本書は日韓の女性たちが初めて、ともにつくった近現代史書です。日本と韓国は海を挟んでむかいあい、長い交流の歴史があります。しかし、近代の日韓の関係は日本の植民地支配にはじまり、韓国の人びとを戦争にまきこみ、癒しがたい傷を残しました。この本がめざしたのは、ジェンダーの視点から過去をとらえなおし、歴史的体験を共有することです。そして、どのようにして戦争のない未来をつくっていくか、若い世代とともに考えたいのです。
既成の戦後論/民主論/占領論はなにを語らないのかー。敗戦後という時空間、ジェンダーというまなざし、東アジアという問題領域を照射し、戦後を歴史化して、戦後思想の政治性を射抜くフェミニズム文化批評。
ILO(国際労働機関)の「対日本勧告」を手掛かりに、日本の男女賃金差別と性奴隷問題の国際的位相を明らかにするジェンダー問題を考えるうえで必読の書。
「境界」から「二重の声」を響かせるアメリカ女性作家たち。白人、黒人、日系、アジア系の人種の枠を超え、階級を超え、時代を超えて語りかける彼女たちの声に耳をかたむけ、発掘、再評価する8つの論考を収める。多様性を重んじ、矛盾や曖昧さにも開かれたフェミニズム批評の魅力が、ここに結晶する。
国連開発計画(UNDP)が1990年以来毎年刊行してきた『人間開発報告書』(1990〜2005)の内容を鳥瞰できるように要約。
暴力をどのように引き受け、その連鎖を断ち切るのか。「暴力の表象/表象の暴力」から過去の暴力の痕跡をたどり、対抗暴力の限界を受け止めて、ジェンダーやフェミニズムの視点から暴力の循環を断つための実践的可能性を展望する。
刑事手続における被疑者・被告人の適正手続の保障に反することなく被害者の安全と権利は如何に守ることができるのか。米国DV防止法・加害者逮捕政策をもとに「配偶者暴力防止法」改正を考える。
二元的なジェンダー制度をもつ主流文化に対抗するクィア芸術家ボーンスタインの精神と肉体の履歴。
お茶の水女子大学21世紀COEプログラム「ジェンダー研究のフロンティア」の研究プロジェクトの一環として、2005年度(平成17年度)から2007年度(平成19年度)に得られた成果をまとめたもの。
ビューティー・サロンは「女らしさ」を読み解く絶好のスポット。身体・ジェンダー・健康をめぐる利用客の多彩な関心と、美容という労働の位置と経験を鮮やかに浮かび上がらせ、新たなフェミニスト思想の地平を拓く。