いま激動する社会に最適なかたちを模索して試行錯誤する日本の家族。進化心理学、文化心理学など新たな視点をも統合した、新しい家族心理学。
イギリス帝国が海を隔てた植民地下の帝国臣民および被支配民に与えた影響を考察する。政治・外交史というこれまでの植民地史のアプローチを超えて、ジェンダーやマイノリティ問題などにも言及しており、多文化社会のイギリスを考える上で重要な本となろう。
教師教育が直面する課題とは何か。教師とジェンダーの関係性に特に着目しつつ、フランスの教職/教師教育に関する社会学的研究を検証し、同じ課題を抱える日本の教育施策への示唆を見い出すことを目指す。
東アジア各国のジェンダーのあり方を検討し、性別による制約から自由な社会を構想する。
明治末から昭和戦前期に活躍した経済・社会政策学者で、大阪商科大学(現大阪市立大学)初代学長を務めた河田嗣郎は、男女同権の立場から、当時主流であった「良妻賢母主義」教育や平塚らいふうの主張する「母性主義」を批判し、女性の自立と母性の保護をともに論じていた。河田が残した膨大な著書・論文・記事を、精査。家族制度論・公民教育論・母性保護論・社会政策論をめぐる性別への視座に注目し、その思想が、現代のジェンダー論につながる先駆性を持っていたことを明らかにする。
歓喜や希望の水面下にうごめく政治的、経済的思惑を暴き、若者の教育やジェンダー、アスリートの権利など人権的な視点からも鋭く切り込むことで、これからのスポーツメガイベントのあり方を問う。
他者のない愛を営むナルシスト、他者の非存在を生きる独我論者、オカルト・輪廻転生・宗教などのブームの背景にある神秘主義の興隆。超母権文明の到来の中で、エロスは迷宮化し、自我は溶解し、アモルファス化する…。世紀末の男性論をリードしてきた心理学者が、新たなる他者論と世界観の心理学を構想しつつ世に問う、最も先鋭的な文明の書。
長時間労働、過労死、社畜、経済摩擦…。繰り返し指摘されてきた、日本の企業中心社会が作り出す歪み。だが、従来の議論ではある問題がー女性と男性が直面する〈現実〉の違いがー忘れられてはいなかっただろうか。「ジェンダー(性別)関係」をキーワードに、あらたな角度から現代日本の構造と動態をとらえる刺激的な試み。
世界の男女平等趨勢に照らして、不公正と言うべき日本の労働・生活・政策のジェンダー・バイアス。日独比較を通して変革のために何が必要かを説く。
映画と文学からのアプローチ。アメリカの現在の文化情勢を文学的な立場から概観する。たんなる文学研究から文化研究へと視野を広げることで、多元文化主義にもとづく「アメリカの近代」の姿が、その矛盾とともに浮かび上がる。
ヴェトナム系アメリカ人の女性の眼で、アジア・アフリカの「周縁性」を解体するー詩的に、そして分析的に。ドキュメンタリー映画論ほか、挑戦的な批評。
教育現場に自信と誇りを取り戻すことはできるだろうか。偏見にみちた短大のイメージを壊し、学生と教員の本音を引き出す。
家族単位から個人単位へ。差別的な社会秩序の変革を目標に、われわれの常識、法律・福祉など具体的諸制度を考察する。男女両性にとっての解放論。
芸術作品として鑑賞されてきた日本の絵画をもう一度見なおしてみよう。美しくあるいはエロチックに描かれたたくさんの女性像がある。これら女性像はどういう状況の下で描かれたのか。平安時代から近代まで、絵画に描かれた女性像をとりあげ、時代や社会が女性に何を求めていたのか、女と男の関係はどうなっていたのか、その隠されたメッセージを読み解く。新しい美術史入門。