穏やかな気分で美しく歌われる詩情。
達観した音楽
ミュンヘン生まれの作曲家キルマイヤーは合唱や歌曲などの「うた」を創作の柱としました。2017年の8月21日に90歳を迎えるということで記念すべき年に発売されるアルバムだったのですが、惜しくも誕生日の前日8月20日に亡くなり、追悼盤となってしまいました。
ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフ、フリードリヒ・ヘルダーリン、ゲオルク・トラークルのテキストを用いた歌曲集です。詩の世界を崩すことなく、そして余計なものを足すことなく、血の通った輝きのある音へと昇華しています。響きは完全な調性を持ち、シンプルな歌が胸にしみる、ほろりとする音楽が特徴です。ひとつの協和音が保続され、急激な変化はまったくありません。ピアノは和音を押さえたり点描的に単音を重ねたりしますが技術的にも平易で穏やか。肩肘張らないくつろいだ雰囲気のなかテノールの温かい歌が紡がれていきます。素朴ながらどこか達観した深みも感じる名品です。(輸入元情報)
【収録情報】
キルマイヤー:
1. Eichendorff-Lieder 〜テノールとピアノのための
2. Holderlin-Lieder 〜テノールとピアノのための(抜粋)
3. Trakl-Lieder I 〜テノールとピアノのための
4. Schweigen und Kindheit 〜テノールとピアノのための
マルクス・シェーファー(テノール)
ジークフリート・マウザー(ピアノ)
録音時期:2016年10月14-16日
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
世界初録音(1,3,4)
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ヘンツェ:ラジオ・オペラ『田舎医師』&『この世の終わり』
ヘンツェは、「舞台上ではなしえないことも表現できる」としてラジオ・オペラという形態を尊重していました。ここにおさめられているのは、カフカの同名の小説に基づく『田舎医師』と、ヒルデシャイマーの小説「失われた愛の伝説」に基づく『この世の終わり』のふたつのラジオ・オペラ。『田舎医者』はカフカのシュールレアリズム、『この世の終わり』は容赦ない皮肉、このふたつの作品は切っても切り離せません。
『田舎医者』あらすじ
カフカの『田舎医者』の舞台は冬。夜中、田舎の医者が重病人に電話で呼び出されますが、彼は自分の飼っていた馬が死んでしまったために十分な治療ができません。ある日、見慣れない人物がこの医者に二匹の新しい優駿を紹介します。医者は馬を追い返そうとしますが付いて来るので飼うことにしました。後にまた治療不可能な患者に出会って、この馬に乗って逃げようとしたら馬はいつまでも永久に走り続けたのでした。
なんともシュールな内容ですが、芝居っけたっぷりな歌い手たちによってなんともそら恐ろしい雰囲気に仕上がっています。
『この世の終わり』もヘンツェには珍しい痛烈な社会批判(貴族主義への批判)で、切れ味鮮やかな管弦楽の扱いもみごとです。(キング・インターナショナル)
ヘンツェ:
・『田舎医者』〜フランツ・カフカの短編小説に基づくラジオ・オペラ
田舎医者:ローランド・ヘルマン(Br)
馬男:ロデリク・M.キーティング(T)
患者:ヨナス・デコフ(少女ソプラノ)
父親:マッテオ・デ・モンティ(B)
バラ&娘:イゾルデ・ジーベルト(S)
母:ダフネ・エヴァンゲロートス(A)
小さな子供の合唱:ケルン大聖堂合唱団
ケルン放送交響楽団
マルクス・シュテンツ(指揮)
・『この世の終わり』〜プロローグとエピローグを伴うラジオ・オペラ
語り手:ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ
落下していく男性の魂:フリーダー・ラング(T)
マルケーザ・モンテトリスト:ダフネ・エヴァンゲロートス(A)
ドブロフスカ&二倍の天才:ロデリク・M.キーティング(T)
スガンバーティ嬢&星占術師:イゾルデ・ジーベルト(S)
クンツーサルトーリ教授&政治家:ロベルト・ボルク(Br)
ケルン放送交響楽団
ゴットフリート・リッター(指揮)
Disc1
1 : Ein Landarzt
2 : Ein Landarzt
3 : Ein Landarzt
4 : Ein Landarzt
5 : Ein Landarzt
6 : Ein Landarzt
7 : Ein Landarzt
8 : Ein Landarzt
9 : Ein Landarzt
10 : Ein Landarzt
11 : Ein Landarzt
12 : Ein Landarzt
13 : Ein Landarzt
14 : Ein Landarzt
15 : Das Ende einer Welt
16 : Das Ende einer Welt
17 : Das Ende einer Welt
18 : Das Ende einer Welt
19 : Das Ende einer Welt
20 : Das Ende einer Welt
21 : Das Ende einer Welt
22 : Das Ende einer Welt
23 : Das Ende einer Welt
24 : Das Ende einer Welt
25 : Das Ende einer Welt
26 : Das Ende einer Welt
27 : Das Ende einer Welt
28 : Das Ende einer Welt
29 : Das Ende einer Welt
30 : Das Ende einer Welt
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“クラリネットの魔術師”
マルティン・フレストの移籍第2弾は、
ジャニーヌ・ヤンセン、リュカ・ドゥバルグら
実力派奏者をむかえたメシアン畢生の大作
『世の終わりのための四重奏曲』
2016年発売のアルバム『ルーツ』でソニー・クラシカルに移籍した「クラリネットの魔術師」マルティン・フレストの移籍第2弾は、何とジャニーヌ・ヤンセン、リュカ・ドゥバルグら実力派奏者をむかえたメシアン畢生の大作『世の終わりのための四重奏曲』!
フレストがヤンセンと初めて共演したのは16年前のこと。その時演奏したのがこの『世の終わりのための四重奏曲』でした。さらにその時の演奏でチェロを担ったのがスウェーデンの名手トーレイヴ・テデーン(BISレーベルに録音多数)で、その時の演奏は三人にとって音楽的に極めて充実した経験として記憶されました。そしてフレストはさらに機が熟するのを待ち、2017年、ようやくピアノに若き鬼才リュカ・ドゥバルグを得たことでレコーディングを決意し、旧知のヤンセン、テデーンとともにこの大作をレコーディングしたのです。フレスト、ヤンセン、デテーンの3人は室内楽の名人としても知られていますが、リュカ・ドゥバルグにとっては当アルバムが初の室内楽録音となります。
この曲は、第二次大戦中にドイツ軍の捕虜となったメシアンが収容所内で作曲、初演したというエピソードで知られ、ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、クラリネットという極めて独特な編成は、メシアン自身がピアノを弾き、収容所で出会った音楽家たちと演奏するためであり、8つの楽章には「黙示録」から構想を得た題名が付されています。4人が一緒に演奏するのは4つの楽章のみで、あとは独奏、二重奏(2つの楽章)、三重奏という組み合わせが採られ、それぞれの奏者の技巧と楽器の特性を極限まで使い尽くすかのような表現力の幅広さが要求される難曲でもあります。
フレストの冴え冴えとした超絶技巧(「鳥たちの深淵」の圧倒的なダイナミック・レンジの広さ)、ヤンセンの薫り高く、瑞々しさ溢れるヴァイオリン(最終楽章「イエスの不滅性への賛歌」の神秘的官能性)、テデーンの渋くウィットに富む重厚な響き、そしてドゥバルグの豊かな感性と強烈な個性に彩られたピアノ・・・。4人の個性溢れる名手が、多彩かつ独創的な『世の終わりのための四重奏曲』の世界を鮮烈に描き出します。メシアンの自作自演や、この曲を一躍世界的なものにしたタッシの名盤(RCA)など、個性的な名演に事欠かないこの四重奏曲ですが、このフレスト/ヤンセン/テデーン/デュバルグ盤は、ここ数年の新録音の中では出色の充実度を誇る演奏と申せましょう。(輸入元情報)
【収録情報】
● メシアン:世の終わりのための四重奏曲
マルティン・フレスト(クラリネット)
ジャニーヌ・ヤンセン(ヴァイオリン)
トーレイヴ・テデーン(チェロ)
リュカ・ドゥバルグ(ピアノ)
録音時期:2017年8月
録音場所:ベルリン、ジーメンスヴィラ
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
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20世紀最大の室内楽作品の理想的名演奏
「世の終わりのための四重奏曲」は、メシアンが第2次世界大戦でドイツの捕虜となり、ゲルリッツ収容所にいたときに作曲されました。収容所内で確保できる人員で演奏できるようにしなければならないという難しい状況下で書かれたこの作品ですが、メシアンの革新的試みがいたるところに見られます。その一つがリズムです。変拍子があるのはもちろんのこと、拡大されたり縮小されたりするリズムは、音楽の新しい可能性をまたひとつ拡げたと同時に、この作品の地位を、20世紀を代表する室内楽作品のひとつへと高めています。
この大作をトリオ・ワンダラーのとんでもなく腕の立つメンバーとモラゲスが演奏する、というだけでも興味をそそられますが、期待を裏切らない名演となっています。特に、ピアノのヴァンサン・コックの硬質のダイヤのような音色がまさにメシアン作品にうってつけ。モラゲスの名人ぶりとトリオ・ワンダラーの一糸乱れぬアンサンブルで、20世紀最大の室内楽作品の理想的名演奏が誕生しました。(輸入元情報)
【収録情報】
メシアン:
● 世の終わりのための四重奏曲
● 主題と変奏(ヴァイオリンとピアノのための)
トリオ・ワンダラー
ジャン=マルク・フィリップス=ヴァイジャブディアン(ヴァイオリン)
ラファエル・ピドゥ(チェロ)
ヴァンサン・コック(ピアノ)
パスカル・モラゲス(クラリネット)
録音時期:2007年7月
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
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鬼才マット・ハイモヴィッツによる
メシアンの『世の終わりのための四重奏曲』
SACDハイブリッド盤。PentatoneレーベルとカナダのOxingale Recordsレーベルとの共同企画「PENTATONE OXINGALE Series」。当ディスクは2008年に収録したメシアンの『世の終わりのための四重奏曲』をSACDハイブリッドでリリースします。
『世の終わりのための四重奏曲』は、キリスト教信仰の直接の顕れと、当作品以前までの彼の技法を集成する複雑精緻なリズム、旋法、和声語法の総合とが相まった代表作の一つ。第2次世界大戦中、メシアンはゲルリッツの捕虜収容所にて「ヨハネの黙示録」第10章から啓示を受け、飢えと労働と極寒の極限状態のなか作曲しました。楽器編成はヴァイオリン、クラリネット、チェロ、ピアノという特異なもので、初演は同収容所に居合わせたジャン・ル・ブーレール(ヴァイオリン)、アンリ・アコカ(クラリネット)、エティエンヌ・パスキエ(チェロ)そして作曲したオリヴィエ・メシアン(ピアノ)によって行われました。
クラカウアー[1956-]作曲の『アコカ』は、世の終わりのための四重奏曲の初演を担当したアコカへのオマージュ作品。当ブックレットには自筆譜の一部も掲載しております。最後に収録された『Meanwhile…』を作曲したソーコールドことジョッシュ・ドルジン[1976-]は、カナダのラッパーにしてピアノ・アコーディオン奏者。クレズマー音楽とヒップホップ、R&BそしてDrum & Bassを出会わせたことでも知られるカナダの逸材です。
1970年イスラエル生まれのチェリスト、マット・ハイモヴィッツは、1988年にレヴァイン指揮シカゴ交響楽団をバックにドイツ・グラモフォンに録音し、センセーショナルなレコーディング・デビューを果たしました。その後、1999年に自身のレーベルOxingale Recordsよりバロックから現代まで、さらにジャンルの壁を超えジャズ、ロックと実に多彩なプログラムに挑戦しています。(輸入元情報)
【収録情報】
● クラカウアー:アコカ [5:59]
● メシアン:世の終わりのための四重奏曲
1. 水晶の典礼 [2:48]
2. 世の終わりを告げる天使のためのヴォカリーズ [5:26]
3. 鳥たちの深淵 [7:20]
4. 間奏曲 [1:46]
5. イエスの永遠性への賛歌 [8:32]
6. 7つのトランペットのための狂乱の踊り [6:19]
7. 世の終わりを告げる天使のための虹の混乱 [7:25]
8. イエスの不滅性への賛歌 [9:23]
● ソーコールド:Meanwhile... [8:47]
デイヴィッド・クラカウアー(クラリネット)
マット・ハイモヴィッツ(チェロ)
ジョナサン・クロウ(ヴァイオリン)
ジェフリー・バールソン(ピアノ)
ソーコールド(電子楽器)
録音時期:2008年9月8,9日
録音場所:モントリオール、マギル大学
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)
SACD Hybrid
CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD SURROUND
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