銀座の高級クラブで放火事件が発生しオーナーの野村真沙美が焼死した。捜査にあたった刑事・滝上亮司は真沙美がかつて父の愛人だったことを知る。若い頃、父から勘当された滝上は父の破滅を願い、事件を復讐の機会ととらえ捜査を進めるが、やがて封印した自らの“汚れた過去”とも向き合わざるを得なくなる。
父の跡を継ぎ、南町奉行所定町廻り同心となった朝比奈凜之助。剣の腕は立つが、心優しき若き同心には、胸に秘めた想いがあった。正義感溢れる兄は、ある不正を調べていたが、二年前、材木の下敷きとなって亡くなった。果たして、あれは事故だったのか?執念の探索の末、凜之助は謀殺の証拠を掴みかけるのだが…。シリーズ第三弾。
平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、元不倫相手を見返したい料理研究家…きっかけはほんの些細な秘密だった。保身や油断、猜疑心や傲慢。内部から毒に蝕まれ、気がつけば取返しのつかない場所に立ち尽くしている自分に気づく。凶器のように研ぎ澄まされた“取扱い注意”の傑作短編集。第164回直木賞候補作。
イスラエルのナザレ近郊で“キリストの乳歯”が発掘された。その歯からはホモサピエンスとは異なるDNAが検出された。人ならぬ神の実在が証明されたとして世界中で宗教ブームが湧き起こる。神とは現生人類以外の人類なのか?一方、東京の南360キロの絶海に浮かぶ“鬼の棲家”青ヶ島では、不可解な事件が起こっていたー。
霊能力の高さに悩む一華と逆にその力を失った翠のコンビは、投身自殺が相次ぐ雑居ビルの心霊調査をする。どうやら生前は名カウンセラーだった人物の悪霊がそのビルにとり憑いているらしい。一華は手ごわい霊を無事に「回収」することができるのか。ピンチの連続に一華と翠の関係にも変化が?好調書き下ろしシリーズ第二弾!
「吉祥天女の再来」と男どもに騒がれる船宿の女将の凄惨な過去とは(「深く忍恋」)。怪談画の注文を受けた絵師の前に現れた童女の正現は(「さらやしき」)。そして心中未遂で有名になった遊女・梅川に憧れる端女郎の珍道中を描く「梅川忠兵衛」など、切なく、哀れで、とても愛しい、浮世絵から生まれた傑作七篇。
壊れかけた小さな家族をつなぎとめたものは、映画だった。映画人の熱い想いと挑戦を描いたヒューマンドラマ「キネマの神様」は、山田洋次監督の手で原作小説に大幅に手を加えられ、コロナ禍下で製作された渾身の名作。その映画に感銘を受けた原作者の原田が、映画をみずからノベライズ。映画を愛する全ての人に捧げる物語。
51歳の若さで急逝した、昭和を代表する脚本家であり、小説家の向田邦子。頑迷で威張り散らす苦労人の父の姿を温かくユーモラスに見つめる「父の詫び状」をはじめ、歯切れの良い文章で、日常の断片を切り取る。懐かしく胸に迫る、今もなお人気の高い随筆を小池真理子が読み込み、年代順に編んだ珠玉の一冊。
松任谷由実プロデュースの名曲「雨音はショパンの調べ」で鮮烈な印象を残し、「女が女に憧れる」ロールモデルを作るも、1991年に突如芸能界を完全引退した伝説のミューズ、小林麻美。25年の沈黙を経て、極秘出産、結婚、復活の舞台裏、ユーミンとの再会を語り尽くす。作家にしてTOKYO FM名プロデューサーによる評伝。
キャスターから国会議員へ転身、大臣、さらには都知事へと、権力の階段を駆け上ってきた小池百合子。しかしその半生には、多くの謎が存在する。「芦屋令嬢」時代、父との複雑な関係、カイロ留学時代の重大疑惑ー彼女は一体、何者か?徹底した取材に基づき、権力とメディアの恐るべき共犯関係を暴いた衝撃ノンフィクション!
幼少期に父親からサバイバル訓練をうけたコルター・ショウはその能力を発揮し、連続誘拐事件の真相を追う。あるゲームを想起させる事件現場。残忍な舞台を設定した真犯人とはー?シリコンヴァレー、そしてゲーム業界の光と闇を鮮明に描きながら、どんでん返しが読者を翻弄する、ディーヴァーの真骨頂!
シリコンヴァレーで19歳の女子大学生が失踪した。警察は事件性はなさそうだと判断するが、単なる家出ではないと考えた父親が1万ドルの懸賞金を設ける。人捜しの懸賞金ハンターであるコルター・ショウは彼女の行方を追うが、事態はやがて連続誘拐事件に発展し、死者が出るに至り…。新たなヒーロー誕生。新シリーズが開幕!
結婚が決まっていた親友の死に疑問を抱き、ライターの池尻淳之介は真相を探り始めた。“婚約者”牧村花音は、複数の交際相手を騙し、練炭自殺に見せかけて殺害したとして起訴される。そして迎えた初公判の日、傍聴席で被告を真剣に見つめる四人の女ー。貴方もきっと翻弄される、先読み不能の傑作ミステリ。
寄せ鍋、湯豆腐、ちゃんこなべ。豚肉とほうれん草だけの常夜鍋もあれば、鶏で水炊き、牡蛎を入れたり、鱈を入れたり魚介も美味しい。キムチでチゲにしたり変わり種でチーズフォンデュ風?鍋をした後の〆もお楽しみ。タレも具材も、自分だけのアレンジで可能性は無限大!身も心もあったまる、とっておき鍋エッセイ37篇。
「何が京都画壇に近代化をもたらしたか」という問いに対して、従来の研究では、竹内栖鳳の渡欧(一九〇〇年のパリ万博視察)が重大な契機であったと語られてきた。本書は、高島屋史料館が保管する輸出向け染織品の下絵など関連資料を駆使して、栖鳳が渡欧以前に高島屋画室において行った活動を復元し、画室における下絵制作の実践こそが栖鳳の画風を進化させ、京都画壇の近代化を導いたということを明らかにするものである。