「ジェンダー平等」は21世紀の国際社会において大きな課題とされており、SDGsでも達成目標の一つに掲げられている。
日本でも、政治やメディアなどの場面で「ジェンダー」の用語が使われるようになってはいるが、「ジェンダー平等」の実現には程遠く、さらには「ジェンダー」に対する理解も十分とはいえない状況である。
「ジェンダー」は性や身体、政治、経済だけでなく、宗教や芸術、教育など、あらゆる事柄と深く関連している。
本事典では、「ジェンダー」に関する基本的なトピックから、学術・研究上のトピック、日常生活における身近なトピックまで、全18章345項目で網羅的に解説。
総勢293名のさまざまな分野の専門家が編集・執筆に取り組んだ「読む」中項目事典。
「男子は重い荷物を持って」「好きな女子/ 男子はいないの?」
無意識に言ってしまっていませんか。学校内外に潜むジェンダー問題。知ることから始めてみませんか。
学校の中でも外でも多くのジェンダー問題が潜んでいます。そして、なぜ学校ではそうしたジェンダー規範が根強く残ってしまうのでしょうか。時代も大きく変わる中、もはや無自覚ではいられません。本書は、今、学校の先生たちに知ってもらいたい、知るべき学校のジェンダー問題を、学校文化・セクハラ・性教育等10の視点から解説。現代の学校教育で必須のジェンダー知識がこれ一冊で学べます。
教育学や社会学はもちろん、多様なバックグラウンドを持った多様な著者による、これまでに類を見ない「学校とジェンダー」を考える本格的な入門書。最新のトピックやNPOからの声も集めたコラムも充実。学校関係者はもちろん、保育園・幼稚園の先生、保護者、教育行政関係者等、幅広く活用できます。
女性はメイクをすべき?
スポーツは男性向き?
災害の被害は平等?
LGBTは私のまわりにいない?
女性専用車両は「男性差別」?
少子化は「女性の社会進出」が原因?
思い込みから自由になる技法(わざ)を学ぼう!
ジェンダー研究の基本から最前線までを貫く、究極の入門書。
ーー本書の特長(「はじめに」より)
1インターセクショナリティの視点を重視する
2多様な性のあり方を前提とする
3多彩なトピックについて、第一線で活躍する研究者が執筆
4「問い」をデータで検証していくスタイル
5考察や問いを広げる、豊富なワーク
6ジェンダー研究を身近に感じられるコラム
はじめに
第1部 ジェンダーの視点を身につける
第1章 「女らしさ・男らしさ」を決めるのは誰?
--ジェンダー、性差別、ジェンダーギャップ指数(前川直哉)
第2章 フェミニストは「萌え絵」が嫌い?
--炎上、女性学、ジェンダー研究(守如子)
第3章 LGBTは私のまわりにいないのか?
--マイノリティ、クィアペダゴジー、アライ(堀川修平)
第2部 「わたし」のまわりのジェンダー
第4章 女性はメイクをしなければだめ?
--美の強制、エロティック・キャピタル、ルッキズム(西倉実季)
第5章 これは男子の遊び? それとも侵害行為?
--男性学、男らしさ、ホモソーシャルな絆(片田孫朝日)
第6章 学校にもジェンダー差別はあるのか?
--隠れたカリキュラム、ポジティブ・アクション、ジェンダー教育(宮田りりぃ)
第7章 スポーツは男性のほうが向いている?
--ジェンダー秩序・性別二元論・身体の性の多様な発達(井谷聡子)
第3部 社会の課題とジェンダー
第8章 少子化は「女性の社会進出」が原因?
--ロマンティックラブ・イデオロギー、男女雇用機会均等法、リプロダクティブ・ライツ(守如子)
第9章 あなたにとって「家族」とは誰?
--性別役割分業/新・性別役割分業、同性婚、ケア(堀あきこ)
第10章 女性専用車両は「男性差別」か?
--痴漢、性暴力、性的同意(牧野雅子)
第11章 災害の被害は平等か?
--DV、避難所、女性防災リーダー(前川直哉)
第12章 ネットでフェミニズムは変わったか?
--フェミニズム、ハッシュタグ・アクティヴィズム、クラフティヴィズム(井口裕紀子)
第4部 インターセクショナリティの視点で考える
第13章 ケア役割は誰のもの?
--フェミニスト障害学、優生思想、自立生活(飯野由里子)
第14章 女性にも「特権」はあるの?
--レイシズム、家意識、マイクロアグレッション(宮前千雅子)
第15章 「トランスジェンダー問題」とは何か?
--トランスジェンダー/シスジェンダー、性別承認法(高井ゆと里)
引用文献一覧
索引
ワークシート
巻末資料
大人は何ができるのか?
「与えられる性差」の悪影響と、起きている前向きな変化。
理想(多様性奨励)と現実(根強いバイアス)のギャップが大きすぎる!
学校・家庭・メディアで与えられる「らしさ」の何が問題か。
赤ちゃんから幼児、小学生、中高生、大学生まで、育児や教育を通して子どもたちに与えられるジェンダーイメージについて、教育社会学の知見や著者自身の子育て経験を踏まえて検証・考察する。
母性愛神話、マイクロアグレッション、性教育、別学か共学か、性的同意、女性の透明化・商品化……語りにくいが大事な問いに正面から挑む。
はじめに
第1章 赤ちゃんから刷り込まれるジェンダー -- おもちゃの好みは遺伝か環境か?
赤ちゃんのときから刷り込まれるバイアス/3歳ごろからの性自認と幼稚園の役割/性自認と遊びの中の役割/ジェンダー規範の「内面化」/なぜバイアスを持つのか/バイアスを持つことは悪いことか?/根拠がなくても実現してしまう/変わるバービー人形/変えていくための動き/幼少期に覚える家庭での役割/つくられた「母性愛」/家庭での役割/高度な家事をやめるのも手
第2章 小学生が闘うジェンダー -- 理想と現実のギャップ
シンデレラ願望/変わるプリンセス像/かわいくて、強くてもいい/マイクロアグレッションと『リトル・マーメイド』の実写版/娘に読ませたいプリンセスもの/子ども向け番組の偏り/性的な描かれ方/公的な場で見えてしまうことが問題/ゾーニングという解決策/大人の「期待」を読み取る子どもたち/ピンクのランドセルを選ぶ男の子/青い目、茶色い目/性犯罪防止に何ができるか/日本版DBS導入へ/性教育
第3章 中高生の直面するジェンダー -- 思春期特有のジレンマ
「サッカー部」にいる女の子はマネージャー?/男女の体格差/ジェンダー・フリー/「隠れたカリキュラム」の是正/なお残る「役割」のジェンダー/「校長」は男性?/ディスカレッジされる女の子/女子の理系選択/女子校・男子校の意義はあるか/別学のメリット/多様性は居心地が良くない/共学の定員は1対1である必要があるか/性教育は共学でも不十分/性的同意/「教えてほしかった」
第4章 大学のゆがんだジェンダー -- 差別とセクハラの温床なのか?
医学部女性減点問題の衝撃/女子枠は逆差別か/女子枠はスティグマになる?/他のマイノリティ性への配慮/東大女性2割の原因/女性への“言葉の逆風?/親の教育期待差/娘に投資しない/実家から離れない/浪人を避ける/女性はリスクを回避する?/成功不安?/差異か平等か/なぜ大学や企業に多様性が必要なのか/社会の設計を誰がするのか/女性の透明化・商品化がはびこるキャンパス/偏差値の高さと女性への目線/DEIについての教養/声をあげる大学生たち
おわりに
参照文献
「KADOKAWA『あの子もトランスジェンダーになった』」
あの“焚書”ついに発刊
世界10か国翻訳
日本語版緊急発売
「今年最高の1冊」タイムズ紙(ロンドン)
「今年最高の1冊」エコノミスト誌
ニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー
厳選した子どもの本を、五人の筆者がそれぞれの専門知識にもとづいて読み解き、ジェンダーやセクシュアリティについて、初学者から深く知りたい人まで、新たな学びにつながる入門書。絵本・まんが・児童書を8つのカテゴリーに分けて紹介するブックガイド1。中高生からおとな向けの関連書籍を紹介するブックガイド2。あわせて百数十冊を紹介。性教育関連図書紹介。絵本作家および新聞記者の寄稿など。
第46回サントリー学芸賞作(政治・経済部門)
歴史・文化・社会的に形成される男女の差異=ジェンダー。その差別は近年強い批判の対象だ。
本書は、実証経済学の研究から就業・教育・政治・解消後の可能性について、国際的視点から描く。
議員の女性枠導入=クオータ制が、質の低下より無能な男性議員排除に繋がる、女性への規範が弱い国ほど高学歴女性が出産するエビデンスなどを提示。旧来の慣習や制度について考える。
【書評掲載案内】
・毎日新聞(朝刊)12月16日/大竹文雄(大阪大特任教授・経済学)
・週刊現代 2023年12月23日号/石戸諭(ノンフィクションライター)
・朝日新聞(朝刊)11月25日/神林龍(武蔵大学教授・労働経済学)
・週刊文春 2023年11月23日号/吉川浩満(文筆家)
・週刊東洋経済 2023年11月11日号/原田泰(名古屋商科大学ビジネススクール教授)
・日本経済新聞(朝刊)2023年10月28日/児玉直美(明治学院大学教授)
・熊本日日新聞2023年9月14日
【目 次】
はじめに
序 章 ジェンダー格差の実証とは
第1章 経済発展と女性の労働参加
第2章 女性の労働参加は何をもたらすか
第3章 歴史に根づいた格差ー風土という地域差
第4章 助長する「思い込み」-典型的な女性像
第5章 女性を家庭に縛る規範とは
第6章 高学歴女性ほど結婚し出産するか
第7章 性・出産を決める権利をもつ意味
第8章 母親の育児負担ー制度はトップランナーの日本
終 章 なぜ男女の所得格差が続くのか
あとがき
日常の中の素朴な疑問から性暴力被害者の自己責任論までーー「ジェンダー研究のゼミに所属している」学生たちが、そのことゆえに友人・知人から投げかけられたさまざまな「問い」に悩みつつ、それらに真っ正面から向き合った、真摯で誠実なQ&A集。
はじめにーージェンダーってなに?
第一章 これってどうなの? 素朴な疑問
1.男女平等をめざす世の中で女子校の意義ってなに?
2.「〇〇男子/〇〇女子」って言い方したらダメ?
3.男女平等は大事だけど、身体の違いもあるし仕事の向き不向きはあるんじゃない?
4.ジェンダーを勉強したら、イクメンにならないといけないんでしょ?
5.専業主婦になりたい人もいるよね?
6.男女平等っていうけど、女性も「女らしさ」を利用しているよね?
コラム1 女子力って……?
第二章 セクシュアル・マイノリティについてもっと知りたい!
7.テレビにはゲイや女装家、トランスジェンダーが出ているけれど、違いはなんなの?
8.「ホモ」、「レズ」って呼び方はダメなの?
9.子ども産めないのに、同性婚って必要あるの?
10.人を好きになったりセックスしたくなったりするのは誰でも自然なことだよね?
11.日本はLGBTに寛容な国だよね?
12.友達だと思ってたのに告られた……誰かに相談していい?
コラム2 多数派の人たちの幸せは?
第三章 フェミニズムって怖いもの?
13.フェミニズムって危険な思想なんでしょ?
14.どうしてフェミニストはCMみたいな些細なことに噛みつくの?
15.どうしてフェミニストは萌えキャラを目の敵にするの?
16.どうしてフェミニストはミスコンに反対するの?
17.フェミニストはなにかと女性差別というけど、伝統や文化も重んじるべきじゃない?
18.ジェンダー研究に関心をもっている人とフェミニストとは別なんでしょ?
コラム3 ジェンダー研究は女性の学問?
第四章 めざしているのは逆差別?
19.男だって大変なのに、女がすぐハラスメントと騒ぐのって逆差別では?
20.管理職の女性を30%にするって、女性だけを優遇する逆差別じゃない?
21.東大が女子学生だけに家賃補助をするのって逆差別じゃない?
22.女性専用車両って男性への差別じゃない?
23.女性はバリキャリか専業主婦か選べるのに、男性は働くしか選択肢がないのっておかしくない?
24.恋愛のハードルって男の方が高い。女ってだけでモテるんだから女はずるくない?
コラム4 なんでジェンダーのゼミにいるのに化粧してるの?
第五章性暴力についてもっと考えたい!
25.性欲って本能でしょ、そのせいで男性が女性を襲うのも仕方ないよね?
26.性暴力って被害にあう側にも落ち度があるんじゃない?
27.性暴力の被害者って女性だけだよね?
28.性行為しておいて後から「あれはレイプだった」っておかしくない?
29.性暴力ってある日突然見知らぬ人からレイプされることだよね?
コラム5 ジェンダーを勉強するとつらくなる?
読書案内
おわりに
「ポストコロニアル」「新自由主義」「グローバリゼーション」「戦時性暴力」「性被害の経験」「男性性」などをテーマとした、2000年代以降の各フィールドでの実証研究に基づく論考を所収。ポスト構造主義以後のジェンダー研究における「実践」「権力」「主体と構造」「交差性」等をめぐる議論の到達点を指し示す。
刊行にあたって
1 経験と構造
顔にあざのある女性たち──ジェンダーと障害から考えるルッキズム
……………西倉実季
「セックスワーカー」とは誰か──グローバルな性取引の構造と経験
……………青山 薫
在日朝鮮人一世女性にみる植民地的ディアスポラの経験と対抗的公共圏
……………徐 阿 貴
2 規範
被害者の意思をどう認識するか──刑事司法における性暴力の扱いをめぐって
……………小宮友根
「レズビアン」という名づけと表明──ツールとしての「アイデンティティ」の可能性
……………堀江有里
性同一性障害のエスノグラフィ
……………K.Phoenix
3 男性性/権力
「男性性による抑圧」と「男性性からの解放」で終わらない男性性研究へ
……………平山 亮
なぜ性別分業は再生産されるのか──家父長制再考
……………山根 純
性別分業における権力関係──R.マーフィーの権力概念による検討
……………村尾祐美子
4 グローバル社会の中のジェンダー
戦争と暴力──戦時性暴力と軍事化されたジェンダー秩序
……………佐藤文香
日本のネオリベラル・ジェンダー秩序──新自由主義とジェンダーの理論的視座
……………菊地夏野
OVERVIEW
ジェンダー・セクシュアリティ研究の現在地と今後
……………山根 純
小学生の男女及び、その保護者に向けた性教育の指南書です。性に関する様々なトピックをマンガで展開し、わかりやすく解説します。
人はなぜ,男か女かという性別にこだわるのか。その〈分類〉をいかに意味づけ,相互行為の中で社会制度に組み込んでいるのか。ジェンダーの視点で見ると,はじめて「社会」が見えてくる。ジェンダーの基礎から最新動向まで,軽妙な講義調で解き明かす,著者待望の書。
第1章 ジェンダーとの遭遇──私たちは〈分類〉する
第2章 「女」「男」とは誰のことか──性分化とインターセックス
第3章 性別という壁を乗り越える人々──トランスジェンダー
第4章 ジェンダーは性と愛をも枠づける──同性愛と異性愛
第5章 「男なんだから,男らしくすべき」は論理じゃない──性差と性役割
第6章 科学や数学は女には向いていない?──生物学的性差
第7章 ジェンダーの彼方の国はどこにある──メディアと教育
第8章 男が少女マンガを読むのは恥ずかしい?──恋愛と性行動
第9章 〈被害者〉の視点と〈加害者〉の視点──性暴力⑴
第10章 「わいせつ」と「レイプ」は同じ罪なのか──性暴力⑵
第11章 「女性差別は終わった」という残念な妄想──性別職務分離と統計的差別
第12章 ワーク・ライフ・バランスを阻むものは何か──性別役割分業,ホモソーシャル,マタニティ・ハラスメント
第13章 女だけでは子どもは産めません──母性・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ・生殖テクノロジー
ドラマの選び方、時間軸やキャラクターの考え方などの基本的な要素を押さえたうえで、「ジェンダー」「LGBTQ」「都市」「権力」など、人文学・社会学の視点からテレビドラマを研究する方法を多くのドラマとともに案内する。テレビドラマ研究の好適な入門書。
男性/女性の二分法を超え、多様性を認めあう社会へ
「育つ」「シューカツする」「ケアする」といった身近なできごとをジェンダーの視点からとらえ、「当たり前」を問いなおす。四半世紀にわたって読み継がれる好評ロングセラーの改訂版。
【「0 社会学とジェンダー論の視点」より】
ジェンダーの縛りは、私たちをなかなか自由にしてくれない。なぜ、ジェンダーからの解放は難しいのだろうか。それは、人間社会は、それぞれの領域で「さまざまな要素が一定の関係のもとで配置された、恒常性をもったしくみ」(社会科学ではこうしたしくみを「構造」と呼ぶ)をもっているからだ。ジェンダーについても、それぞれの社会に固有なジェンダー構造、つまり「男はこうすべきだ」とか「女の役割はこうあるべきだ」といったしくみが存在している。
もちろん、このジェンダー構造の多くは人間がつくりだしたものだ。逆にいえば、問題があれば意図的に変革することができるということだ。とはいっても、なかなかこの構造を変えることは難しい。なぜなら、この構造は「当たり前のこと」、まるで「自然」なことのようにあらわれるため、多くの人にとって「問題あり」とは気づかれないまま維持されているからだ。
(中略)
これまでのジェンダー構造によって規定されてきた社会は、しばしば人間を二色刷りで把握しようとしてきた。つまり、男性と女性の二分法である。ジェンダー平等を目指す動きは、これを単色の社会にしようというのではない。むしろ、二色刷りから多色刷りへと転換していくことが求められているのだ。
0 社会学とジェンダー論の視点(伊藤公雄)
1 育 つーー子どもの社会化とジェンダー(藤田由美子)
2 学 ぶーー教育におけるジェンダー平等を考える(木村涼子)
3 語 るーーことばが変える社会(中村桃子)
4 愛するーー恋愛からの脱出(牟田和恵)
5 シューカツするーー「将来の自分」とジェンダー規範(妹尾麻美)
6 働 くーー労働におけるジェンダー格差(大槻奈巳)
7 家族するーー変わる現実と制度のはざま(藤田嘉代子)
8 シェアするーー共同生活とジェンダー役割(久保田裕之)
9 楽しむーー「推し」とジェンダー(辻 泉)
10 困 るーー生活困難に陥るリスク(丸山里美)
11 装 うーーファッションと社会(谷本奈穂)
12 つながるーー友人関係とジェンダー(辻 大介)
13 闘 うーー戦争・軍隊とフェミニズム(佐藤文香)
14 移動するーー交差する関係の中で(高谷 幸)
15 ケアするーーケアはジェンダーから自由になれるのか?(斎藤真緒)
■コラム
BOX1 男女という区分にうんざりする勧め(佐倉智美)
BOX2 性的同意はなぜ重要なのか?(高島菜芭)
BOX3 娘役からみる宝塚歌劇の魅力(東 園子)
BOX4 女子マンガが教えてくれること(トミヤマユキコ)
BOX5 メンズリブ(多賀 太)
BOX6 信じるー─宗教とジェンダー秩序(猪瀬優理)
「男の子」「女の子」にまつわる思い込みを
みんなでディスカッションしよう!
■水色のランドセルの女の子、ピンク色のランドセルの男の子
■お化粧ごっこが好きな男子、戦隊モノが好きな女子
■消防士の女性、保育士の男性
あなたはどう思いますか?
国内外のジェンダーに関する25の場面からディスカッションするポイントをまとめました。
ジェンダーが日常や社会のあらゆることに影響していることに気づき、
男子も! 女子も! だれもが生きやすい未来をつくるはじめの一歩を踏み出しましょう!
「男の子なんだから!」「女の子だから仕方ないね」と言われたときに、
「なんでだろう?」「どうしてだろう?」と思ったあなたは、もうジェンダーバイアスに気づいています!
【ダウンロードデータできる25のディスカッションシートつき】
・遊びやおもちゃからジェンダー・ステレオタイプについて考える
・男の子に向けられるジェンダー規範について考える
・学校の部活における性別役割分業について考える
・女子は文系、男子は理系というジェンダー・ステレオタイプについて考える
・男性は外で働き、女性は家で家事・育児という性別役割分業について考える
・早すぎる結婚の背景にあるジェンダー課題について考える/など
著者が早稲田大学の教養科目としておこなう授業をもとに、家族史からグローバル・ヒストリーまでをあつかう入門書。
歴史における家族、女性性や男性性の変容、男女二元化のプロセス、身体的性差の認識の変化といったジェンダー・イシューに、
歴史学がどのような問題意識をもってアプローチし解き明かしてきたかを、紐解いていく。
ジェンダーの概念は我々の社会の見方を大きく変えてきた。今後、この概念は社会学をどのように変え、社会的・経済的な不平等の是正に対してどのような力を持ちうるのか。本書では最前線で活躍する社会学者たちが、社会問題や社会運動等の現実社会の動きや、他の学術領域の研究にも言及しつつ、社会理論や労働、移民やセクシュアリティの各分野でその変革の経路を辿りなおすとともに、今後の展望を描き出していく。
はしがき
第1章 「フェミニズムにおけるリベラリズム批判」の社会学的意義──「公私二元論批判」から「ケアの倫理」へ( 江原由美子)
1 「フェミニズムにおけるリベラリズム批判」という主題
2 現代的リベラリズムとは?
3 フェミニズムのリベラリズム批判の主要な論点
4 公私二元論批判
5 「女性に対する暴力」をめぐる問題
6 「ケアの倫理」
7 近代における国家・市場・家族──公私二元論批判からみえてくる近代社会
第2章 労働とジェンダー平等──女性労働研究の到達点を踏まえて(木本喜美子)
1 労働における男女間格差を問う
2 女性労働研究の課題と方法
3 性別職務分離の研究へ
4 日本における性別職務分離研究の模索
5 二一世紀日本における到達点と課題
第3章 移民研究とジェンダー研究の統合──ケアワークとしてのセックスワーク考 (青山 薫)
1 移民研究・ジェンダー研究・移民性労働
2 「移民の女性化」とその後
3 「性の商品化」から「連続体論」へ──二項対立を越える構造化論の応用
4 実証にみる「移民の女性化」から「セックスワーク研究」まで
5 クィア移民研究への道
6 性労働をケアワークに位置付ける
第4章 規範/達成としてのジェンダー──フェミニズムとエスノメソドロジー(須永将史)
1 ジェンダーをめぐる三つの問い
2 ジェンダー概念組織化の黎明期
3 フェミニズムによるジェンダー概念の組織化
4 エスノメソドロジーと性別の研究──ストーラーとガーフィンケルの性別地位
5 フェミニズムとエスノメソドロジー
第5章 セクシュアリティ研究のゆくえ──差異と平等のはざまで(河口和也)
1 輻奏するセクシュアリティ
2 セクシュアリティという固有の領域
3 セクシュアル・マイノリティ──アイデンティティとコミュニティ
4 カミングアウトのポリティクス
5 HIV/エイズをめぐる社会学
6 クィア・スタディーズ
あとがき
人名・事項索引
暗黙のうちに男性主体で語られてきた歴史は、女性史研究の長年の歩みと「ジェンダー」概念がもたらした認識転換によって、根本的に見直されている。史学史を振り返りつつ、家族・身体・政治・福祉・労働・戦争・植民地といったフィールドで女性史とジェンダー史が歴史の見方をいかに刷新してきたかを論じる、総合的入門書。
はじめに
第1講 女性史研究の始動ーー世界と日本
1 先駆的な女性史研究
2 戦後の日本女性史研究
3 女性史研究の拠点としての地域女性史
第2講 第二波フェミニズムと新しい女性史
1 「新しい女性史」の誕生
2 「新しい女性史」は何をもたらしたか
3 「新しい女性史」の日本での受容
第3講 ジェンダー史
1 ジェンダー史の登場
2 ジェンダー史と構築主義歴史学
第4講 歴史叙述とジェンダー
1 歴史教育とジェンダー
2 ジェンダー視点は歴史叙述を変えたか
第5講 家族を歴史化する
1 家族に関する神話の崩壊と家族の歴史化
2 伝統社会における家
3 近代家族論の精緻化
4 近代家族の普遍化と揺らぎ
5 日本での家族史研究と女性・ジェンダーの視点
第6講 近代社会の編成基盤としてのジェンダー
1 身分制
2 近代的ジェンダー観の形成とその制度化
3 国民・ナショナリズムとジェンダー
第7講 身 体
1 身体は不変か?
2 性・生殖の歴史研究
3 L(レズビアン)G(ゲイ)B(バイセクシャル)T(トランスジェンダー)
第8講 福 祉
1 福祉研究へのジェンダー視点の導入
2 福祉活動の出発点としての戦時福祉
3 福祉活動と女性の社会進出
第9講 労 働
1 働き続けてきた女たち
2 労働概念の転換と女性就業
3 労働と労働者のジェンダー化
4 女性労働者保護法とジェンダー・家族
第10講 植民地・戦争・レイシズム
1 植民地とジェンダー
2 戦争がもたらしたもの
3 戦争・占領と性暴力
図版出典一覧
主要参考文献
個人の抱える困難や苦悩は「こころ」の内部だけに収まるものではなく、社会問題が深く関わっている。女性や性的マイノリティの貧困、社会資源へのアクセスの非対称、同性愛者やトランスジェンダーの当事者への社会的スティグマ、社会的排除、性暴力、男性の感情表現の失語……これらあらゆる事象にジェンダーの問題は埋め込まれている。そしてジェンダーの問題はクライエントだけが抱えるものではなく、臨床家の臨床観・理論・生活にも影響を与えている。
一方で、アカデミズムの文脈とは別に、フェミニストカウンセリング、男性相談、性的マイノリティへの心理支援など、ジェンダー視点を踏まえた草の根の運動史があるにもかかわらず、日本の心理臨床界ではジェンダー視点は未だ十分に論議されていない現状がある。
臨床心理士・公認心理師をはじめとする対人援助専門職家に向けて、ジェンダーにセンシティブな臨床とはいかなるものかを考えようと試みた本書は、このような社会構造と歴史的経緯から生まれた。女性支援および性的マイノリティ支援を牽引してきた村本邦子氏と葛西真紀子氏へのインタビューを皮切りに、編集委員内の対話から浮かび上がった現代的課題を検証する論考から構成されている。日本の心理臨床界・心理学におけるジェンダー秩序の史的考察から、臨床現場におけるジェンダーバイアスやマイクロアグレッションがもたらす負の側面の批判的検証、性暴力、DV、性別違和など具体的な臨床実践においてジェンダー視点を活かす可能性を考察する。
その場限りの技法論ではない、臨床の質的変化をもたらすための、ジェンダーセンシティブな心理臨床論。
prologue ありふれた声を求めて
WAY TO WORK 出勤一日目
ほら見ろ、これが女性たちの人生だぞ。
WAY TO WORK 出勤二日目
私たちが働いていないだと?
WAY TO WORK 出勤三日目
男尊女卑からフェミニズムまで
WAY TO WORK 出勤四日目
ここは都会と違うんです
WAY TO WORK 出勤五日目
今日も出勤する女性たち
Epilogue
彼女たち一人一人が、一冊の本だった
人形で遊ぶメスのチンパンジー、孤児を養子にするオスのボノボ……
彼らの行動は、どれほど人間の行動と共通するのだろうか?
オスとメスの違いは、生まれつきのものなのか。
はたして「ジェンダーがあるのは人間だけ」なのかーー?
★ユヴァル・ノア・ハラリ推薦! 20か国で刊行決定!
霊長類の社会的知能研究の第一人者が、進化生物学とフェミニズムの間で繰り広げられる、性をめぐる論争に風穴を開ける。
「動物と人間の行動における性差は、人間のジェンダーにまつわるほぼすべての議論の核心にあるさまざまな疑問を提起する。男と女の行動の違いは自然のものか、人為的なものか? 両者は本当はどれほど違うのか? ジェンダーは二つしかないのか、それとも、もっとあるのか?」(本文より)
《本書への賛辞》
「性とジェンダーに関する白熱した論争に、科学的で思いやりのあるバランスのとれたアプローチをもたらす、すばらしく魅力的な本」
ユヴァル・ノア・ハラリ(『サピエンス全史』著者)
「……男性か女性か、クィアかストレートか、トランスジェンダーかノンバイナリーかを問わず、より公正で平等な社会を築くために私たち皆が行うべき重要な対話を、間違いなく刺激する」
サイ・モンゴメリー(『愛しのオクトパス』著者)
「女vs男。性vsジェンダー。生物学vs社会的な教え込み。性差というテーマほど、愚か者を誘惑する話題はなかなかないが、ドゥ・ヴァールは賢明だ。人間の性差という魅力的なトピックを、非常に明快に、洞察力と機知に富んだ方法で調べ上げ、結局のところ、私たちも霊長類の一種にすぎないことを決して忘れさせない。じつに刺激的だ」
ロバート・M. サポルスキー(『善と悪の生物学』著者)
「性差という危険地帯に踏み込むには勇気がいる。秀でた語り、文化に対する敬意、そしてボノボやチンパンジーに対する深い知識を頼りに、ドゥ・ヴァールはこの危険な領域を巧みに乗り越えている」
サラ・ブラファー・ハーディ(『マザー・ネイチャー』著者)
《目次より》
第1章 おもちゃが私たちについて語ること:男の子と女の子と他の霊長類の遊び方/第4章 間違ったメタファー:霊長類の家父長制社会を誇張する/第6章 性的なシグナル:生殖器から顔、美しさまで/第7章 求愛ゲーム:慎み深い女という神話/第8章 暴力:レイプと謀殺と戦争の犬ども/第11章 養育:母親による子育てと父親による子育て/第12章 同性間のセックス:虹色の旗を掲げる動物たち 他