ゲーテは女性になりかわって、その内面を代弁したり、女性を素晴らしい存在だと見なしていたわけではない。自分を語るための器として用いたにすぎない。それは空であるほどたくさん盛ることができる。器である女性が自ら語り出したり、自己主張することはゲーテにとって望ましくなかった。女性の視点からゲーテを読み直す。また18世紀から19世紀の女性小説を丹念に読み、男性社会規範の中でもがいた彼女たちの姿をうかびあがらせる。
日本の女たちが長く秘めてきた飢えや渇望を、『女坂』、「妖」など一連の、古典を媒介とするポリフォニックな小説群として浮上させ、戦後女性文学の金字塔を打ち立てた作家円地文子をジェンダーの視点から問い直す。
本書は、ポスト高度成長期、とりわけ1980年代を主たる対象に、女性の就労に関わる政策を、フレキシビリゼーション・平等・再生産という三つの大きな政策課題に整理し、政治学の視角から分析したものである。
変化の直中にあるアボリジニ社会。その歴史的背景や社会的実践のあり方を、しなやかで力強い生き方を見せる女性たちに着目して描き出す民族誌。男女の関係や平等のあり方は決してひとつではないことを示し、人類学的方法のオルターナティブを提案する。
ヨーロッパ近代秩序としての公私二元構成ーその生成過程には、ジェンダー・バイアスの生成が伴った。姦淫罪(法と道徳の分離)、嬰児殺(人道主義)、読書協会(市民的公共圏の成立)の3側面から立証。
世界最高水準の研究教育拠点形成を目標とする平成15年度21世紀COEプログラム(社会科学分野)の1拠点として、東北大学「男女共同参画社会の法と政策-ジェンダー法・政策研究センター」が採択された。この拠点は、21世紀の日本と世界がめざす男女共同参画社会形成のための理論的課題を、法学および政治学を中心とする視点から明らかにし、「ジェンダー法・政策」研究という新たな学問分野を確立するとともに、ジェンダーセンシティヴな若手研究者・法曹実務家・政策担当者等を育成することを目的としている。また、研究教育の成果を世界に発信してアジア地域と欧米の諸機関をつなぐネットワーク拠点を形成し、地方公共団体・弁護士会等とも連携して、研究成果を政策実践にフィードバックさせることをめざすものである。
少子化の時代に、女性は社会と家族をどうつないでいくか。家族の表象を革新し、社会と家族の新たな関係を模索する。
ジェンダー法学は、既存の法律学をこれまでにない視座から批判し、既存の法制度や学問の領域にたって、性別による社会的不平等を是正しようと試みる。女性の普遍性、男性の特殊性の事実に目を向け女性の視点と経験が生かされることが、真の男女共同参画社会実現の第一歩である。新しい学問領域であるジェンダー視点から法学を学ぶ最新のテキスト。法改正と社会の動向をキャッチした充実の第2版。
男性スポーツ集団に深く関わりつつもその一員にはなりきれない、「境界」を生きる存在-女子マネージャー。新聞・マンガなどのメディア分析、関係者へのインタビューを通して、その誕生の背景、議論を呼びつつも増加していった理由、アイデンティティの不思議に迫る。
もっとも身近で日常的な社会意識に注目し、データによる実証研究、理論的研究、アジアの社会との比較研究などの多彩な試みを通して、多文化世界におけるあらたな市民社会の構想に一石を投じる。
「家族」言説からの解放を目指して。いま、「家族」には何が起こっているのか。近代から現代へと連なる社会構造的な問題と、人間のこころ・意識とを媒介するジェンダーの視点を中心に据えつつ、法学・臨床心理学・社会学の三方面から、家族を巡る社会現象を考察・分析する。