ひさびさに家族全員揃った日曜日の夕方、ちょっと照れくさくなったお父さんが、日曜日には夕刊がないことを知りつつ「えーと、夕刊は…」なんてつぶやいてしまう、そんな気持ちにささやかなエールを贈らせてもらいます。現実の夕刊が哀しいニュースで埋め尽くされているからこそ、小さな小さなおとぎ話を、12編。微笑んでいただくための短編集です。
「竜ーなのか」親友の死の真相をさぐる羽井貴士。「-やっぱり、変」なぜか1日が2度繰り返すという時間のループに陥った藤谷瑞海。竜が支配する世界に違和感を覚えているのは、池橋高校に通うこの2人だけ。竜を崇拝しない異端者として謎の校内組織に追い詰められるなか、貴士と瑞海は世界に対する反撃を決意する。だが、生徒を竜の餌として捧げる“捕食の儀式”は目前に迫っていた!第四回角川学園小説大賞優秀賞受賞作品。
鎌倉に建つ梵貝荘は法螺貝を意味する歪な館。主な魔王と呼ばれる異端の仏文学者。一家の死が刻印された不穏な舞台で、深夜に招待客の弁護士が刺殺され、現場となった異形の階段には一万円札がばらまかれていた。眩暈と浮遊感に溢れ周到な仕掛けに満ちた世界に、アの名探偵が挑む。隙なく完璧な本格ミステリ。
ヴィンニは八歳の元気な女の子。ふだんははなれて暮らすパパと、夏のあいだだけ「日曜日島」ですごします。ちょっと頼りないパパとしっかり者のヴィンニの楽しい夏をえがいた、スウェーデン生まれの物語。
日々の暮らしでのささやかな発見や、旅の途上での思いがけない出逢いが、遠い記憶をあざやかに甦らせ、身体に眠っていた五感を呼び覚ます。言葉が紡がれる、そのときー腑に落ちる。生を実感する。休日の日経に睦月から師走まで、五十二人が綴った珠玉のエッセイ集。
第一次大戦中のある日曜日、戦場で5人のフランス兵が処刑された。婚約者を失ったマチルドは、事の真相を知ろうと調査を始める。その日何があったのか?生存者がいるという噂の真偽は?隠された真実の断片がジグソー・パズルのピースのように一つ一つ見事にはめ込まれていく。鬼才ジャプリゾが比類のない緻密な構成力で織り上げた情感溢れる傑作!アンテラリエ賞受賞作。
仕事や遊びに多忙な現代人へ、教会の礼拝にマンネリを感じているかもしれないあなたへ、名説教家として知られた牧師が語りかける滋味豊かな19篇の好エッセー。
篠崎柾人は端正なルックスながら淡泊な性格の大学生。ある日曜日、柾人は公園でダンサーの早瀬鷹夜と知り合う。ダンスに打ち込む鷹夜に刺激を受けた柾人は、かつてチャンピオンにもなった二輪ロードレースへの夢を思い出す。柾人は毎週日曜を鷹夜と公園で過ごす一方で、再びサーキットで走る決心をするが…。花丸新人賞受賞作+続編書き下ろし。