世界中を席巻する個人的自由主義、民主主義、市場中心主義の限界を論じ、現代文明の次なる指針を提示。グローバル市場のもたらす諸問題を論じた「グローバリズムという虚構」を新たに収録。東畑記念賞受賞作。
食文化の原典、今日に再生する1500年以前の加工調理法、だれにもわかり易く説かれた画期的口語訳と解説!第一線研究者によって食の神秘の扉はついに開かれた!食文化のルーツ。
「市民」のためと銘打つ政党が結成され、また、外国人ジャーナリストによる官僚社会批判が「市民運動」のテキストとしてベストセラーとなる現代日本。そこで描かれるのは、権力を我がものとする官僚VS.「市民」が主役の民主主義、という構図である。「市民」が、単なる「都市の住民」であることを超えて、神聖な存在に祭り上げられた思想的背景とは何だったのだろうか?戦後日本の思想の歪みを鋭く衝いた意欲作。
社会を支えていたはずの政治・経済・教育・家庭といった基盤が、崩壊の危機に瀕している現代日本。アメリカが強く掲げ、戦後日本が導入した「デモクラシー」とは、壮大なるフィクションだったのであろうか。敗戦から半世紀、わたしたちは「戦後民主主義」の名のもとに、「自由」「平等」という言葉の内に潜む危うさを意識的に回避してきたのではなかったのか。社会に「共有の価値」が失われたとき、「自由なる個人」は、一体どこへ行くのか。経済思想、社会思想の研究から現代文明批判、社会批判へと展開を広げる著者が、現代日本の病理を描き、戦後民主主義五十年の大いなる錯誤を突く。
貨幣論なき貨幣経済が支配し、自由論なき自由主義、個人論なき個人主義が標傍される現代社会。そのなかで、さまざまな〈技術〉と〈遊び〉の〈演技する知識〉だけが饗宴をくりひろげているのが、ポストモダンの知の風景である。本書は、その饗宴の向こう側へ旅立つべく、知識論と社会論の交差する地点に、現代社会の〈隠された思考〉を浮かびあがらせんとする力作論考である。サントリー学芸賞受賞。
従来の経済学の知的遺産を命題の形で解説すると同時に、今日の資本主義社会を理解する上で必須のJ.ボードリヤール、G.バタイユなどの論点も含めた経済学命題集。
産業文明の衰退と市場社会の高度化を表裏一体のものとしてとらえ、今日の時代の転換相を読み取り文明論的考察。
電子メディア情報が創る擬似体験の連続が、人々から“確かな現実感”を奪い始めた。“情報地球主義”の本質をどう捉えるかを問う現代文明批評。
『隠された思考』『時間の身振り学』で新しい思想のフィールドを開拓した著者が、再び大衆消費社会の歴史と現在をトータルに論じた3部作完結篇。
高度市場社会の表層に乱流するさまざまな現象の雑踏にわけいり、これらの社会現象の意味を時間論と交差させて読み解く。
地と祖に代々挨拶をなす為、言葉を受け継ぎ来た者の書。奉書に位置する物としてある。句歌集。
第一次大戦を境に幕を開けた「現代」。西欧の凋落を背に、自由・民主主義のアメリカ、社会主義のソ連、そしてファシズムが「世界」を動かす。二十世紀の挑戦、それは新しい価値と希望の創出だった。しかし、私たちの不安は消え去らない。ニヒリズムから逃れる術はないのだ。それに気づいたとき、勝ち残ったアメリカ文明の欺瞞が見えてくる。ニーチェ、ハイデガーの鋭い指摘を踏まえ、大衆化される現代社会の本質と危険性を暴き出す。独自の歴史観と広角な視点で時代の見取り図を提示する、佐伯啓思の「現代文明論」講義・完結編。
なぜアメリカの「一極支配」はあり得ないのか?なぜ日本は「アメリカ依存」ではやっていけないのか?35の「疑問」について、平易かつ明解にレクチャーする、強靱な思索の結晶としての「アメリカニズム」批判。
寂しさを抱えた中年男と若い女。偶然の出会いのはずが、互いの過去の恋愛が交錯しはじめる…。男と女の運命の不可思議と性愛を描く濃厚な恋愛小説。