旧幕府軍の敗退がほぼ決した鳥羽伏見の戦。大坂城からはすでに火の手が上がっていた。そんな夜更けに、満身創痍の侍、吉村貫一郎が北浜の南部藩蔵屋敷にたどり着いた。脱藩し、新選組隊士となった吉村に手を差し伸べるものはいない。旧友、大野次郎右衛門は冷酷に切腹を命じるー。壬生浪と呼ばれた新選組にあってただひとり「義」を貫いた吉村貫一郎の生涯。構想20年、著者初の時代小説。
突然の災厄が、嘉兵衛を襲った。彼自身がロシア船に囚われ、遠くカムチャツカに拉致されたのだ。だが彼はこの苦境の下で、国政にいささかの責任もない立場ながらもつれにもつれたロシアと日本の関係を独力で改善しようと、深く決意したのである、たとえどんな難関が待ち受けていようとも…感動の完結篇。
神様はもしかして人間を愛しているのかもしれない。日常に慣れることで忘れていた、ささやかだけれど、とても大切な感情ー心と体、風景までもがひとつになって癒される最新短篇集。
“乙女の聖書”として語り継がれた伝説のエッセイが遂に文庫化。乙女はみんな根性ワル、お食事より悪口が好き、ゴージャスで貴族で孤独であれ、真のロリータとは?リボン・フリルのブラウス・Vivianne Westwood…野ばらのエレメントがちりばめられた乙女論は、ロマンチックでお上品でクラシカルで意地悪!正しい乙女になるための必修科目。
小学校にあがる血液型検査で、出生時の取り違えがわかった二人の少女。他人としか思えない実の親との対面、そして交換。「お家に帰りたいよう。」子供たちの悲痛な叫びー。沖縄で実際に起こった赤ちゃんの取り違え事件。発覚時から、二人の少女が成人するまで、密着した著者が描く、家族の絆、感動の物語。
平安京の暗闇に蠢く魑魅魍魎に、若き陰陽師・安倍晴明と朋友の源博雅が敢然と立ち向かう大好評シリーズ第四弾。今回は、晴明が好敵手でもある蘆屋道満と、帝の招きにより宮中で方術比べをすることになった一件を描く「晴明、道満と覆物の中身を占うこと」や、これまた道満が絡む「泰山府君祭」他五篇。
江戸の大川端にある小さな旅篭「かわせみ」。そこに投宿する様々な人たちをめぐっておこる事件の数々。その渦の中に巻きこまれながら、宿の若い女主人るいと恋人神林東吾の二人は、互いに愛を確かめ合い、次第に強く結ばれていく…江戸の下町情緒あふれる筆致で描かれた人情捕物帳。人気シリーズ「御宿かわせみ」新装版第一弾。
ハーレムの高校に通う十六歳の少女ジェニーヴァが博物館で調べものをしている最中、一人の男に襲われそうになるが、機転をきかせて難を逃れる。現場にはレイプのための道具のほかに、タロットカードが残されていた。単純な強姦未遂事件と思い捜査を始めたライムとサックスたちだったが、その後も執拗にジェニーヴァを付け狙う犯人をまえに、何か別の動機があることに気づく。それは米国憲法成立の根底を揺るがす百四十年前の陰謀に結びつくものだった。そこにジェニーヴァの先祖である解放奴隷チャールズ・シングルトンが関与していたのだ…。“百四十年もの”の証拠物件を最先端の科学捜査技術を駆使して解明することができるのか?ライムの頭脳が時空を超える。
町の問題児だった“昆虫少年”を無事逮捕したが、尋問するうちに少年の無罪を信じたサックスは、少年とともに逃走する。少年が真犯人だと確信するライムは、サックスを説得するが、彼女は聞こうとしないばかりか、逃走途中で地元の警察官を射殺してしまう。少年が嘘をついていたことも判り、状況は絶体絶命のデッドエンド。
「いいことの数は決まっていて、誰かが余計に手にすれば、誰かがあぶれる」。駆落ちした相手に逃げられたり、死んだ夫の連れ子と姑に手を焼かされたり…。とことん男運に恵まれないヒロインたちが、恋に翻弄され、揺れ動きながらも、何かをつかみとっていく姿を描く。情感あふれる八つの恋愛短篇。
もしもあなたの彼女が風呂嫌いだったら?彼が買い物中毒で、家をガラクタで一杯にしてしまったら?度を越した迷信好きだったら…?大好きなのに許せないことがある、太陽の光が雲にさえぎられて届かないようにー。恋人たちの平凡な日常に起こる小さなすれちがいや諍いを描いた、キュートな11のラブストーリー。
「グルメ」でも「食通」でもない、「喰いしん坊」の食生活を綴ったエッセイ集。
かつて防衛庁の非公開組織に所属していた丹原朋希と入江一功。二人の胸には常に、救えなかった一人の少女の言葉があった。同じ希望を共有しながら、宿命に分かたれた二人。戦場と化した東京・臨海副都心を舞台に、この国の未来を問う壮絶な祭儀が幕を開けた。前代未聞の思索スペクタル、驚愕の完結篇。
「赦されること」と「受け入れられること」それがこの世の中で、一番うつくしいことだと思いませんか。世界一、うつくしい物語。
モノの値段が下がり続けるデフレが、私たちの生活を直撃している。デフレ不況から身を守るスキルをどう身につけるか。お金の貯め方は?働き方は?人生設計は?反デフレ運動の口火を切った人気経済評論家が完全指南する。
シアトルでのデビュー戦、首位打者、リーグMVP、メジャー記録262安打、WBC連覇から、不調にあえぐ苦悩、弓子夫人の献身、日の丸に寄せる想いまでー。渡米が決定した2000年秋から2010年シーズン直前までの全100時間超のインタヴュー。イチローのすべてがここにある。
何歳からでも効果があります。ひとつからでも効果があります。ボケない人生を今日から始めましょう。
大正時代、東北の寒村に芸術家たちが創ったユートピア「唯腕村」。1997年3月、村の後継者・東一はこの村で美少女マヤと出会った。父親は失踪、母親は中国で行方不明になったマヤは、母親の恋人だった北田という謎の人物の「娘」として、外国人妻とともにこの村に流れ着いたのだった。自らの王国「唯腕村」に囚われた男と、家族もなく国と国の狭間からこぼれ落ちた女は、愛し合い憎み合い、運命を交錯させる。過疎、高齢化、農業破綻、食品偽装、外国人妻、脱北者、国境…東アジアをこの十数年間に襲った波は、いやおうなく日本の片隅の村を呑み込んでいった。ユートピアはいつしかディストピアへ。今の日本のありのままの姿を、著者が5年の歳月をかけて猫き尽くした渾身の長編小説。
このムズカシイ時代を、滑稽だけど懸命に生きる人たちー。短篇の名手が贈るユーモア&ビターテイスト溢れる七つの物語。
今をときめく太政大臣・兼家の首から下が行方不明に!?道満の仲介で鬼との双六勝負に挑んだ兼家だが…。晴明と博雅が、都の怪異を解き明かす。