会意識に注目し、データによる実証研究、理論的研究、アジアの社会との比較研究などの多彩な試みを通して、多文化世界におけるあらたな市民社会の構想に一石を投じる。
敗戦から新たな戦前へ。8・15から「慰安婦」・教科書・女性兵士問題まで、戦後60年をジェンダーの視点で読み解く。
女性の人権保障、地位向上、男女平等の推進に果たした条約の大きな役割を分析。ジェンダー平等社会を形成し、条約を定着させるために。
わが国では、ヴィクトリア朝文化について歴史・文学・美術・あるいは建築などそれぞれの分野において研究が進んではいるが、ヴィクトリア女王そのものを対象としてとりあげた研究はなかった。本書は、男は公領域、女は私領域に活動の場を得るのが男女本来の資質に適っているという考え方が支配的であった時代にあって、「公領域の頂点に立つ女性」というパラドキシカルな存在であったヴィクトリア女王に、王権とジェンダーの関係、「視覚的表象」と「言語的表象」と王権の関係という視点から迫る「ヴィクトリア女王学」の第一歩。これはまた、わが国の「女帝論争」にも何がしか示唆するものがあろう。