60ぴきものざりがにをパパの寝室においたり、ぶたを酔わせたり、とんだ結末におわるエーミールの「いたずら」の数々!そのエーミールが、大すきなアルフレッドの命を助けようと、猛吹雪の中を必死で馬車を走らせます……。ユーモラスな筆にのせて、人間の愛と勇気の尊さをうったえるリンドグレーンの「エーミール」シリーズ第三作。
社会保障国イギリスのイメージとは裏腹に、老人問題は深刻だ。失業青年が頭を剃り上げ、“いちゃもんつけ”で不満を発散させる。押し寄せる移民が社会の底辺にくすぶる。外国の大金持ちを泊め、領地や屋敷の維持費を稼ぐ上流人。その姿は、滅びゆく帝政ロシア有産階級に酷似する。だが依然、階級社会は健在だ。金持ちか貧乏かで、言葉遣いが全く違う。しかし、そんな中でもイギリス人はユーモアを愛好し、生真面目な無趣味人間は敬遠の憂き目にあう……。ロンドン在住のジャーナリストが体験に照らして書きとめた、イギリス社会の最新カルテ。
アンデス高地に咲くトマトの祖先、ドーバーの白い岩壁に生える野生のキャベツ…。野菜の故郷を求めて世界を歩く異色の紀行。
礼儀正しく土くさく、シャレてはいないが心暖まる、ちょっと不思議な人間集団「たんぽぽ」。その主宰者、小百合葉子が急逝した。小百合葉子の壮絶な覚悟を引きつぐ「たんぽぽ」は、主宰者の席を永久空席とした。戦後の40年を児童演劇一筋に生きる劇団「たんぽぽ」と小百合葉子の波瀾の物語。
滅びに向う旧家と交錯する末娘の半生。伝統的な菓子の製造販売を生業としてきた家の、日々の仕事と家族の姿。時代とともにうつろう家と、山口の静かな風物の中で秘めた愛を抱いて生きる女性の香気高く描く連作的長篇。
浅草、上野、隅田川。さまざまなときが流れる場所を気ままに散索し、ひとや風景の奥にひそむものを豊かに描きだした期待のエッセイ集!
女性同士の愛(レズビアン)を誓った百合が死んだ。呆然とする石田麻美…。百合の手紙から、彼女が旅行中、正体不明の5人の男に犯され、それが死の原因となったことを知った麻美は、復讐を決意!美貌を武器に、男を破滅と死に導く。その計画は成功するかにみえたが…。揺れ動く女心を、流麗な筆致で描いた、異色ミステリー力作!
盆地の山裾を縫い、山口の街を貫いて流れる川のほとりで生れ育った女性のさだめ。川の姿にも似たうわべの穏やさと、なかに潜む情熱と葛藤を詩的な文章で流麗に綴った創作集。流れる水面に映る女の愛と生のかたち。