世論調査ですでに国民の過半数が賛成している「選択的夫婦別姓制度」。生き方の選択肢を増やすこの制度の実現は、一体何に阻まれているのかー現在の法制度の問題点をはじめ、各政党の最新動向、統一教会問題であらわとなりつつある自民党政権の「価値観」まで、ジェンダーの視点でいまの日本政治を総合的に検証。
女として生まれ育ち、「ふつう」を願い、罪悪感に押しつぶされながら、男になりたいとカミングアウトした、「僕」の物語。急転する子どもの人生にとまどい、憤り、悲しみ、それでも子どもと共に歩むことをあきらめなかった、「母」の物語。トランスジェンダーの医療概念と社会通念の変遷、家族を取り巻く社会構造の変容に翻弄されながら交差する2つの物語は、ついにひとつの結論にたどりつくー
中学入試の社会科は、現実社会を映す鏡である。2022年の実際の入試問題の中から、中学受験のプロが9問を厳選。外国人労働者、環境、格差、ジェンダーなど多岐にわたる分野はSDGsにも通じており、大人の学びにとっても格好の教科書となる。掲載校は麻布、田園調布、武蔵、頌栄、浅野、〓友、駒場東邦、東京純心、市川。圧倒的本気度の9問は、子どもにとってはペーパーテストでも、大人にとっては解決すべきリアルな課題だ。
1950年代以降の工業化社会の加速的な進展により、地球は地質学的な新時代である人新世に突入した。私たちの文明を支えるプラネタリーバウンダリーの境界内で、人類の繁栄は可能だろうか?50年前に『成長の限界』は地球の生態学的破壊と社会の崩壊の可能性ないしは蓋然性を警告した。本書では世界経済と地球システムとの関係を新たなシステムダイナミクスモデルに基づき分析し、最も大きな便益をもたらす筋道を究明する。本書は貧困、不平等、女性のエンパワメント、食料、エネルギーに関する5つの方向転換の必要性を訴え、ウェルビーイング経済、普遍的基礎配当、社会的緊張の緩和といったシステム的アプローチを提示する。これらの方向転換は人新世において新しい社会契約の基礎を形成する可能性さえあるだろう。本書が人類のために有益な指針となり、このたった一つの有限な惑星における文明の「21世紀的サバイバルガイド」となることを願っている。
フロベール、その女たち、その書物。フロベールの文体から生みだされた女性像にはジェンダー問題が投影されていた…愛人たちと交わした書簡を読み解きながら、社会規範を逸脱していくエクリチュールの潜勢力を見極める。
誰も他人と同じようには働けない。人間を部品と化す規律化。それに抗する可能性を、戦後の「主婦」や「障がい者」の運動に探る。労働とは何か、ジェンダーの視点で問い直す。
大学・大学院など高等教育機関における理系分野の女性学生の割合は、OECD諸国で日本が最下位。女子生徒の理科・数学の成績は世界でもトップクラスなのに、なぜ理系を選択しないのか。そこには本人の意思以外の、何かほかの要因が働いているのではないかー緻密なデータ分析から明らかになったのは、「男女平等意識」の低さや「女性は知的でないほうがいい」という社会風土が「見えない壁」となって、女性の理系選択を阻んでいるという現実だった。日本の男女格差の一側面を浮き彫りにして一石を投じる、注目の研究報告。