本書は、最新のジェンダー学、女性学、フェミニズム、クィア・スタディーズの視座に立って、言葉も時代も地域も異なるさまざまな社会の文化表象を多角的に読み解いた、個別研究成果の集成である。多様で錯綜した現実を読み解くうえで、「ジェンダー」という視角あるいはファクターを考慮に入れるとはどういうことなのか、種々の専門研究領域が培ってきた問題意識を投影しながら検討をすすめるとともに、ジェンダー視点そのものを再検証し、それをふまえた研究のあらたな展開の可能性を探る試みの軌跡がここにある。
ザルツブルク音楽祭で、8年にわたって人気を集めたポネル演出の、野外劇場のフェルゼンライトシューレにおける「魔笛」をパッケージ。きら星のごとき歌手陣による、理想の舞台が甦った、ファン垂涎の作品。
「男らしさ」「女らしさ」は時代ごとに形作られて、さまざまな主張・言説の渦に巻き込まれながら変化し続けてきた。天皇家族写真から和服や男性美をめぐる論争、大正期のインターセックスの語られ方、戦時下の「ミス・ニッポン」の身体イメージなどの多様な事例から、“性”や“身体”という連続体に裂け目を入れて分離しようとする力学を浮き彫りにする。
魅力的な女性シンガーによるデビュー作。メリッサは正統的なジャズ・ヴォーカルに現代的な感覚を加味した歌唱が魅力的。プロデューサーに気鋭のトランペッター、クリスチャン・スコットを迎えたことで、バックの演奏にも聴きどころが満載の一枚。
妊娠を機に恋人のジャクソンと結婚したヘレンは、彼の故郷のケンタッキーで新生活を始めることに。だがジャクソンの母親マーサは、彼を溺愛していて……。グウィネス・パルトロウ主演のサスペンス。
ダニー・ハサウェイの娘、レイラ・ハザウェイとの共演盤で、ジャケットにも示されたようなビタースウィートな雰囲気がたまらない。円熟したジョー・サンプルのタッチは、柔らかさと力強さの間で絶妙のバランスを保っている。
自身のルーツであるテキサスを意識して制作された2002年のソロ作品。リズ・ライトとハワード・ヒューイットのヴォーカルをフィーチャーし、天性のメロディメイカーぶりを遺憾なく発揮した充実作。
さまざまな場で起動する「男子基準」、性別(間の/内に)ステレオタイプな分化を促すシステム、知に潜むジェンダー・バイアス、機会と選択の壁ー教育と研究の場はいかに変わりうるか。性や家族を問い直す知への逆風や、制度化と格差のジレンマに地道に向き合う実践と省察。
リアルな「わたしの性」を晴ればれと生きていきたい!-TS(性転換)当事者が語るこころ・からだ・性の軌跡。
二つの性の狭間で苦しんだ著者だからこそ見えてくる!愛、家族、仕事、教育、社会とは…etc.男性、女性二つのモードで暮らすトランスジェンダーの現役高校教師。
本号では、研究発表の要旨として、マンガ、展覧会、演劇、絵画、女性画家、「日本」像の分析等、多彩な発表内容を掲載した。加えて、日本ではまだほとんど紹介されていない「チカーナ」の壁画家、ジュディス・バカに関する論文、逆によく知られてはいても新しい視点からの分析に出会うことの少ない、マティスに関する論文、これまでジェンダーの視点からの解釈が行われてこなかった、ポスターに関する論文を収録している。
本書は、日本、中国、西洋の美術史を対象とする一〇編の論文と、現代日本の写真を扱った一編の論文から構成されている。各論文をつなぐ共通点は、それらがすべてジェンダー論の観点から発想されているということである。