西南戦争を経て、西郷隆盛の教えに導かれた男は、新天地をめざし、太平洋を渡った。維新の嵐に翻弄され、異境の地に全てを賭けた男、馬場小三郎。それは新たなる闘いの始まりでもあった。牧師となり各地を伝道してゆく彼の眼に映ったアメリカ日系移民社会の希望と苦悩。
冒険者とは、夢や謎や財宝や美しい姫君や凶暴な怪物を求めて、はるかな空の下、はてしない旅を続け、故郷を遠くはなれ友と歌と愛を心のささえにして、剣と魔法と自分の信念にまっすぐにつかえる、そういうものだとわたしマリリン・マリルーンは思う。そういう冒険者にわたしはなりたい。歌姫“銀のユナイア”の護衛を頼まれたマリリンと冒険者の仲間たち。ゾンビを操る死霊術師はどこに。そしてさらにしのびよる巨大な悪の影ー。はたしてマリリンたちは無事に歌姫を守りぬくことができるのかー。
1962年10月16日。ケネディ大統領のもとに、とんでもないニュースがもたらされた。カストロ政権下キューバの領土内に、ソ連軍によるミサイル発射基地が建設中、アメリカ本土を射程とした核ミサイルが配備されているというのだ!息詰まるような緊張のなか、事態は二転三転し、思いもよらない危険な事件が次々と起きてしまう…。人類は、核戦争を回避することができるのだろうか?10月27日の「暗黒の土曜日」をクライマックスとする緊迫の13日間が、さまざまに視点をかえ、分刻みで再現される。冷戦終結後20年をへて、新たに発見された原資料や米ソ両国の当事者へのインタビューをもとに、気鋭のジャーナリストが描きだすノンストップ・ドキュメンタリー。
夏休みのある日、妹・麻由美と上野の博物館に出かけた小5の孝は、帰りの地下鉄で突然洪水に襲われ、気を失ってしまう。目覚めるとそこは、日本によく似た、不思議な別世界の町。しかも麻由美が、恐ろしい謎の巫女・迂渦夜姫にさらわれてしまった!さらに孝も、特別な力をもつ“金の馬の童子”として、迂渦夜姫の手先に狙われることに。孝は、ジュンスヰ印の竪琴の力を借り、町で出会った同い年の少年・マオと2人きりで、妹を助けに行こうとするのだがー。
無数の時計が配置された不思議な回廊。その閉ざされた施設の中の時計はすべて、たった一つの例外もなく異なった時を刻んでいた。すなわち、一分ずつ違った、一日二四時間の時を示す一四四〇個の時計ー。正確な時間を示すのは、その中のただ一つ。夜とも昼とも知れぬ異様な空間から脱出する条件は、六時間以内にその“正しい時計”を見つけ出すことだった!?神の下すがごとき命題に挑む唯一の武器は論理。奇跡の解答にはいかにして辿り着けるのか。極限まで磨かれた宝石のような謎、謎、謎、!名手が放つ本格ミステリ・コレクション。
880カ所のチェーン店を持つ宝飾会社の社長が札幌で惨殺された。事件に巻き込まれた社長秘書の塚本珠代と警察庁遊撃捜査係宮之原警部の追跡で浮かび上がった七年前の横領事件。死んだはずの男が次々と関係者を殺していく…?旅情豊かに展開する傑作ミステリー。
スペースの都合で、平成八年までの作品となりましたが、昨年春の海外詠の一部を記念として加えました。なお、句集名は多感な時代を過ごした札幌をしのんで、『時計台』としました。第三句集。
ポルシェに乗って現れたきざったらしい男・曾我部綱彦。彼はなんとエリート刑事にして、篤史のかつての恋人だった。篤史を「サディスト」(遼一郎のこと)から救い出すため熱心に口説くが、綱彦の言動には奇妙なところが多かった。全てを察した篤史は、オリーブづくめの部屋に乗り込むが…。表題作ほか、篤史の友達・勝の結婚式が乗っ取られた?大騒動・高松編、さらには、なぜか江戸時代版の番外編も収録。厄介な連中はますます絶好調。
多くの死者の想いこもり、少女の亡霊が徘徊するという時計館。訪れた九人の男女を待ち受けるのは無差別殺人。悪夢の三日間の後、生き残る者は果たしているのか。-最終章80頁にわたって次々に解明されるめくるめく真相。これほど悽愴絢爛たるクライマックスを持つ本格ミステリが、かつてあっただろうか。
これは、誠実さの中で傷つき、悩み続けたある教員の関わりの果てに生まれた生徒への“まなざし”の記録である。そしてまた、身体性のない教育言説をくぐり抜け、現場での当時者責任を果すための方法序説でもある。
24時間のリズムを刻む体内時計のしくみ。