SIM フリー

 今はまだ日本国内では選択肢が少ない SIM フリー端末だが、MVNO の後押しもあり、これから参入するメーカーが何社か出てくるだろう。MVNO を利用するにはいわゆる白ロムを使う手もあるが、所詮は二次流通品であり、それだけでは市場を作れない。MVNO の拡大には SIM フリー端末が必要だ。MVNO の SIM と一体での端末販売も増えるだろう。

 また、メーカーがキャリアの下請けのような形で端末を供給するのでは、メーカーはキャリアの方針によって大きな影響を受ける。各社の利害が一致すれば良いが、そうはいかないという場面がここ数年で出てきた。こうした状況を嫌って家電販路での SIM フリー製品の投入を模索する動きが大手からも出てくるだろう。


ローエンド

 iPhone 登場以降のスマートフォンの進化は非常に速く、旧機種の陳腐化が進みやすい状況にあった。これは、十年くらい前までの PC と似ている。できるだけ新しくて、ある程度性能が高いものを買った方が、陳腐化を遅らせられるので、消費者にとっても有利だった。

 しかしスマートフォンも成熟化してきており、ローエンドから中の下くらいの範囲の製品が注目されるようになる。PC に例えれば、最新の 3D CG を用いたゲームなどやらないのに、無駄に高性能で高価なグラフィックボードを搭載した燃費の悪いマシンしか選べないとしたら、誰でもばかばかしく思うだろう。

 エントリークラスが注目されるもう一つの理由は、これから成長が期待される新興市場だ。新興市場で先制するためには低価格帯の製品が必要であり、Google も Android がローエンドのマシンでも十分に動くように改良を進めている。この恩恵は成熟市場にももたらされる。

カーソルキーは帰ってくるか?

 Palm OS や Windows Mobile の時代のスマートフォンには、いくつもの便利なハードキーが付いていた。それが iPhone 以降ではハードキーは極度に減らす傾向になり、カーソルキーすらもほとんどの製品からなくなってしまった。

 しかしタッチパネルに依存する操作の体系は視覚に負担が大きい。操作が視界を奪うため、時には危険でさえある。ところが「歩きスマホ」をするなと言われても、歩くために地図を必要とすることもある。

 タッチパネルの操作は最初はおもしろいが、使っているうちに不満も出てくる。スマートフォンが浸透したことで多くの人が良くないところに気付くようになってきたとすれば、そろそろカーソルキーくらいはやっぱり付けようという流れができるかもしれない。

QWERY キーボードはまだ?

 カーソルキーくらいは戻ってくるかもしれないが、しかしベリー型やスライド型のような QWERTY キーボード内蔵の良さが再評価されるのは、この分ではまだまだ先になりそうだ。

iOS? Android? Firefox OS?

 Android は、かつての Palm OS のように開発で大きく躓くことさえなければ、少なくとも数年は王者の座が保証されていると言って良さそうだ。

 iPhone が牽引役となってスマートフォン市場は拡大したが、市場が拡大すれば Apple 一社では多様な需要に応えられず、占有率が落ちることは予想できた。だが Mac 同様に今後も一定のファンを確保し続けることはできるだろう。

 Firefox OS は、第三勢力として最も期待されているが、実際の製品は世界でもまだほんの少ししか発売されておらず、今後どのように受け入れられるのかは分からない。

 Android にとって一番の脅威は、実は Google が持つもう一つのものかもしれない。もし Google が Android と Chrome OS の将来について難解な態度を示せば、アプリ開発者の信用を失い、市場を迷わせることにもなる。その隙に付け入る者が現れれば、勢力図が大きく変わることもありうる。