フェミニズムとは、女の解放を意図しながら、「女」と位置付けられている者以外にフェミニズムを開いていくこと──最良の入門書であるとともに、男/女のカテゴリーを徹底的に解析する本書は、性差の虚構性を暴き、この身体から未来を展望する可能性を示す。齋藤純一氏との『思想』対談を付して文庫化。(解説=岡野八代)
はじめにーーいまフェミニズムを書くことについて
1 どこから来て、そしてどこまで来たのか
前=啓蒙主義の時代
錯綜性と矛盾の胚胎
初期の女性運動ーーセネカ・フォールズ大会の場合
第一波フェミニズムと「ドメスティック・イデオロギー」
第二波フェミニズムとマルクス主義
ジェンダー
ラディカル性と連帯意識
本質主義
精神分析に対する両面的なアプローチ
セクシュアリティ
2 どこへ行くのか
第1章 身体
1 身体的性差という虚構
2 〈女のエクリチュール/身体〉のアポーリア
3 形態論をめぐるフェミニズムの可能性
第2章 慣習
1 ジェンダー化され、ジェンダー化するハビトゥス
2 ホモソーシャルな公的領域
3 ポスト・ファミリーに向けて
第3章 グローバル化
1 境界によって分断される女
2 他者性の呪縛
3 グローバル化とフェミニズム
3 基本文献案内
あとがき
対談 親密圏と公共圏の〈あいだ〉--孤独と正義をめぐって……………齋藤純一・竹村和子
解説 未来からもたらされた、フェミニズム……………岡野八代
日本の何が問題なのか?
母娘問題、セクハラ、結婚・恋愛・子育て、団塊世代と大学闘争、性暴力などについて徹底的に語り合った7時間!
・日本の女が大変なワケ
・世代でくくると見えてくるもの
・結婚、恋愛、ナメんなよ!
・子どもを産むのは親のエゴイズム
・オヤジは再生産される!?
・性暴力は女性ではなく男性の問題
・私たちは山ほど洗脳されている!
<著者について>
上野千鶴子(うえの・ちづこ)
1948年富山県生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクショネットワーク(WAN)理事長。
専門学校、短大、大学、大学院、社会人教育などの高等教育機関で、40年間、教育と研究に従事。
著書に『家父長制と資本制』(岩波現代文庫)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『女ぎらい』(朝日文庫)、『ケアの社会学』(太田出版)など多数。
田房永子(たぶさ・えいこ)
1978年東京都生まれ。漫画家、ライター。母からの過干渉に悩み、その確執と葛藤を描いたコミックエッセイ
『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)がベストセラーに。主な著書に『ママだって、人間』(河出書房新社)、
『キレる私をやめたい?夫をグーで殴る妻をやめるまで?』(竹書房)、『「男の子の育て方」を真剣に考えてたら夫とのセックスが週3回になりました』(大和書房)など。
「生きづらさ」を乗り越えるために
「100分deフェミニズム」(2023年1月2日放送)が待望の書籍化! 『伊藤野枝集』『侍女の物語』から『心的外傷と回復』『男同士の絆』まで。豪華著者陣が名著の核心を読み解きながら、フェミニズムの真価を語りつくす。未放送のトピックも収載し、新たな取材も加えた決定版!
17世紀のメアリー・アステルの時代から最近の#MeToo運動まで、フェミニズムの流れを追いながら、先住民族、ブラックフェミニズム、LGBTQなどマイノリティの問題や、アジア・イスラム圏のフェミニズムなども広く取り上げ、オールカラーの写真と図解でわかりやすく解説、その歴史と全体像を捉える待望の一冊。
フェミニズムは終わらない、いや終わりようがない
フェミニズムの終焉をかたる「ポストフェミニズム」の時代を経て、私たちは再びその盛り上がりに立ち会っているといわれる。だがそこで喧伝される「新しいフェミニズム」の実像と、その向かう先は果たしてどこまで理解されているだろうか。ネオリベラリズムと結託した「リーン・イン」や「女性活躍」の欺瞞を問い、セックスワーカーやトランスジェンダーへの差別、「慰安婦」問題などそこからこぼれ落ちるものにまなざしを向けることで、見えてくるものとは。フェミニズムをあきらめないための、たしかなる提言。
性差別のない21世紀を実現するために。
フェミニズムを様々なトピックで学ぶ必携の一冊!
* * *
女性たちが日以上生活の中で、「あれ?」と疑問に思うこと、
何気ない言葉や行為に抵抗を覚えること。
それはフェミニズムのきっかけになります。
「私が我慢すれば」と抑えこんでいた怒りや不満を、
いつかどこかにぶつけたくなるかもしれません。
でも、誰に、どうやってぶつけたらいいのか?
それを考えるためのヒントをくれるのが、フェミニズムです。
エッセンシャルワーカーとケア
オリンピックとセクシズム
インターセクショナリティ
Black Lives Matter
性と身体
中絶と性暴力
LGBTQ∔
#MeToo
フェミニズムの視点を身に着ければ、世界の見え方が変わる!
フェミニズムの歴史を読み解き、
物事を一歩引いて眺める視点を与えてくれる一冊
ーー芥川賞作家・李琴峰推薦
* * *
フェミニズムって何ですか?
フェミニズムの四つの波ーーフランケンシュタインから#Me Tooまで
フェミニズムにおける、性と生殖という”難題”
「個人の自由」の真の意味を、フェミニズムは問い続ける
フェミニズムに救われた二人の対話 清水晶子×長島有里枝
フェミニズムにも「インターセクショナル」な視点が必要な理由
現代カルチャーシーンとフェミニズム ドラマが教えてくれること
女性リーダーに見る次世代リーダーシップのあり方
性暴力を正しく理解するために
なぜ”ケア”は黙殺されてきたのか
真にヘルシーな性教育とは
問題山積、でも知るべき「結婚の不都合な真実」
スポーツにおけるセクシズム 清水晶子×井谷聡子
セックスワークはフェミニズムをどう捉えるか
フェミニズムから教育の多様性を考える
フェミニズムは「中絶」をどう捉えるか
「性」を支配するのは誰なのか
自立と”家族”をめぐって
小説で性への違和を描くこと 清水晶子×李琴峰
「生きることは行動すること」をモットーに、動き、人と出会い、繋がり、悩み、迷い、失敗を重ね、笑い、泣き、喜び、感動しながらフェミニズムを生き、エンパワーした旅の記録であり、連帯と行動の記録です。次の世代にバトンが繋がり、フェミニズムが差別や抑圧に苦しむ女性たちの真の力となることを心から願います。
はじめに
序章 生きるためのフェミニズムを求めて
性差別の解消はどこまで進んだか/世界女性会議とフェミニストとの出会い/行動綱領の策定にNGOが果たした役割/女性の視点から近代と向き合う/本土だけに適用された日本国憲法/トランプ政権とプッシュバックの中で/
第1章 性差別大国・日本
差別は区別から始まる/性差別大国、日本の現状/「永田町住民」のやる気のなさ/税・社会保障制度が性差別を再生産/「家族は一心同体」という家族政策/「均等法」制定と「女性分断元年」/少子化対策と一体化した「男女共同参画社会基本法」/国際基準との大きなへだたり/行動と連帯を/
第2章 フェミニズムとの出会いーー人生を変えた出来事
生い立ち/私の母と祖母/講義に出るより自治会に出入り/東大闘争の渦中に/私のフェミニズムの旅の始まり/「アジアの女たちの会」/日本女性学会設立直後に入会/結婚・子育て/
第3章 アジアの女性ネットワークと「アジア女性会議」
80年代日本の時代背景/◎アジア女性会議宣言文/「南」の女性による「北」の女性への問いーー1980年第2回世界女性会議/【論考1】フォーラムに参加して感じたこと/【論考2】フェミニズムと第三世界/第2回アジア女性会議「創り出そう女たちのアジアを」/
第4章 世界の女性が燃えた「北京会議」と「北京行動綱領」
アジア発、最大規模の国連会議/NGOフォーラムーー出会いとネットワークづくりの場/女性の権利は人権である/政府間会議ーー北京JACの発足/「ポスト北京」新たな歴史が始まる/
第5章 カイロ人口開発会議と女性の基本的人権
優生保護から母体保護法へ/日本のSRHRをめぐる問題/SRHRへの攻撃のなかで新たな希望の兆し/94カイロ国際人口開発会議と「女性と健康ネットワーク」/【論考3】開発・環境・女性と人口/加藤シヅエさんのこと/【論考4】大正デモクラシーを生きた女 加藤シヅエ/
第6章 新自由主義とナショナリズムとバックラッシュ
【論考5】ジェンダー平等政策とバックラッシュの背景/【論考6】千葉県での条例制定をめぐる「攻防」から見えてきたもの/【論考7】新自由主義とジェンダー平等は両立しないーー新自由主義に終止符を!/
第7章 女性が政治参画するということ
「権利の上に眠るな」/女性議員はどれくらい増えた?/選挙制度の改革・女性たちの動き/女性を政治参画に促す要因/挑戦することで学んだこと、手にしたもの/参院選と9月11日事件、1週間後のノート/
終章 「核」の脅威のなかで「平和」と「平等」を考える
「キルトの世界」をイメージして/終わらない戦争人類存亡の危機ーーフェミニズムは問われている/
あとがき
戦後関連年表
参考文献
著者執筆リスト
ないものとされてきた存在を可視化する、
部落女性9人による実践と思想。
婦人水平社100年の姉妹たちの歴史、レイシズムとしての部落差別、識字文集、聞き取り、自立生活運動、フェミニスト・カウンセリング、部落解放運動、在日朝鮮人運動、障害者運動、反差別運動、むらの「食」の記憶、地域・コミュニティ……
被差別部落をルーツに持つ女性たちが、それぞれの研究や活動現場から「部落」を語り直す、これまでになかったフェミニズムの書。
編者まえがき
第1章 部落女性の「不可視化」とフェミニズム──レイシズムとしての無関心 /藤岡美恵子
第2章 祖母、母、わたしと婦人水平社の姉妹たち/宮前千雅子
第3章 私から、われわれ、そして私へとつながる物語/福岡ともみ
第4章 私が生きのびるための思想・生活・運動/石地かおる(聞き手:のぴこ+川崎那恵)
第5章 私たちはここにいる/のぴこ
第6章 「食」の記憶に浮かびあがる部落女性たち──ある皮なめしのムラの聞き取りから/瀬戸徐映里奈
第7章 地域・コミュニティにとって「当事者」とは誰か?/坂東希
第8章 私たちが部落を語るために──部落に生きる者たちの系譜/川崎那恵
第9章 不可視化への歴史的抵抗、主体と権利の奪還/熊本理抄
あとがきにかえた謝辞
私たちはまだ連帯できるーーほんとうの敵は資本主義だ
1%の富裕層ではなく、「99%の私たち」のために、性差別・人種主義・環境破壊のない社会を。いまや世界中に拡がる女性たちの運動とも共鳴しながら、研究の第一線でも活躍するジェンダー学者たちが、性の抑圧をもたらす現代資本主義の終焉を呼びかける。分断を正確に認識することで、私たちはまだ連帯できる。
「99%のためのフェミニズムは反資本主義をうたう不断のフェミニズムであるーー平等を勝ち取らないかぎり同等では満足せず、公正を勝ち取らないかぎり空虚な法的権利には満足せず、個人の自由がすべての人々の自由と共にあることが確証されないかぎり、私たちは決して既存の民主主義には満足しない」(本文より)。
◎目次
1 新たなフェミニズムの波がストライキを再構成する
2 リベラル・フェミニズムは崩壊した──私たちは前に進まなければならない
3 私たちには反資本主義のフェミニズムが必要だ──99%のためのフェミニズム
4 私たちは社会全体の危機のさなかを生きている──そしてその根源は資本主義にある
5 資本主義社会におけるジェンダー的抑圧は、社会的再生産が利益目的の生産に従属していることに根ざしている──私たちはその順番を正しくひっくり返したい
6 ジェンダーに基づく暴力には多くの形があり、そのすべては資本主義と複雑に絡みあっている──私たちはそれらすべてと闘うことを誓う
7 資本主義はセクシュアリティを規制しようとする──私たちはそれを解放したい
8 資本主義は人種主義的・植民地主義的暴力から生まれた──99%のためのフェミニズムは、反人種主義かつ反帝国主義である
9 資本による地球の破壊から脱するために闘う──99%のためのフェミニズムはエコ社会主義である
10 資本主義は本物の民主主義や平和と両立しない──私たちの答えはフェミニスト的な国際主義である
11 99%のためのフェミニズムはすべてのラディカルな運動に反資本主義の反乱を呼びかける
創刊以来86年ぶりの3刷となった「文藝」2019年秋季号の特集「韓国・フェミニズム・日本」、内容を新たにした完全版!
ベストセラー小説『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者チョ・ナムジュによる傑作短編「家出」、シンガー・ソングライターのイ・ランによる初邦訳作「手違いゾンビ」、新世代のフェミニスト作家ユン・イヒョンの代表作「クンの旅」、性暴力をめぐり社会の現実を克明に暴くパク・ミンジョン「モルグ・ジオラマ」など、韓国文学の最前線をいち早く紹介!
さらに、いま韓国で最も注目を集め、文学の未来を担う作家ファン・ジョンウンとチェ・ウニョンのふたりによる、本書のための書き下ろしエッセイを収録。
他にも大注目の書き手たちによる書き下ろしと特別企画を加え、「文藝」の特集からさらにパワーアップし、『完全版 韓国・フェミニズム・日本』としてここに誕生!
ジェンダーアイデンティティとは何か
混迷をきわめるジェンダー問題を分析し、 平等な社会のための現実的な解決策を提示する
多様な「性」を尊重する社会づくりが世界的に進むなかで、それに合わせた法制度などが整備されつつある。その一方で、複雑化した「ジェンダー概念」への理解が追いつかず、社会的混乱を来してもいる。本書では、生物学的性別よりもジェンダーを優先する、いわゆる「ジェンダーアイデンティティ理論」が生まれた思想的背景を、ボーヴォワール、ジュディス・バトラーなどを振り返りながら丁寧に説明し、「ジェンダーアイデンティティ」とは何かを明らかにする。さらに、女性専用スペース、医療、政治、データ収集など、さまざまな文脈において生物学的性別の重要性を提示することを通して、「誰もが生きやすい社会」の実現に向けた現実的な解決を試みる。
この本を読んでみてください。フェミニズムとはなんなのか、どんな運動をしてきたのか、わかるから。
現代を代表する思想家にして、ブラック・フェミニストのベル・フックスが新しい世代に向けてバトンを渡す、世界でロングセラーのフェミニズム入門書を復刊! 平易な語り口で、フェミニズムの定義、理解と前進のための批判、運動の変化と展望を説く。フェミニズムの歴史を知り、今に活かしたい新しい読者たちにとって最適の一冊。
はじめに フェミニズムを知ってほしい
1 フェミニズム わたしたちはどこにいるのか
2 コンシャスネス・レイジング たえまない意識の変革を
3 女の絆は今でも強い
4 批判的な意識のためのフェミニズム教育
5 私たちのからだ、私たち自身 リプロダクティブ・ライツ
6 内面の美、外見の美
7 フェミニズムの階級闘争
8 グローバル・フェミニズム
9 働く女性たち
10 人種とジェンダー
11 暴力をなくす
12 フェミズムの考える男らしさ
13 フェミニズムの育児
14 結婚とパートナー関係の解放
15 フェミニズムの性の政治学 互いの自由を尊重する
16 完全なる至福 レズビアンとフェミニズム
17 愛ふたたび フェミニズムの心
18 フェミニズムとスピリチュアリティ
19 未来を開くフェミニズム
訳者あとがき
その歴史と意義が2時間でわかる、著者初の総合的な入門書。
学校で習った「男女雇用機会均等法」や「男女共同参画社会基本法」。これらは、真の男女平等を実現するものではなかった? フェミニズムはなぜ生まれ、何を変え、何を変えられなかったのか。その流れを「四つの波」に分けてコンパクトに解説する。女性参政権、性別役割の解放、#MeToo……。過去を知り、自分の経験を再定義する言葉を手に入れるために。日本におけるフェミニズムを切り開き続けてきた第一人者が、多くの経験知とともにフェミニズムがたどった道のりを語る。
フェミニズムは何と格闘し,何を獲得してきたのか。資本主義が変容した社会で今起きている新たな課題とは。労働と再生産,家父長制,ケア,国家と女性の権利などの論点を現代的視点で再考し,次の理論形成へ向けて,第一線の研究者が集結。渾身のメッセージ。
序 章 今フェミニズムは何を議論するべきなのか──グローバリズムとネオリベラリズムを超えて(江原由美子)
第1章 再生産費用の分配公正を求めて──家父長制と資本制・その後(上野千鶴子)
第2章 グローバル資本主義と再生産領域の金融化──「フェミニズムの相貌を気取る新自由主義」を異化するフェミニズムを(足立眞理子)
第3章 資本主義批判としてのフェミニズム──マルクス主義フェミニズムを振り返る(伊田久美子)
第4章 生産中心主義批判から,リベラリズムとの対抗へ──第二波フェミニズム理論はいかに継承されてきたか(岡野八代)
第5章 「男性稼ぎ主」型が命と暮らしを毀損している──社会政策の比較ジェンダー分析による洞察(大沢真理)
第6章 ケアの再公共化とフェミニズムの政治──福祉国家・ケア・新自由主義(山根純佳)
第7章 女性の貧困の再考察──長期時系列データから(阿部彩)
第8章 女性労働のゆくえ──能力発揮をフェミニズムはどのようにとらえるか(金井郁)
第9章 フェミニズムと戦争・軍隊──21世紀の新たな難問(佐藤文香・児玉谷レミ)
第10章 フェミニズムの新自由主義化に抗う──女性解放の現代的課題(三浦まり)
いまよみがえる、マルクス主義×フェミニズム
「日常化した女性差別へ抗う理論を必要とする人たちへ。
日本における売買春廃止論(アボリショニズム)の決定版の書!」(藤田孝典)
▼広がった格差の中で女性への差別と暴力を構造的にとらえながら、ネオリベラリズムがもたらした女性搾取のための詭弁「セックスワーク論」を正面から批判し、資本主義と男性支配という現代の二つの支配的な社会システムの悪辣さを白日のもとにさらす。
「本書はきわめて論争的な内容となっている。マルクス主義もフェミニズムも無数の論争を通じて自己を鍛えていった。両者をテーマとする本書が論争的でないわけがない。本書の立場に対立する人々、とりわけセックスワーク論を信奉する人々にとっては、本書は唾棄すべきものでしかないだろう。(中略)多くの敵対的諸関係に引き裂かれたこの社会において、誰かの憎悪と攻撃を受けることなくして、論争的テーマで何か意味のあることを語ることはできない」(「序文」より)
大注目のフェミニストが語り合う!
(目次)
第1章 フェミニズムに救われた
フェミニズムは生きるための心の杖だった
茶碗を洗いながら泣いていた母親の姿
良妻賢母の呪い
そもそもジェンダーって何? フェミニズムって何?
テレビは拡声器だった
30年前の予言がズバリ的中
第2章 結婚したい? したくない?
「女はパンを、男はパンツを」
配偶者控除はなくすべきか
稼いでいるから、ぶつかれる
一人の大黒柱ではなく、二本の柱で生きていく結婚
ジェンダーイコールな男子を一本釣り
資本主義社会での家事労働からの解放
自立して恋愛が必要なくなった
親から逃げるには結婚しかないのか
なぜ「男嫌い」にならなかったのか
血縁や結婚ではないつながり
昔は「女性は裏切るもの」と思ってた
フェミニズムと女友達
第3章 男女は見ている景色が違い過ぎる
ネット上での女叩き
パートナーにフェミニズムを説明するには
子どもへの性教育をどうする?
男性が弱音を吐くこと
男性にもフェミニストのロールモデルを
綺麗になりたい夫と剛毛でいたい妻
第4章 生きづらいのは私のせいじゃない
家族のあり方を問い直す
子どもを産み育てやすくするための政治
セクハラが女性のキャリア形成を阻む
夜職の女性たちへの職業差別
私たちの生きづらさは誰のせい?
女性議員が少なすぎる
生活が苦しいのは自己責任ではない
第5章 私たちの怒りは喉元まできている
学問ではないフェミニズムが響いた
#MeToo以降の最近のフェミニズム
一人一人に社会を変える力がある
投票率を上げる作戦
シングルイシュー政党を作る作戦
フェミニズムを前に進めるために
田嶋先生と二階堂ふみさんの対談が尊い
日本の女性が怒れるようになった(#私たちは寛大すぎる)
「女性たちよ、働く母になり、バランスよく幸せに生きろ」
20代ではキャリアを、30代では育児を。すべてが女性の肩にのしかかる「自己責任化」を促す、ネオリベラルなフェミニズムの出現とは? 果たしてそれはフェミニズムと呼べるのか? Facebookの元COOシェリル・サンドバーグやイヴァンカ・トランプらのエッセイ、マミー・ブログやドラマ等を分析し、若い女性たちに示される「幸せな」人生の選択肢とその隘路を問う。アメリカ・フェミニズムのいまを映し出す待望の邦訳。
「教育があり階級上昇を志向する女性を総称的な人的資本へと完全に変換してしまうことに対して、ネオリベラル・フェミニズムはある種の対抗として機能していると理解されねばらない(…)。ネオリベラル・フェミニズムは、逆説的に、また直感に反するかたちで生殖=再生産を「上昇志向の」女性たちの規範的な人生の道筋の一部として保持し、バランスをその規範的な枠組みかつ究極の理念とすることによって、ネオリベラリズムを構成する本質的な矛盾の一つを解消する手助けをする。」(本文より)
原著: Catherine Rottenberg, The Rise of Neoliberal Feminism, Oxford University Press 2018.
◎目次
序 章 ネオリベラル時代のフェミニズム
第1章 スーパーウーマンはいかにしてバランスを取ったのか
第2章 ネオリベラル・フェミニスト
第3章 ネオリベラルな未来性と総称的(ジェネリック)な人的資本
第4章 バック・フロム・ザ・フューチャーーー「いまここ」にむかって
第5章 フェミニズムの収斂(コンヴァージェンス)
第6章 フェミニズムを取り戻す
序 言
謝 辞
序 章 ネオリベラル時代のフェミニズム
第1章 スーパーウーマンはいかにしてバランスを取ったのか
第2章 ネオリベラル・フェミニスト
第3章 ネオリベラルな未来性と総称的(ジェネリック)な人的資本
第4章 バック・フロム・ザ・フューチャーーー「いまここ」にむかって
第5章 フェミニズムの収斂(コンヴァージェンス)
第6章 フェミニズムを取り戻す
訳者解題
注
文献一覧
事項索引
フェミニズムの大きな潮流を捉える
「いかなる社会や集団においても、あらかじめ定められたモデルなどは存在せず、女性の解放を訴える声は複数ある。その道のりは、一度きりの出来事で決まるようなものではない」(「日本語版まえがき」より)。
本書は、フェミニズムの歴史を世界規模で捉え、その多様性と発展を探究する。フランス革命期から現代に至るまでを三つの時代に分け、結婚、教育、参政権、生殖の自己決定権などのテーマを中心に、フェミニズム運動の進展とその背景を分析する。また、国際的な連帯や植民地主義などとの関係を描き、ブラック・フェミニズムやラディカル・フェミニズムの台頭も取り上げる。特にフランスにおいては、フェミニズムが国家形成や市民社会との関わりを深め、独自の歴史を築いてきた経緯を詳述する。
フェミニズム史を包括的に理解するための一冊。
[目次]
日本語版まえがき
序章 グローバルなアプローチ
第一章 男女平等の主張と女性の解放(一七八九年〜一八六〇年)
1 人権(男性の権利)と女性の権利
-アメリカおよびフランスの革命の潮流
2 フェミニズムと初期社会主義
3 改革派フェミニズム
第二章 国際化の時代(一八六〇年〜一九四五年)
1 ナショナルおよび国境横断的な集合的ダイナミズム
2 平等のための闘い
3 新しい女性たちと解放
第三章 男女平等と女性解放のために(一九四五年〜二〇二〇年)
1 改革派フェミニズムの連続性
2 フェミニズム運動のラディカルな刷新(一九六〇年〜一九八〇年)
3 フェミニズムの拡散と多様化(一九八〇年〜二〇二〇年)
結論
謝辞
訳者あとがき
参考文献