田舎でひっそり暮らす貴文は、普段は秘密にしている特殊な能力で東京の刑事・大瀧の捜査に協力していた。いつも突然現れ、翌日には東京に戻っていく大瀧。いつしか体の関係を持つようになった二人だが、恋人になったわけではなく微妙な距離感を保ったままでー。でも、大瀧が帰る日には貴文の気持ちを映したかのように必ず雨が降っていて…。
2012年11月13日、スリランカに降った赤い雨の滴から、分裂を繰り返す細胞のような微粒子が発見された。これは宇宙から運ばれてきた生命なのかー。アストロバイオロジーの最前線が描きだす、驚異の宇宙生命と進化のシナリオ!世界的な惑星科学者が生命誕生の謎に迫る、サイエンス・ノンフィクション!世界的天文学者、C・ウィックラマシンゲ博士との対話を収録。
日本文学史上はじめての浪漫主義小説『雨月物語』。上田秋成が怪奇に託した人間味溢れる世界が、熟達の筆で現代によみがえる。
水不足の村に現れた悪徳役人・伊舎堂。村人の窮状に追い打ちをかけ、強制労働の果てには、信仰や娯楽まで禁止してしまう。村を絶望が襲うなか、役人の番所に火が放たれる。その犯人は、なんと屋良座ノロだった(「間切倒」)。那覇の町で巻き起こる6つの事件に、新米岡っ引きの武太が立ち向かう。失敗を重ねながらも成長してゆく武太と、市井の人々を生き生きと描きあげた心躍る物語。幕末・琉球王朝を舞台に、武太が駆け抜ける!
「ボクたちは、星を墜とす機械だ。人間にはなりたくない。でも…」人造の眼球と巨砲“トニトゥルス”で、地球圏に迫る星々を軌道庭園から撃ち墜とす役目を担う、造られた子どもたちが居た。その一人である霧原は、寡黙な担当整備工の神条に心惹かれる。しかし、彼の元妻を名乗るハヤトが突然現れ、空前の規模の流星群が飛来する中で、彼女は自身の無慈悲な宿命を知るー。強く儚い防人の少女がそれでも抗い叫ぶ、小さな恋の唄。
誰かの「特別になりたい」と思いながら、日々を過ごしていた高校生の櫂。しかし、そんな彼は突然異世界に召喚され、「慈雨の神子」としてその地に雨を降らせろと命じられてしまう。特別と言っても、こんなことを望んでいた訳じゃない!無茶な命令に混乱した櫂の元に、二人の騎士が現れる。櫂の心が揺らぐたび、甘くなだめる守護者、サイード。寡黙だが、櫂の敵を許さない近衛騎士、ダルガート。そしてどうやら、彼らが櫂に触れることと「慈雨の神子」としての役割は何やら関係しているようでー孤独な神子を揺り動かす騎士の愛情。-とめどなく降り注ぐ愛が「運命」を芽吹かせる。
裁縫屋の季衣子が作る商品はオリジナル性が高く、人気があった。あるとき、騒音が原因で仕事ができず困っていると、看護師の友人から、長期入院する女性が家の管理人を探しているという話を聞く。早速、引き受け向かうと、そこは湖畔に立つ素敵な洋館で、季衣子が今の仕事を選ぶ契機となった憧れの古いオブジェがあった。なぜここに?と聞く季衣子に、女性は過去を語るが…。女性達が紡ぐ美しい物語。
人の執念の怖さを怪奇の世界に描いた秋成。人の弱さが招く悲劇をむせび泣くように語る近松。運命の歯車が動き出す!原文の魅力をそのままに、あらすじと現代語訳付き原文ですらすらよめる新編集。
黒田官兵衛麾下の勇将堀平右衛門の晩年。出奔した平右衛門を待つ妻の胸中は?息子同然の手代を自殺に追い込んだ矢場の女に入れ揚げた、大店の主の欲望と顛末。不仲の妻と離縁も考えた商人は、妻が病に倒れて初めて夫婦の関係を見つめ直し…。人の心に降る雨はいずれ止み、希望に満ちた空を見せる。すれ違う江戸の男女を丁寧に描く三人の、時代競作第三弾。
岩手の自然を愛し理想郷(イーハトーヴ)を追い求めその魂を伝える。宮沢賢治詩集百選。
旅から旅への雲や風、至福と蠱惑の夜の粒々。椎名誠の粗い写真とその文章。1989年からはじまった『アサヒカメラ』でもっとも長い連載。世界を走りぬけているようだが、実際は高度障害や二日酔いにやられてへたりこみ、雲を眺めて撮っていた「シーナの写真日記」5年ぶりの第4集。
シンデレラの末裔であるディセント伯爵家はいわくつきの靴を蒐集しているーそんな噂を聞いたエデルは、ひとりでに動く母の遺品“赤い靴”を鑑定してもらおうと、次期当主・アランの元を訪ねた。だが、彼が告げたのは…驚くべきシンデレラの真実!!靴を取り上げられたエデルは母の死の真相を知るため、極度な人見知りにもかかわらず、アランの靴店『ガラスドーム』で働くことにするが!?新米靴職人&強引令息で贈る、靴にまつわる恋物語。
雨を自然界における水循環の原点としてとらえ、“雨の建築学”(哲学)、“雨の建築術”(技術)をふまえた第3弾。家庭から“まちづくり”に至る雨水の活用の実践方法を具体的に明示し、内外の実例も紹介。
「無味乾燥な記録にも、そこには生きた人間がいた。例えば新聞の片隅の記事、自殺者数の統計にもー」椥辻霖雨は京都の大学で教える社会学者。犯罪を専門に研究する、若き准教授だ。霖雨のもとにある日、小さな同居人が現れた。椥辻姫子。14歳、不登校児。複雑な事情を抱える姫子は「死者が見える」らしく…。頭脳明晰だが変わり者の大学教授と、死者を見、声を聞き届ける少女。奇妙な同居生活の中、ある自殺が起きる。そこは、住人が連続死する呪いの町屋でー。