五人の若旦那が次々と謎の死を遂げた。辻斬り、荷車の事故、愛宕山の階段から転落死、川で溺死、火の見櫓からの飛び降り。共通していたのは野だいこの超弦亭ぽん助と遊んでいたことだった。江戸のお座敷を盛り上げる「たいこもち」こと幇間。正体を見せないその影を追う南町奉行・根岸肥前守と仲間たちがが辿り着いた闇とは。
足利八代将軍となる義政を育てた乳母の亥万。彼女はやがて、義政に閨の手ほどきをし、側女として政にも関わるようになっていた。正室の日野富子が待望の子を授かるが、産まれてきた赤子は呼吸をしていない。富子は、亥万の呪詛が腹の子を殺したのだと訴えてー。室町時代を舞台に人間の業と情を描く傑作歴史小説。
憧れの家庭教師だった真壁が結婚を前に脅されていることを知り、僕は尻込みする彼にかわり探偵事務所に調査を依頼。そこに現れたのは中学時代にいじめに遭っていた従兄をえげつない方法で救ってくれた先輩の理花だった。調査を進めるにつれ、見えてきた真実。背筋も凍るラスト。気鋭のミステリ作家による、衝撃の傑作長編!第5回未来屋小説大賞受賞。
神田明神の裏参道の石段を後ろ向きに降りて足を滑らせた老人には、他人には言えない秘密があったー。宮部みゆき「三島屋変調百物語」シリーズの最新作「氏子冥利」など、練達のベテランから新進気鋭の若手まで5人が、“江戸の祭り”をテーマに競作した出色のアンソロジー。時代小説の粋を味わえること請け合いの一冊!
夏休みでバイト中、ひょんなことから大学生・翔太郎はセーラー服の女子高生・絵里香と皐月のヤクザの娘たち(最強姉妹)と知り合う。思いがけず狂言誘拐に担ぎ出され、右往左往するはめに。そして、殺人事件が本当に起きてしまい…。下関の港を舞台に攻防戦が繰り広げられる本格&旅情&ユーモアミステリ。
庭で嗤いながら刀を振り廻し家来を斬った若い侍が父親に成敗された。彼を錯乱させた背後には何やら怪しい秘薬の影が。一方、秋山久蔵は十年前に島流しになった浪人の女房・おそのの様子がどこかおかしいことを聞く。普段は慎ましく暮らす女を尾行てみると、男から小さな紙包みを手に入れていた…。人気シリーズ第十八弾。
1968年、後に「千里見の七夕崩れ」とよばれる大型台風による土砂崩れで町は多数の死者・行方不明者を出した。20年後、同じ町の旅館の娘・清田千遙は、東京からやってきた大学生・坂井裕二と出会う。裕二はなぜか夜ごと町を徘徊していたー激流に飲まれた運命がやがて大きな感動へとたどり着く、著者渾身の青春ミステリー!
仕事を失い落ち込む優彩の元に、見知らぬ旅行会社から「アート旅」のモニター参加の招待状が届く。行先は瀬戸内海の直島。そこでツアーガイドに導かれ美術館を巡るうち、生きるヒントが見えてきて…。頼れるガイド・桐子が、人生に迷える旅行客に寄り添い、全国各地の美術館へと誘う。藝大出身の著者が贈る優しい連作短編集。
2004年、無職の自称文学研究者だった北町貫多が書いた小説が、初めて大手文芸誌「文豪界」の誌面を飾った。後に芥川賞作家となる貫多が、女性への懸想のままならぬ行方に煩閃しつつ、“輝かしい新進作家”を目指して進む37歳の日々を描く、遺作となった傑作長篇を文庫化。ヒロイン・葛山久子による特別原稿を巻末に収録。
「平凡であることが君の武器だ」-日本人の心を震わせ続けた作家の原点となった珠玉の言葉たち(「日本のこころ」)。90歳を前に、結婚、直木賞、コロナ下の日々、大切な思い出をつづった軽妙な人生エッセイ(「嘘かまことか」)。「老いては子に従え」他、単行本未収録の最晩年エッセイ4本も追加、平凡の尊さが沁みる感動の一冊。
テリーが少年の遺族によって殺された。警察は捜査の終結を宣言するが、刑事ラルフは遺和感を覚える。探偵の手も借り独自に再捜査をはじめたラルフ。過去の類似事件を辿る中で、他人の姿に変身し凶行に及ぶ“アウトサイダー”の存在が見えてきて…。恐怖の帝王が圧倒的緊迫感で不可能犯罪を描く、傑作巨編。
江戸・三十間堀の小さな町道場が、怪しい証文を盾にした男たちから狙われている。道場主と孫娘の愛を救うため、十八歳の駿太郎は名を秘して入門する。親分や読売屋と協力して活躍する息子を見守るおりょう、隠居を考える小籐次。しかし親子への挑戦状がー伊勢まいりが大流行する中、あの鼠小僧も登場!?恋と勝負と涙の感動作。
平穏な町で起きた、11歳の少年の惨殺事件。ラルフたち地元警察は、複数の目撃証言を得て、高校の教師で少年野球のコーチとしても慕われるテリーを逮捕した。しかし、彼には完璧なアリバイがあることが判明する。自身の潔白を主張するテリー。一方で、異常犯罪への憎悪を募らせる遺族と住民たち。そして、町を新たな悲劇が襲う。