近世の版本、ポスター・雑誌、CM、流行歌、映画、小説などの多彩な資料から、遊女、町娘、農婦、上流階級女性、モダンガール、作家、街娼、女工、主婦の喫煙や「たばこ屋の娘」の表象、戦争とたばこ、嫌煙権、分煙社会の方途に挑んだ意欲作。
共同体に滅亡をもたらす者、革命家として憲兵の刃に倒れる者、産まれたばかりの我が子を手にかける者ー死と暴力にまみれ、恐怖の相貌を帯びた女性たちはなぜ描かれたのか。19、20世紀を生きた作家たち、宮崎夢柳・福田英子・平林たい子・三枝和子の諸作品から、今なお根強く残るジェンダー秩序と、女性表象や女性解放をめぐる問題に鋭く切り込む。
男性優位の主流政治学が見落としてきたものとはなにか。叛骨の精神が組み込まれたジェンダー概念を用い、リベラリズムとデモクラシーに内在する不平等を解き明かす。
メディアのなかにあらわれた病、女、血、アイヌをめぐる差別と定型の物語から、韓国併合、閔妃暗殺、大逆事件などの暗殺をめぐる物語まで。物語のほころびをとおして、帝国日本の成立過程をさぐる気鋭の論考。
被爆国がなぜ原発大国になったのか?ヒロシマはなぜフクシマを止められなかったのか?なぜむざむざと54基もの原発建設を許してしまったのか?-。
教師教育が直面する課題とは何か。教師とジェンダーの関係性に特に着目しつつ、フランスの教職/教師教育に関する社会学的研究を検証し、同じ課題を抱える日本の教育施策への示唆を見い出すことを目指す。
東アジア各国のジェンダーのあり方を検討し、性別による制約から自由な社会を構想する。
明治末から昭和戦前期に活躍した経済・社会政策学者で、大阪商科大学(現大阪市立大学)初代学長を務めた河田嗣郎は、男女同権の立場から、当時主流であった「良妻賢母主義」教育や平塚らいふうの主張する「母性主義」を批判し、女性の自立と母性の保護をともに論じていた。河田が残した膨大な著書・論文・記事を、精査。家族制度論・公民教育論・母性保護論・社会政策論をめぐる性別への視座に注目し、その思想が、現代のジェンダー論につながる先駆性を持っていたことを明らかにする。
歓喜や希望の水面下にうごめく政治的、経済的思惑を暴き、若者の教育やジェンダー、アスリートの権利など人権的な視点からも鋭く切り込むことで、これからのスポーツメガイベントのあり方を問う。
他者のない愛を営むナルシスト、他者の非存在を生きる独我論者、オカルト・輪廻転生・宗教などのブームの背景にある神秘主義の興隆。超母権文明の到来の中で、エロスは迷宮化し、自我は溶解し、アモルファス化する…。世紀末の男性論をリードしてきた心理学者が、新たなる他者論と世界観の心理学を構想しつつ世に問う、最も先鋭的な文明の書。
長時間労働、過労死、社畜、経済摩擦…。繰り返し指摘されてきた、日本の企業中心社会が作り出す歪み。だが、従来の議論ではある問題がー女性と男性が直面する〈現実〉の違いがー忘れられてはいなかっただろうか。「ジェンダー(性別)関係」をキーワードに、あらたな角度から現代日本の構造と動態をとらえる刺激的な試み。
世界の男女平等趨勢に照らして、不公正と言うべき日本の労働・生活・政策のジェンダー・バイアス。日独比較を通して変革のために何が必要かを説く。
映画と文学からのアプローチ。アメリカの現在の文化情勢を文学的な立場から概観する。たんなる文学研究から文化研究へと視野を広げることで、多元文化主義にもとづく「アメリカの近代」の姿が、その矛盾とともに浮かび上がる。