夫婦とは、夫婦の愛と絆とは?平和な夫婦に突如降りかかった夫の心の病。妻の心に生じた愛の亀裂と孤独を静謐な筆致で見事に描く衝撃の作品。
島根の高等学校を卒業して久美子は、東京の猪沢証券に就職した。勤め先の青年社長、猪沢慎一郎に久美子は見染められ結婚した。久美子は処女だった。物心両面にわたり、何ひとつ不足なものはなく、慎一郎の母の死後、家も新築した。その邸は“白いとんがり屋根の家”と呼ばれ、とても目立つ現代風の建物だった。ただひとつ馴染まない大事なことがあった。慎一郎の性倒錯と思えるセックスの相手をすることだった。忍耐を重ねてきたが、ひとりの男が現われ、久美子の中で何かが爆発しはじめる…。鬼才の会心のサスペンス
千年の歴史をもつ日本の伝統技法「型染め」を自在に駆使して、大画面に描き出す新たなアート「染色絵画」。その斬新な表現の創始者である染色作家・鳥羽美花が、消えゆくベトナムの風景にインスピレーションを得て描き続けた13年間の集大成的作品集。
本書は、もっとも非西欧的社会へと向けられる。しかしその視線は同時に人間のもっとも普遍的なテーマ-拘束と自由の関連に、われわれを導く。また、著者の50年にわたる教職生活を去るに当たって編まれた最後のエッセイ集であり、レヴィ=ストロース世界のポリフォニーである。さらに、知的営為が現代の病患あるいは幻想を治癒または払拭する企図でもありうるという、もっとも力強い情熱の所産である。
米国製薬会社の日本支社への出向で帰国した通夏は、高校時代、自分を性奴隷のように扱った男・津島と再会する。津島は現在、心臓外科界の寵児として名をはせていた。十年前と同じ執着心で、今でも通夏を求めてくる津島が恐ろしく、通夏は彼を拒み続ける。だが、津島が経営する会員制クラブに騙されて誘いこまれた通夏は、その身体を一晩好きにできるというオークションにかけられてしまい…。
盗撮をしていた清純派女優のスキャンダルの相手役を頼まれたオタク系ライターの「裸撫視淫」、嫉妬を恋人諸岡との情事の味付けにして楽しんでいる奈津美が、偶然初恋の相手と再会して起こる出来事「十二年目の初恋」、兄嫁の麻耶に想いを寄せている優也が知らない企みと悲しい事実「瞳に抱かれて」など、第一線の超人気官能作家による書き下ろし官能アンソロジー。
光と水が織りなす風景、安らぎと哀しみを湛えたアジアへ、いつか心は還っていく。ベトナム、台湾、ネパール、タイ、韓国、モンゴル、バリ、中国、沖縄…三年半にわたるアジアの旅を記した、写真家による最上のフォト・エッセー。
ゼネコン汚職、大蔵省の組織犯罪、金融破綻、企業内いじめ…。「政治家、官僚、経営者への批判に厳しすぎるということはない」と著者はいう。21世紀に向かい、政治は、企業は、どうあるべきなのか?日本人、そしてアジアの行方は?土井たか子、落合恵子、おすぎ、梁石日らとのユニーク対談も収録。不屈の辛口評論家・佐高信が現代を斬る。