夜空のキャンパスを彩る色彩の光跡。瞬間の美を永遠の美に昇華させ刻したカラー写真53点。
ガス灯揺れる横浜の異人館。ボーイの千代吉は、居留地に巣喰うならず者たちと、酒、賭博、喧嘩に明け暮れていた。そして偶然、ひとりの謎めいた少女に出会う。可憐な外見とはうらはらななまめいた女に千代吉は惹かれていく。無頼な若者の青春の燦きと悲哀を鮮やかにとらえた名作『霧苗』に、居留地ならではの哀切な恋物語『花火の街』を併録。開化期の横浜を情趣豊かに描き上げた、大仏文学の真髄。
村の森の奥まった所に、一本の木がある。そこは、わたしと弥生ちゃんと、弥生ちゃんのおにいさんの健くんの、三人だけの秘密の基地。いつものように、弥生ちゃんと木に登る。いつものように、村を眺めながらお話をする。と、その時…!次の瞬間、枝から滑り落ちていくわたしの体。…そして、わたしは死体になった!!それは九歳の夏の日の夕暮れのこと。弱冠十七歳が生み出した、異色のホラー小説!!第6回ジャンプ小説・NF大賞受賞。
おじいちゃんがたおれた。その日から、麻衣子の家では、家族ぐるみの介護の日々がはじまった…。小学校上級より。
大政治を希求する学生と、恋の至極を体現しようとした乙女、その結末…。日本の若者へ、天皇という血の純潔と歴史を尊ぶ民族の誇り即ち国体の再認識を訴える、著者入魂の総合評論小説。
デビュー以来今日までの輝かしい作品群を集成。40年前、花火の弾けた思い出が目の前に蘇える「花火」。村長が旅人に猫の頭をかぶる奇習について語る「猫かつぎ」。電車の中で毎朝会う美人の正体を知って驚く「地下鉄御堂筋線」。ミステリー、SFから時代ものまで、横溢する豊かな才能。
世界47ヵ国の夜空に江戸の花を咲かせた、花火師一代“丸玉屋小勝”の男意気。粋でイナセな半生記。
田村藤茂の父・仁三郎は火薬に凝り、強烈な花火を造りあげた。この長野生まれの、近代花火の元祖は、競技会で賞金を稼ぎまくる。そのうち、火薬取締法が厳しくなり、「免許」が必要となった。仁三郎は規制を無視、罰金刑を繰り返す。藤茂は借金地獄から脱出のため、本格的な花火師に…。人の涙と花火の華麗さが行間にも煌めく。
新鋭が描く七つの短編。美と怪奇、愛と孤独、西洋と東洋、現代と古典…。万華鏡の中に写し出された混沌という名の舞台が始まる。
女は冬の花火を見たという。その祭りはこごえる原野に、冬の夜とりおこなわれるという。男は女の身の上に、自分の人生を重ねてみた。都会で知り合った別の過去をもつ男と女が見るひとときのロマン。大氷原、吹雪、酷寒、自然と、男が巡り合うさまざまなドラマ。限りない優しさと、荒ぶる男の冒険心に支えられた西木文学の真髄を集めた最新短篇集。表題作他4篇収録。第99回直木賞受賞作家。
天下の花火屋「鍵屋」の主に新しい店を託されてから、手代だった市兵衛は死に物狂いで駆け回った。鍵屋の大番頭の妨害に悩まされながらも、新参の「玉屋」は鍵屋に追いつき追い越してゆく。いつも明るくて前向きな女房・おみつのおかげだったー。ひたすら真面目に生きてきた職人に、降って湧いた暖簾分けの話。恋女房と二人三脚で、「玉屋」を創った男の感動一代記。
弦楽六重奏の練習中。チェロとセカンドヴァイオリンの男女の秘めた想いが、調べに乗って溢れ出てしまう…。人生の盛夏を過ぎた頃の切ない恋情を、死を目前に才能と業を背負い続ける老音楽家の姿と絡めた「秋の花火」。芸術のため魔と共に棲み続ける美しきピアニストを描く「ソリスト」、「戦争の鴨たち」では戦争ジャーナリズムの裏側を、「観覧車」「灯油の尽きるとき」は閉塞した日常に訪れる転機を描く。演奏者の全てが曝け出される音楽の美しさ、怖さ。生と死をみつめる眼。-著者ならではの世界、待望の作品集。