2世紀後半、五賢帝時代の最後を飾る皇帝マルクス・アウレリウスが即位した。弟ルキウスを共同皇帝に指名した彼に課されたのは、先帝たちが築き上げた平和と安定を維持することであった。だがその治世は、飢饉や疫病、蛮族の侵入など度重なる危機に見舞われる。哲学者としても知られ賢帝中の賢帝と呼ばれた彼の時代に、なぜローマの衰亡は始まったのか。従来の史観に挑む鮮烈な「衰亡史」のプロローグ。
老後の暮らしは十人十色。百人百通りなのだ。常識にとらわれない独創的な老いの美学!
井坂洋子の詩の世界へつながる自叙伝的エッセイ。
山間の小さな町で、病床の父と、夜こっそり家を留守にする母と暮らす“ぼく”は、ある日、古道具屋の鳥籠のトビに心を奪われる。季節の移ろいのなか、静謐かつ繊細な筆致で描かれる、生と死をめぐる美しい寓話。
本書は、独立学派の精神分析家クリストファー・ボラスによる、無意識を聴く技法書である。著者は、自らに質問を発し、それに対する答えを求めるという形で無意識が活動することを、実際の臨床素材を用いて示している。フロイトが見出した自由連想法は、まさにこうした質問を発する衝動に基づいたものであると、著者は主張する。本書は、精神分析に関心がある人はもとより、無意識に興味を持っているすべての臨床家に有用である。
利潤率低下=資本主義の終わりという危機は、資本の抵抗によって、人々の貧困化と民主主義の機能不全を引き起こしたが、そこに制御の困難なAI(人工知能)の発達と深刻な気候変動が重なった。我々が何を選択するかで、人類の未来が決定的な違いを迎える「大分岐」の時代。世界最高峰の知性たちが、日本の若き俊才とともに新たな展望を描き出す!
北朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、チベット、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタン、イラン、アルメニア、グルジア、トルコ、ギリシャ、イタリア、スイス、オランダ、スペイン、モロッコ、南アフリカ、ボツワナ、ザンビア、マラウィ。異色の紀行ノンフィクション『遊牧夫婦』シリーズ最終巻。
旅する版画家シュマイサーの没後初の本格的な回顧展にあわせ、初期作品から晩年までの代表作約180点を収録。
相棒のホリーとともに探偵社を営むホッジズのもとに現役時代にコンビを組んでいたハントリー刑事から現場にきてほしいと連絡が入った。事件は無理心中。6年前に起きた暴走車による大量殺傷事件で重篤な後遺症を負った娘を、母親が殺害後に自殺したものとみられた。だがホッジズとホリーは現場に違和感を感じ、少し前にも6年前の事件の生存者が心中していたことを突き止める。これは単なる偶然なのか?一方、6年前の事件の犯人、ブレイディは脳神経科クリニックに入院していた。大規模な爆破事件を起こそうとして直前で阻止されたブレイディは、その際に脳に重傷を負い、後遺症で意思疎通も困難な状態にあった。だが、その周囲で怪事が頻々と発生する。看護師、師長、主治医…彼らに何が起きているのか?エドガー賞受賞の傑作『ミスター・メルセデス』でホッジズと死闘を演じた“メルセデス・キラー”が静かに動き出す。恐怖の帝王がミステリーに挑んだ三部作完結編、得体の知れぬ悪意が不気味な胎動をはじめる前半戦がここに開始される!
臨時教員ながら学級担任として自分のクラスを受け持つことになった生野結衣。夢を叶え、喜びを噛みしめる結衣だが、クラスには不登校を続ける生徒ー佐伯俊雄がいた。電話でも連絡がつかず、不吉な予感を覚えた結衣は俊雄の家に向かう。それが、彼女が体験する絶望的な恐怖の幕開けだとも知らずに…。「呪われた家」の恐怖を凄絶に描き、日本中に旋風を巻き起こした「呪怨」シリーズ最新作、最恐のノベライズ版!
戦時下、帝国国民が日の丸を振って大陸に送り出した二七万の満蒙開拓団は、数多くの「中国残留孤児」を生んだ。著者は故郷長野県の開拓団に視点を据えて、貧農排出と国防の国策がつくりだした現在に続く悲劇を追求し、庶民にとって国家とはなにか、戦争とはなにかを考える。大仏次郎賞受賞の長編ルポルタージュ。
マルクスが予見した世界が目の前にある!成長と利潤確保を義務付けられた資本主義は、どこにも「差」を生み出せなくなったときに動きを止めるー『マルクスならこう考える』から10年、この間の決定的変化をマルクスに沿って捉え直す。
宇宙は永遠に循環しているーあのホーキング博士も一目置く天才物理学者が、ついにビッグバンの謎を解き明かす。驚愕の最新宇宙論!
客観的事実が消えゆく世界で、私たちはどう生きるべきかー。トランプ政権に象徴される民主主義の危機、フェイクニュースやプロパガンダがはびこる現代社会の闇を、NYT紙の文芸批評で名を馳せ、ピューリッツァー賞に輝いた著者が探究する。