日本軍性奴隷制を裁く「女性国際戦犯法廷」の意義と、フェミニスト・アクティビスト松井やよりの思想性を、振り返り再評価する。法廷から十年を経て、より明確に把握されるべきマイノリティとグローバリゼーションの視点から、現代のフェミニスト・エシックスの可能的地平を切り開く。
西欧/男性のエキゾチズムの視線から離れた場で、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの女の言葉は、何を生み出しているだろうか。本書は、詩的想像力あふれる言葉や映像コラージュの引用を織り込みつつ、「物語る」ことにまつわる複数の知と、文化をめぐる問いとを交差させ、その隙間に息づいているものを見つめる試みである。ポストコロニアルの文化を深く問い直しつづけるベトナム出身の映像作家/音楽家/人類学者による、記念すべき最初の著作。
なぜ「対立」は生まれたのか?保守運動家・フェミニストへのフィールドワークと、膨大な資料分析から、「対立」の背景を明らかにする。
女性解放運動から第三波フェミニズムの誕生まで。浮かび上がるもうひとつのアメリカ現代史。
高級リゾートホテルに泊まる紳士淑女。美食を満喫し、洒落た会話も弾むなかで完全密室の殺人が起こる表題作など、筒井康隆の傑作犯人当てミステリ!
権力はいかに言説のかたちをとって身体・精神・欲望を形成するのか。女と男の弁別が身体の自然に根ざすとする本質論的前提を根底的にくつがえし、セクシュアリティ研究の方向を決定づけたフェミニズム/クィア理論の最重要書。
1920年に女性参政権を獲得した後、アメリカの「フェミニズム運動」は、どのように展開されたのかー全米女性参政権協会(NAWSA)、全国女性党(NWP)、全国女性有権者同盟(NLWV)の組織の一次資料をもとに、1910年代の女性参政権運動、1920年代半ばにかけてNWP内における平等憲法修正条項(ERA)を作成するまでの過程とNLWVの母性保護を基軸とした社会福祉法制定過程に焦点を当て、「第一波フェミニズム」の思想と実践の成果は、「第二波フェミニズム」にどのように継承されたのか、NYのラディカル・フェミニズムの組織をとおして考察する。
あなたの「フェミニズム」は差別的?主流の白人フェミニストが提唱する「シスターフッド」に対して、BLMの時代、「ブラック・フェミニズム」からの切なる訴えとはー?白人女性=自分に置き換えると見えてくる、シスターフッドのあるべき姿ー。
一夫一婦制度が確立した明治期から2010年代までの新聞・雑誌や文学作品を精読して、時代ごとに形作られた「囲われる/働く/消費される女性たち」の社会的イメージの変遷を追う。排除された女性たちの存在に光を当てるフェミニズム研究の裏面史。
フェミニスト・スタディーズを切り開いてきた著者が孫娘に語るように綴った、カナダ・ケベック州における女性たちの歴史。女性参政権、女子高等教育、男女間賃金格差、リプロダクティヴ・ヘルス/ライツ、アンチ・フェミニズムとの対峙など、これまでの女性たちの歩みと今現在につながる問題をたどる。
ポスト構造主義とフェミニズム理論を横断的に架橋し、理性=男性中心的な文化制度の中で誤読されてきたアメリカ女性作家の作品を蘇生させる。男性支配に馴れ親しんだ〈女性〉の裏切りを超えて、近代/ポストモダンの対立を揚棄する試み。
隠されたメッセージを読み解き、文学史の書き換えを迫る。気鋭の批評家・研究者12人による書き下ろし評論。
男と女の新しい関係とは。時代を挑発し続ける著者が全力投球したフェミニズム理論の総決算。