「おれは幼年のときに青雲を踏み外した」というのが、晩年の勝海舟の口ぐせだった。海舟は一度は青雲にのった。そして、そこからすべり落ちた。すべり落ちてから、彼の本当の人生が始まった。剣の修業に打ち込み、西洋兵学を学ぶため蘭学に励んだ。やがて、海軍を創設するが、次第に幕末の歴史の表舞台に押し出されてゆく…。幕末の巨人、勝海舟の人生の軌跡を追い、時代の先駆者の実像に鋭く迫る歴史長篇。
産院から新生児が看護婦付きで誘拐される。わが子を奪われた母親は友人の二階堂日美子に助けを求めた。日美子のタロット占いはどう謎を解くか?捜査陣と犯人との息づまるかけひきのなか、誘拐交渉請負い人や私立探偵まで介入して思いがけぬ展開をみせる。人気の日美子シリーズ会心長編。