不意にさしかけられた傘の下で、男の優しさにずっと浸っていたかったー。大店の跡取り息子に尽くし抜いて捨てられた長屋娘と、娘の悲しみを見つめるもうひとりの男の目。男女のやるせなさに心震える「雨の底」。密かに持ち込まれた商家夫婦への不可解な脅迫文が、隠居暮らしの慶次郎を、愛憎渦巻く事件の暗がりへ再び導く「横たわるもの」ほか、円熟の筆が紡ぎだす江戸人情七景。
きょうはあめふり。あひるちゃんはおうちであそびます。そこへこばとちゃんがきました。「あひるちゃん、あ、そ、ぼ!」
一郎たちとおなじアパートに住む雨森さん。いつも無口で、人づきあいもまるでなし。でも、雨森さんってほんとうは魔法つかいなのかもしれない。だって、ふしぎな話がどんどん出てくるんです。サンケイ児童出版文化賞受賞。
二十一歳の櫻凛は、バイト先の弁当屋に訪れる会社員・藤岡瑛仁と不毛な関係にある。病弱な凛は瑛仁への想いを最期まで貫こうと考えているが、藤岡にもまた、生涯想い、守ろうとしているものがあった。無言のうちにできたいくつかのルールをもとに続く、すれ違いの関係。そんな折り、瑛仁の弟・暁天が現れて、「兄から手を引いて俺のところへおいで」と凛に告げ…-天使だった男と紡ぐ、永遠に続く幸福への旅路。生きること、愛することを摯実な文章で綴る温かい涙がこぼれる感動の一冊。
保健室登校をしているナツとサエ。二人の平和な楽園は、サエが“自分のクラスに戻る”と言い出したことで、不意に終焉を迎えるー(「ねぇ、卵の殻が付いている」)。学校生活に息苦しさを感じている女子中学生の憂鬱と、かすかな希望を描き出す6つの物語。現役の中高生たちへ、必ずしも輝かしい青春を送って来なかった大人たちへ。あなたは一人きりじゃない、そう心に寄り添う連作短編集。
枝垂れ桜で知られる東北の小京都・角館で、白骨死体が発見された。捜査の結果、三年前に失踪したOLの遺体と判明、彼女の元恋人小此木が有力容疑者として浮かぶが、彼には鉄壁のアリバイがあった。ルポライター浦上伸介は真相解明のため角館へ飛ぶが、彼を待っていたのは第二の殺人だった。なんと小此木が刺殺されたのだ。そして新しい時間の壁が浮上した。
晴れの日だけが幸福ではない。孤独、瞑想、メランコリーを楽しむ上質でシンプルな生き方とは?フランス人ベストセラー作家、待望の新境地。
あめふりのきせつがようかいむらにやってきました。かさのすけのかさやさんのおみせのまえにはたくさんのようかいたちがあつまっています。
あめおじさんがそとにでるとかならずあめがふります。第16回えほん大賞絵本部門大賞受賞作品。
大阪の川柳結社「番傘」を率いた岸本水府と、川柳に生涯を賭けた盟友たち…。川柳への深い造詣と敬愛で、その豊醇、肥沃な文学的魅力を描き尽す伝記巨篇。中巻は、革新川柳の抬頭から、水府の広告マンとしての活躍、関東大震災、「番傘」を彩った作家たち銘々伝。泉鏡花文学賞・読売文学賞受賞。
雨に濡れた場末の路上に横たわる女は、無残にも喉を切り裂かれていた。彼女は高名な検事だった。なぜ深夜にこんな物騒な地域に?ニューヨーク市警の女性警部補イヴは自問する。だが、やがて同様の手口でひとりの女優が殺害され、その疑問は苦悩へと変わった。ふたりの被害者の共通点は、世間に名が知れた成功者である事と、大富豪ロークと付き合いがある事だったのだ…読者人気投票TOP5作品、イヴの相棒ピーボディ初登場エピソード!
タオルに血で書かれたSOSを手掛かりに捜査を開始した刑事・如月塔子と相棒の鷹野。しかし彼らが発見したのは、監禁されすでに事切れた被害者だった。タオルを運んだ人物として捜査線上に浮かんだのは九歳の少年・優太。年の割に大人びていて、事件について頑なに口を噤む彼は、なぜか塔子にだけ懐く素振りを見せる。これまで多くの特殊犯罪を解決に導いてきた捜査一課十一係ー殺人分析班の捜査と推理が光る、人気警察ミステリシリーズ最新作!