前掲『09-27 チャット会終了とログ公開のお知らせ』の通り、9月27日のチャット会は無事実行された。これから数回に分けて、同会での話題について取り上げていく。
 今回は、冒頭で語った FOSS の話題を中心に記す。

まず、FOSS の話題に入る前、冒頭の Kodakana の発言から;


23:30 Kodakana: 本題に入ります。
23:30 Kodakana: 最近、デルタGであるとか、LGBTの家族と友人を結ぶ会であるとか、
23:31 Kodakana: 他にも、いろいろと、運動体としてウェブ上でブログなどを使って活動する例が出てきています。
23:32 Kodakana: ただ、中には更新が停滞していたり、
23:32 Kodakana: 続いていてももう一つうまくできていないと思える例もあります。
23:33 Kodakana: それで、いろいろと見た中で、思ったのは、今あるそういう例というのは、
23:34 Kodakana: 大体オフラインに活動の現場を持っていて、運動体の成員の間の連絡も、
23:34 emi: あろー
23:34 Kodakana: 主に対面によるものとか、電話などの伝統的な手段で足りているので、
23:34 yamtom: あ、えみさんだ
23:35 Kodakana: オンラインのコミュニケーション能力が発達しないんじゃないかと、思ったわけです。

 誤解のないようにしておきたい。ここでデルタGLGBT の家族と友人をつなぐ会の名を挙げたのは、たまたま目に入るところにあったため「たくさんある中の一つ」として例示したのであり、以下の話題に係る代表あるいは典型として挙げたわけではない。
 それ、カミクズヒロイもスラッシュドットも、にちゃんねるも asahi.com も、「たくさんある中の一つ」である。一体どう「たくさんある中の一つ」なのかといえば、ウェブあるいはインターネット上にメディアや活動体がたくさんある中の一つということであり、ひいてはこの世界にメディアや活動体がたくさんある中の一つということになる。
 個別の運動体についてはそれぞれの持ち場に構えてみんな頑張っていると思うし、それそのものについて外からどうこう言うものじゃないと思っている。

FOSS について

23:40 Kodakana: フリーソフトウェア運動は、25年ほど前に始まりました。
23:41 Kodakana: 数あるFOSSの中でも代表的かつ最も重要なものの一つは、
Linux(Linuxカーネル)です。 23:43 Kodakana: 92年にフィンランドの大学生だったリーナス・トーバルズが書いたこのプログラムは、
23:43 Kodakana: 訂正:92年→91年
23:44 Kodakana: その後フリーのUnixライクなOSの開発を目指すGNUプロジェクトの成果物や、他のFOSSと結びついて、
23:44 Kodakana: 数多くのアプリケーションなどを含む本格的なオペレーティングシステム、
23:45 Kodakana: 「Linuxディストリビューション」と呼ばれる配布物のセットがいくつも作られるようになります。
23:46 Kodakana: Linuxディストリビューションは、いまやサーバー、パソコンだけでなく、
23:46 Kodakana: 携帯電話やデジタル家電などにも組み込まれ、
23:47 Kodakana: 情報技術的なものに触れる機会のある人なら、誰も無縁ではない存在になっています。

 以下、FOSS についての話が少し続くが、ここで言いたかったことは、インターネットを利用した活動の先駆者である FOSS の世界からは、学べることが少なくないじゃないかということだ。それは分野が違えば違うところも多いだろうが、同じ人間のすることだから応用できるところも多いじゃないか? オンラインではどんな問題が起きやすいか、問題が起きたときにどういう態度をとるべきか、問題が起きないようにするためにはどんな準備をしておくべきかなど、示唆に富む。
 FOSS の経験から作成された文書として GNU GPLDebian 憲章Debian 社会契約Ubuntu Code of Conduct などは一読の価値があるし、プロジェクト運営上の人間関係的な問題やもめ事について扱った記事もウェブ上に数多く存在している。それらはオンラインでさえあればいつでも参照できるし、盗めるものはいくらでもあるはずだよ…と思うんだ。
 だからコンピュータプログラムに関することだからと全く別の世界のことのように思わず、FOSS そのものも含め、彼らの経験から得られたものをほかの運動体ももっと利用すればいいのに、と思っている。ソフトウェアの開発もまた人間くさいものであるというところを見て、情報技術との接し方も違ってくればいいとも願う。

 なお念のために言っておくと、FOSS の「フリー」とはソフトウェアの利用、改変、再配布の自由のことである。例えばマイクロソフトのサイトから Windows Media Player を無課金で入手できたとしても、それはフリーソフトウェアではない。また参考として、Linux カーネルの開発に関わっている人のうち、実際にソースコードが採用されている人数だけで900人ほど、Debian プロジェクトも1000人規模のコミュニティだという。

 てなとこで次回に続く。