私たちは知らず知らず“国家”がつくる枠の中で生きている。“国家”が規定する境界を超えるとはどういうことか、多様な立場から真摯に論ずる。
生活圏、家庭、性…私的領域と切り捨てられてきた問題を、公的な議論の場に引きあげた第二波フェミニズム。その運動を象徴したスローガンは当時の人びと、そして現在の私たちに何を意味するのか?原点に立ち返って考える。一橋大学リレー講義「ジェンダーから世界を読む」が見つめるもの。キャロル・ハニシュのエッセイ「個人的なことは政治的なこと」を併録。
グリム童話、民話、伝説、神話、演劇、映画、現代小説、都市伝説…巷間に伝わる「物語」には、なにが描き出されてきたのか。民話の受容の歴史や様相、モティーフとその類型、さらにはそこに内包されるジェンダー観念やステレオタイプなど、「物語」の諸相とその連続性を、比較民話学や文献学・民俗学・社会学の手法から考察する。多彩なジャンルの「物語」を題材にして研究手法の新境地を探る。野口芳子退職記念論集。
「基盤の解体」を鍵語にしてフォークナー創設の架空の土地、ヨクナパトーファを舞台にした複雑かつ難解な代表作『響きと怒り』『八月の光』『アブサロム、アブサロム!』『行け、モーセ』を読み解く!南北戦争での敗北によってアメリカ南部で劇的に引き起こされた“人種・階級・ジェンダーの境界のゆらぎ”=“貴族階級の白人男性層という旧南部社会の基盤の解体”が、“ストーリー”の基盤(時間と空間)を解体する技法によっていかに描かれているのか、スリリングな文学読解に本書は誘う。第二部では、南部作家コーマック・マッカーシーや映画作家タランティーノ、イニャリトゥ、アリアガへのフォークナーの影響、そして、横溝正史とフォークナーの類似性を指摘。さらに、大橋健三郎がなぜフォークナー研究に至ったのかを考察して、日本人がフォークナーを研究することの意味を探る!
第20回(2013年)社会政策学会賞学術賞受賞。
日本の隣国で生きる異邦人たち。日本を上回るペースで少子高齢化が進む韓国は、「雇用許可制」を導入し、外国人政策の転換に踏み切った。その労働政策、語学教育、結婚移民などの話題を現地取材で掘り下げ、多文化共生の「光」と難民問題・排外主義といった「影」の両面を探り、日本社会への示唆を与える一冊。
ギリシアの彫像や、ダヴィッド、ドラクロワ、マネ、モローらの絵画のイメージから文学作品を読み解くことで、近代におけるジェンダー規範を照射する。“女/男らしさ”とは何か?
第一次世界大戦、言葉も肌の色も異なる人々が世界中からヨーロッパ戦線に集まった。るつぼの中、語られることなく歴史から抜け落ちていった女性たち、黒人兵たち、「原住民」労働者たち、そして遺体がさらされたままの無名の人々。記憶からも追憶からも置き去りにされたー砲撃がかき消した人々の声に耳を澄ます、戦場の社会史。
この本は、2013年11月16、17日に開催した日中韓女性史国際シンポジウム「女性史・ジェンダー史からみる東アジアの歴史像」の諸報告と、2014年3月22日開催の総合女性史学会大会「女性史・ジェンダー史からみる東アジアの歴史像ー女性史の新たな可能性を求めて」における諸報告を再構成し、1冊にまとめたものです。
イギリス帝国が海を隔てた植民地下の帝国臣民および被支配民に与えた影響を考察する。政治・外交史というこれまでの植民地史のアプローチを超えて、ジェンダーやマイノリティ問題などにも言及しており、多文化社会のイギリスを考える上で重要な本となろう。
中小企業において、経営者家族の労働と報酬がどのような性質を持つものなのか。本書では、織物業の事例を通じて今まであまり論じられてこなかった中小企業経営者層の労働・生活を、制度と歴史、分業、報酬、主観的世界の側面から検討する。そのフレキシブルな労働の実像に着目し、ジェンダーの視点を取り入れた新たな社会理解のモデルを提起する。
摂食障害の経験をもつ女性の感情や気持に耳をかたむけ、その言葉を通して、女性と性をとりまく問題群を明るみに出す。