これは激しい陣痛による幻覚症状に違いない。シカゴでも指折りの名医の彼が、どうしてここにいるの?出産で診療所に運ばれたレキシーは、立ち会いの医師を見て驚いた。シカゴに住んでいたときの隣人で一度だけ夜をともにしたタイラーだ。あの夜レキシーはリストラで職を失い、故郷に戻ることになっていた。だが普段と違って憔悴したタイラーに会い、ディナーに誘われるとずっと彼に憧れを抱いていた彼女は街を去る感傷も手伝ってノーとは言えなかった。そして、そのまま愛をかわしてしまったのだ。翌朝幸せに満ちて目覚めたものの、彼が見せた冷たい態度に傷つき、レキシーはすべてを忘れて一人で生きていく決心をして帰郷した。それなのにタイラーが再び目の前に現れ、作り笑いを浮かべている。たった今、自らが取り上げた子があの夜の情熱の証とも知らずに…。
夫に裏切られたレイチェルは、ロッキーマウンテン国立公園に隣接した叔母の農場でひと夏を過ごすことにした。地元の野鳥愛好会EPOCHの面々に誘われ、珍種の鳥探しに出かけた彼女だが、見つけたのは叔母を脅していた雑誌記者の死体だった。その直後、叔母が姿をくらまし、レイチェルたちは調査に乗り出す。鍵を握るのは、現場にいた一羽のワタリガラス!?鳥づくしのシリーズ登場。
本書は、社団法人長寿社会文化協会(WAC)発行の月刊誌『ふれあいねっと』に一九八九年(平成元年)より足かけ十五年にわたり連載されたエッセイと表紙絵の一部、手がけた特集記事を収録したものである。
世界一大好きな街パリを闊歩しながら、キミの心は躍っていた。人気女性誌のファッションエディターである彼女にとって、春のクチュール・ウィークはまた格別のものだ。有名デザイナーのショーを慌ただしく巡っている途中、キミは奇妙な男性に声をかけられた。ぼさぼさの髪に、よれよれのジーンズ。ふるぼけたコートは古着だろうか?だが、キミはすぐに気づいたーみすぼらしい身なりを装っても、危険な獣を思わせる鋭い目は隠せていない。彼は何者なの?ホールデンと名乗るその男は、ショーに入れずひどく困っていた。「正体を明かしてくれたら手を貸すわ」キミはほほ笑んで言った。
学園周辺になぜか頻発する怪異事件を極秘裏に処理する、秘密チーム「退魔生徒会」。今度は学園を離れて奈良京都へ修学旅行なのだけど…。おとなしくしているはずもない、ヨハンや葵。さらに修行もセットという、気の抜けない旅行に。加えて、現地の学校にも退魔生徒会はあり、苺はそこでモテモテに。チャーリーは渡会の熱烈アプローチに、高尾先生のことを真剣に考えはじめ、鱗は鱗で「婿殿」と呼ばれる始末…。どうなるのこれ!?すっかりおなじみ、TRPG『真・女神転生TRPG魔都東京200X』リプレイ・シリーズ第6弾。
時は15世紀、ヨーク公エドワード王が治める薔薇戦争期の英国。幼いころから伯父の城に住むネルは、突然帰宅を命じられた。10年ものあいだ会っていない父親が勝手に決めた結婚のために。出発前夜、厩で愛馬との別れを惜しむネルのもとに迎えが来た。道中の護衛だというその男の服には、ヨーク派の白薔薇の刺繍。傷跡が走る顔は無愛想だが、なぜか敵意のようなものを感じる。そもそも、国王の臣下らしき者がどうしてわたしの付き添いを?男は不審がるネルをその場で無理やり馬に乗せ、出発を宣言した。冷たい雨の中、正体もわからぬ男と、運命の旅が始まった…。身を守るために、ふしだらな女を演じる乙女。心に憎しみを抱いた騎士は彼女の真実に気づかず…。傲慢系ヒーローロマンス。
非道な独裁者として恐れられた男を父に持つレクシーは、人生を見つめ直したくて、インド洋に浮かぶ島国モラーツを訪れた。ここ二カ月ほどつきあってきたガスターノ伯爵とは別れるつもりだが、モラーツの空港に降り立つと、当の伯爵が待っていた。連れていかれたパーティで彼の態度に辟易し、レクシーは、ふと目が合った男性に話しかけた。力強い魅力にあふれた彼こそ、モラーツの君主ラフィークだった。レクシーは知る由もなかったが、彼は過去のある事件のためにガスターノ伯爵に復讐を誓う身で、レクシーに利用価値がありそうか、思案していたところだった…。
伝道者の家庭に生まれ、大正、昭和、平成という激動の時代を、エバンゼリン・ブース、河井道子、山室軍平、ティーリケ、トゥルニエ、ナウエン、羽仁もと子など多くの先達に導かれて生き抜いた著者が、自らの魂の遍歴を語る。
顔を合わせれば喧嘩ばかりのキャンディスとデレク。インテリアデザイナーのキャンディスはデレクが所有するホテルにあるレストランの改装を手がけているが木材の色からワインラックの位置に至るまでデザインをめぐっても口論が絶えない。それを見かねたデレクの弟タイラーはなんと二人を閉鎖中のレストランに閉じこめてしまう。工事のスタッフが来る月曜日までに仲直りしろだなんて。周囲を見回しても抜け出す方法はなさそうだ。二日間も二人きりなんてどうしたらいいの。
メラニーには消したくても消せない一夜の記憶がある。親友の結婚式の後、新婦の兄ジャックと甘美な時を分かち合った。暗闇の中で、メラニーは身も心も完全に彼に委ねてしまうが、翌朝、夜明けとともに照らし出された自らの過ちに愕然とする。“きっと帰ってくる”とだけ言い残し、彼は行き先も告げずに彼のもとを去っていった。ジャックは妹のリサから、女の子が生まれたという知らせを受ける。妊娠すら知らなかった彼にとって、姪の誕生は寝耳に水だった。妹の結婚式以来、十五カ月ぶりに帰郷した彼を、子供を産んで幸せいっぱいのはずのリサが怒り顔で出迎えた。おまけに赤ん坊の姿も見当たらない。困惑する彼に、リサは言った。「兄さんはきちんと責任を取るべきだわ」。
自社の贈賄を発見したアデナは、上司である恋人の関与も同時に知ることになった。ショックと憤りから、彼女は会社にも恋人にも別れを告げ、贈賄の相手会社を訪ねるーこの不正を正すよう訴えなければ。現れた社長のホルトは、予想に反して若くハンサムな男だったが、アデナの訴えを気にも留めない様子でブランデーなど勧めてくる。そして、不正を正すどころか、彼女にとんでもない申し出をした。「きみには、その古い情報よりはるかに値打ちがある。その魅力をぼくに売ってくれないか?」驚きに口もきけない彼女の唇を、ホルトの唇がふさいだ。
プレゼン・デザインの原則とテクニック。ビジュアル・コミュニケーション成功の秘訣。
世界の危機を乗り越え、想い人との絆をより強くした、あるいは真の想い人を見つけた退魔生徒会の面々。しかし、世界の命運をかけた戦いは、目前に迫っていた。ついに実験に成功した大月先生のプラズマ式タイム・トンネルにより、ヨハンは第二次大戦末期の伯林(ベルリン)へと向かい、ヒットラーの救出を目論む。さらに、卒業式前夜、世界を滅ぼすために「真実のニュクス」が月より飛来する。退魔生徒会の面々は、歴史の改変と世界の破滅を阻むことができるのか!?ゆるゆる〜っと続いてきた『真・女神転生TRPG魔都東京200X』リプレイ・シリーズ、ついに最終巻。
宮沢賢治が「農界の権威」と強調し、賢治研究者の間で「ナゾの人物」とされてきた坂本謙平は、肥後モッコスの著者の祖父だった。孫の眼から見たありのままの祖父の姿。
ジョジーは汗ばむ手でミニスカートの裾を引っ張り、店に入った。過保護な姉が薦めてくるブラインドデートの相手が従順な妻を探す退屈な男性ばかりなことにうんざりした彼女は、今夜、デート相手を怖じ気づかせて早々に追い返すつもりだった。セクシーな衣装を身にまとい、奔放な女のふりをして。だが、待ち合わせた男と目が合った瞬間、彼女の思考は停止した。彼はまさに好みの、目がくらむほどゴージャスな男性だったのだ。一方、友人の代わりにデートを断りに来たニックは、ひと目でジョジーに心を奪われてしまい、事情を言いそびれ…。優等生はもう卒業、身代わりデートからはじまる恋の楽しみ方。ベストセラー作家が伝授する、華麗な変身術。
ある日アンバーのもとに、思いがけず元夫から電話がかかってきた。元夫のバロンは銀幕の世界で活躍する人気俳優で、二人は数年前、彼がアンバーの住む町に撮影に来たことで出会った。バロンがハリウッドの世界によくいがちな、女好きのプレイボーイだと気づいたのは、結婚後のことだ。離婚してからはいっさい連絡を取り合わず、アンバーは若さゆえに情熱に走ったことを悔やんで生きてきた。もう彼とはかかわりたくない…いいえ、かかわるわけにはいかない。その一心で電話を切ろうとするアンバーに、バロンは冷ややかに言った。「なぜ君がぼくを避けるか、理由はわかっている」離婚後に妊娠がわかり、一人でこっそり子供を産んだアンバー。ワイルドなヒーローとの情熱的な恋。
アマンダは社運を賭けたコンペに向かうため、最終便に駆け込んだ。そこで偶然にも隣席になったのはジャレド・ジェームズー九年七カ月前、恋するあまり身を捧げようとしたアマンダを、容赦なく追い返した相手だ。罰として、忘れられないキスをして。彼女は祖父の前に突き出され、監獄のような女学院へ放り込まれた。みじめな青春時代を送るはめになったのは、彼のせいだわ!だがジャレドはアマンダの苛立ちを気にもとめず、今なら誘いに乗るよとささやき、欲望と軽蔑の目を向けてくる。アマンダは意思に反して高鳴る鼓動を抑え、冷淡に別れを告げた。だが翌日、命運を握るCEOとして現れたのはそのジャレドだった。
保育士のデイジーは平凡な娘だが、園児たちには人気がある。あるとき園で食中毒が発生し、保育園は閉鎖されてしまった。しかし、彼女は園児の母親に望まれて、やんちゃな双子の乳母の職を得る。食中毒騒ぎの時に病院で出会った医師セイムア。彼は双子の叔父で、子供たちを訪ねてきては彼女に何かと話しかけてくる。男性と交際の経験のないデイジーは困惑するばかりで、すてきな人だと心の中では憧れを抱きながらも反発するのだった。子供たちの父親の転勤で一家と一緒にオランダに移り住んだデイジーは、セイムア医師が訪ねてくるのを淡い期待を胸に心待ちしていた。ある日外出から戻ると彼の声が聞こえ、デイジーの胸は高鳴った。だが、セイムア医師は息をのむほど美しい人と一緒だった…。