成熟期をむかえる日本の人工林管理の新指標。欧米で実践され普及している、生物多様性の維持に配慮し、林業が経済的に成り立つ「保持林業」を第一線の研究者16名により日本で初めて紹介。保持林業では、伐採跡地の生物多様性の回復・保全のために、何を伐採するかではなく、何を残すかに注目する。北海道道有林で行なっている大規模実験、世界での先進事例、施業と森林生態の考え方、必要な技術などを科学的知見にもとづき解説。生産林でありながら、美しく、生き物のにぎわいのある森づくりの方向性を示す。
現役医師が日本全国217箇所を巡って選んだ秘湯・名湯。温泉の効能から、心と体が健康になるための賢い温泉利用法を徹底解説。温泉にまつわる言い伝えや歴史、文化についても幅広く紹介する。知っているようで知らない、温泉の秘密。古くから日本に根付く温泉文化を繙けば、温泉の虜になること間違いなし。心も体もイキイキしてくる温泉へご招待します。
「公正な社会」とはどういったものか。権利や財の分配で可能になるのか。米国の政治哲学者ロールズは、一九七〇年代以降、社会のあり方を根底から問い直し、世界に新たな地平を切り開いた。ロールズの考えを起点にリバタリアニズム(自由至上主義)やコミュニタリアニズム(共同体主義)など六つの思想潮流から正義とは何かを問う。格差や貧困など現実課題との接点に、個人の幸福を支える平等な社会の可能性を探る。
Pythonは、AIの開発やデータ分析、統計など何かと話題の分野で必須のプログラミング言語です。本書では、3つのプログラムを作り、動かしながらPythonの基本からちょっとした応用を学びます。1つ1つの手順を丁寧に解説するので、書いてあるとおりにプログラムを作っていくだけで自然とPythonの使い方や特長をマスターできます。
プレイヤーに圧倒的「体験」を生み出し続けたのは、感情を揺さぶる600万字超の「物語」だったー!スマートフォンRPGの原点『チェインクロニクル』の生みの親が語り切る、RPG制作の極意と物語創作論。
日本における国際政治学の最大の巨人・高坂正堯(1934〜96)。中立志向の理想主義が世を覆う60年代初頭、28歳で論壇デビューした高坂は、日米安保体制を容認、勢力均衡という現実主義から日本のあり方を説く。その後の国際政治の動向は彼の主張を裏付け、確固たる地位を築いた。本書は、高坂の主著、歴代首相のブレーンとしての活動を中心に生涯を辿り、戦後日本の知的潮流、政治とアカデミズムとの関係を明らかにする。
作家で、ミュージシャンで、一人の父、辻仁成氏。パリでの日々、多様な活動を前に生じた想いを、ツイッターを通じて発信してきた。なかでも反響が大きいのが「人生の十か条」だ。これは、著者が苦難に出会ったときに考案し、唱え、それを乗り越える術としてきたもの。壁にぶつかったとき、あなたはどう考えて、どう行動するべきか?不運、トラブル、人間関係。どんなに辛いことも、この「十か条」があればきっと大丈夫。
外国人は何を見たいのか。日本人は何を見せたいのか。明治初期、欧米の案内書では、「古き良き」文明の象徴として箱根の夜道が激賞される一方、日本側のガイドには、近代的な工場や官庁が掲載される。外国人による見どころランキングの変遷や、日本人による観光客誘致をめぐる賛否両様の議論を紹介し、日本の魅力はいったいどこにあるのか、誰がどう発見し、アピールするのかを追う。めまぐるしく変転する観光の近現代史。
条約改正や日清戦争の難局を打開した外交指導者、陸奥宗光。幕末の紀州に生まれた彼は、坂本龍馬のもと海援隊で頭角を現す。明治新政府において県知事などを務めるが、政府転覆計画に関与し投獄される。出獄後、欧州遊学を経て再起し、駐米公使としてメキシコと対等条約を締結。1892年、伊藤博文内閣の外務大臣に就任し、条約改正や日清戦争で手腕を発揮した。最新の研究成果をもとに、「日本外交の祖」の実像に迫る。
映画『新撰組』で初主役の座を射止めた銀四郎。理不尽な扱いを受けても、銀四郎を“銀ちゃん”と呼び慕う大部屋俳優のヤス。ある日、ヤスの下宿に銀四郎がかつてのスター女優・小夏を連れてきた。憧れの存在に舞い上がるヤスだが、彼女が銀四郎の子を妊娠していることを知る。言われるがままに小夏を引き受けたヤスは、生まれてくる子どものために、危険な「階段落ち」に挑むがー!?衝撃的な話題をよんだ直木賞受賞作!
日本画否定を乗り越え切り開かれた新時代。昭和十年代、前衛美術集団の離合集散が続いた。だが、新しい絵画の胎動は戦時体制に飲み込まれ、富士山や軍人など国威昂揚を意図した絵画が制作されるようになる。戦後は国粋主義への批判から「日本画滅亡論」が唱えられ、新しい道の模索を余儀なくされた。前衛として戦前に注目された吉岡堅二らから、戦時中、そして復興に寄り添って人気を博した東山魁夷や平山郁夫の活躍、さらに、平成以降の新潮流までを描く。
画家たちは近代化にどう向き合ったのか。開国後、大和絵、狩野派、浮世絵など日本伝統の絵画は、西洋絵画と出遭い、「日本画」と称すようになった。フェノロサに評価された日本画は、岡倉天心、橋本雅邦らが新設の東京美術学校で確立。のちには日本美術院の横山大観や菱田春草らが技法を追究し進展させる。幕末の横浜浮世絵や南画から、国家主導で堂々たる作品が制作された明治期、そして、今村紫紅に代表されるのびやかな画風の大正期を描く。
世界各地に充満してゆくキリスト教精神の内実。ルターに端を発する十六世紀ヨーロッパの宗教的動揺は、イエズス会というまったく新しい組織を生んだ。霊操と教育を重視し、異教徒への宣教を実践するイエズス会は、ポルトガル・スペインの植民地開拓と軌を一にして、新大陸やアジアへと進出した。かれらの思想や布教方法はどのようなものだったか。いかなる経済的基盤に支えられていたのか。現地社会に与えた影響や「キリスト教の世界化」のプロセスを詳細に検証する。イグナティウス・デ・ロヨラ、モンテコルヴィーノ、ザビエル…大海原を越え、異境へ赴いた修道士たちの思想と足跡。
儒教といえば、四角四面、堅苦しいイメージ。それは江戸時代以来、倫理道徳を強調した朱子学の影響にほかならない。しかし、儒教には、私たちに身近なもう一つの側面がある。たとえば、お墓、位牌、仏壇、そしてお盆やお彼岸といった先祖供養…。これらは本来の仏教ではなく、儒教に由来するものだ。儒教の歴史と展開を辿り、家族のあり方、冠婚葬祭、老後や死の迎え方など、日本人に深く根ざす、儒教のほんとうの姿をやさしく説く。
中央官庁で不祥事が相次ぎ、「官」への信用が失墜している。あるべき役人の姿、成熟した政と官のあり方、役人とは何か?答えはすべてここにある。「官僚組織のリーダーが判断を誤ればその影響は広く国民に及ぶ」。34年間奉職した財務官僚による渾身の書を緊急復刊!著者の経験がふんだんに盛り込まれた具体的なノウハウは、指導者の地位にある人やリーダーとなるべく努力をしている若手など、組織に身を置くあらゆる人に有効な方策となる。