二・二六事件で父を失った九歳の日の体験を原点に、著者は修道女として信仰に生きる。人生の途上で失われゆくものたちの哀しみを知る著者が、優しさと強さを秘めた珠玉の言葉を綴る。
希代の戦術家・真田幸村の手足となってゲリラ戦を展開した奥村弥五兵衛。お家騒動を避けようと2代将軍に秀康を推したがために、土井利勝に失脚させられた本多正純。幕臣の「微衷」から、上野の山にこもり官軍と戦った彰義隊。本書は彼らが生きながら象(かたど)った歴史の光と影を、著者自身の歴史観・人物観をまじえながら浮き彫りにする。直木賞受賞後、その淡々とした筆致に一層の情趣を増した時期の掌編10編を収録。
南方熊楠は、生物学者としてだけでなく、博物学、考古学、民俗学の分野でも、世界に通じた偉大な学者であった。その巨人の生涯をたどる。小学上級以上。
「おしょうがつってなんだろう」「なんだか、とってもたのしそう。ぼくたちもおしょうがつのしたくをしよう!」「けろろん、さんせーい」。4〜5歳から。
勇猛果敢にして慈悲の心のあふれ、今日なお語り伝えられる多くの逸話を残した異色の戦国大名・加藤清正。戦乱の世には剛毅なる武将として名を馳せ、天下治まってからは、築城・治世の名人としてその才能を讃えられた名君。波乱に富んだ全生涯を壮大なスケールで描き、併せて秀吉による朝鮮出兵の知られざる側面を明らかにする。
松下電器を創業者松下幸之助とともに築いた男、高橋荒太郎。「松下には創業者がつくられた立派な経営理念がある。その理念にしたがってやっていけば間違いない。それにもとることをしていないか」というのが彼の口癖であり、常に松下幸之助の考え方、経営理念を拠り所として、仕事を進めていった。その彼がみずからの体験を通じて語った松下経営哲学の真髄。
宝暦七年、侍・徳山五兵衛が波乱に満ちた六十八歳の生涯を終えた。五兵衛は若い頃、一人の少女への恋慕の念から、土蔵から盗み出した宗〓@59BC@作の笄(こうがい)を贈った。その笄がこれほど数奇な運命をたどろうとは…表題作「さむらいの巣」ほか全7編を収録。味のある短・中編小説、歴史紀行とエッセイ、およびインタビューで構成。歴史ファン、池波ファン待望の一冊。
「すべての大事件の前には、必ず小事件がある」と、文豪・夏目漱石は言った。本書では、激動の昭和史の“年表の行間”に、自称、歴史探偵の著者が潜入。「芥川龍之介が支那紀行文に書き留めながらも見落していた日中関係の本質」「開戦の詔書の中の大いなる欠落点」「A級戦犯七人のお骨のゆくえ」など、著者のジャーナリステックなセンスでなされる推理に、歴史探偵の真骨頂が発揮される。
目の前で剽軽な笑顔を見せる木下藤吉郎に、半兵衛は次題に心ひかれていく自分を感じていた。「この男と、もう一度戦場に立ってみるのも悪くはない。あるいは戦火の絶えた世の中が実現できるやもしれぬ」。-名利を求めず、ただ天賦の軍略の才を縦横に駆使して秀吉を勝利に導いた男、竹中半兵衛。名誉よりも人生に美学を求め、三十半ばで夭折した名軍師の生涯を描く長編歴史小説。
ぞうのパオちゃんとおともだちが、こうえんへいくと、ワニちゃんがないていました。「あれれどうしたの」3・4歳から。
「私は18歳です…長いドレスを着ています…時代は紀元前1863年です…」催眠治療中の女性患者が、前世の記憶を鮮やかに語りはじめた。彼女を通して伝えられた精霊達のメッセージによって、精神科医は現代科学では説明できない輪廻転生の世界を徐々に理解していく。-神秘的とも言える治癒の記録を綴ったこの手記は、人間観・人生観の革命であり、生きる真の意味を教えてくれる。
自分の足で歩き、自分の目で見、自分の頭を使って、主体的に外の世界と関わっていけること。そしてそのための正しい方法=ものの見方を身につけていること。そんな「本当の知性」を磨くには一体どうすればよいのか?多芸多才で知られるリンボウ先生こと林望氏が、学問の愉しみ・読書の幸福・創造的遊びの三つの側面から、その知的生活の全ノウハウを語り尽くす。楽しく読めて、役に立つ、三日間集中講義。
「みーっけ、みっけ、たんぽぽみっけ」「みーっけ、みっけ、つくしんぼみっけ」10ぴきのかえるは、はじめてのはるにおおはしゃぎ。4〜5歳から。
競馬のボックス買い、本命ねらい、同じ金額を賭け続ける…これらは得な賭け方か、損な賭け方か?本書では確率・統計理論にもとづき、「必勝法の迷信・誤解」「より早く確実に負けてしまう方法」などを説きながら、「ツキの正体」を明らかにしていく。賭け方・勝敗の意外な関係と、賭けの真の醍醐味を教えてくれる「ギャンブルの科学」。
きょうはぞうのパオちゃんのおたんじょうびです。パーティーのしたくをしているのに、ともだちがなかなかきません。「ぼくむかえにいこう」-3・4歳から。
ねずみがたびをしていたよ。あめにふられて、ずぶぬれになってしまった。「これがほんとのぬれねずみだよ」ゴロゴロゴロ…かみなりもなりだした。4〜5歳から。
「何か質問は?」-教師が語りかけても沈黙を続ける学生たち。街中に溢れる「アアしましょう、コウしてはいけません」という放送・看板etc.なぜ、この国の人々は、個人同士が正面から向き合う「対話」を避けるのか?そしてかくも無意味で暴力的な言葉の氾濫に耐えているのか?著者は、日本的思いやり・優しさこそが、「対話」を妨げていると指摘。誰からも言葉を奪うことのない、風通しよい社会の実現を願って、現代日本の精神風土の「根」に迫った一冊である。