南紀・産浜の高級リゾートホテル。待遇、料理が抜群で、選ばれた紳士淑女だけが宿泊できる。作家・石坂は執筆のため、このホテルに滞在した。夜ごとのディナーとお洒落な会話、滞在客は石坂の他5名。会社役員夫妻、美貌のキャリアウーマン、地元の名士、大学助教授だった。サロン的雰囲気、完全密室の中で、三人が次々と殺されたー。奇妙なトリックの謎を解く、本格推理長編。
日本軍性奴隷制を裁く「女性国際戦犯法廷」の意義と、フェミニスト・アクティビスト松井やよりの思想性を、振り返り再評価する。法廷から十年を経て、より明確に把握されるべきマイノリティとグローバリゼーションの視点から、現代のフェミニスト・エシックスの可能的地平を切り開く。
「帝国」の暴力に抗し「帝国のフェミニズム」を越える、女性国際戦犯法廷。
クエーカー女性のフェミニズムへの貢献に着目し、アメリカ女性史に新たな光をあてた画期的な歴史研究の書。すべての人の「内なる光」に応えつつ、平和と簡素な生活を重んじて生きたクエーカー女性たちが、フェミニズムの母となった闘いの歴史を語る。
アメリカの社会福祉をフェミニズムの視点から再検討し、女性世帯主家族の増加や〈貧困の女性化〉などの現状を詳細に分析する。
ポスト構造主義による安定的な主体の概念の解体は、フェミニズムに何をもたらすのか。われわれが自らの性的位置づけを選びとるに至る無意識の過程をめぐり、ラカンは男女2つの性を対立的なものとして捉えない図式を打ち出した。ファルス中心主義として激しい批判にさらされてきたラカン理論のなかにフェミニズムの進むべき新たな道をさぐる。
「美しい国」づくりの号令の下、天皇家の「お世継ぎ」妊娠・出産に狂喜する一方で、日本軍「慰安婦」にされたアジア女性たちの声は徹底的に消し去られていくージェンダーの観点から、日本の自国・自民族中心主義を問う。
日本の女性たちは、朝鮮植民地支配と侵略戦争にいかに協力し、いかに抵抗したか。
フェミニズムの今日の課題は何か。欧米のフェミニズム論争の主要な見解を明示、対立と不一致を丹念にときほぐして進歩の可能性を探る。
『アンアン』等の80年代雑誌文化は「フェミニズムのようなもの」だった。「女の時代」と言われたあの頃の空気は、なぜ退潮したのか?林真理子、上野千鶴子らに焦点を当てて検証する。
ユング心理学とフェミニズムの対話と統合を目指すーユングの理論には彼の男性優位主義と女性恐怖とが色濃く反映されているが、対立しあうかに見える両者がともに人間理解に欠かせない視点を提供していることを、フェミニスト神学と知識社会学の視点から明らかにする。女性の心理臨床に新たな地平を切り開き、女性理解のための新しい指針を提供する注目の書。