対談者ー田辺聖子、織田正吉、村田幸子、西阪広、水上勉、中上健次、松本健一、高山直子、吉田善哉、桂三枝、森南海子のみなさんー。遠く深い生人の歩みを通して語られる「このひとこと」を聞く、よろこび。作品背後の実生活とみずからの「使命と宿命」を素直に語る、さわやかさ。-注目の作家のすべてを伝える対談集。
「道」の哲学の壮大な眺め。老荘の「道」の哲学の「斉」「即」の論理とその現代的意味を論じ、老荘道教の土壌に育った漢訳仏教の特質を考察し、書芸術に「元」の哲学を見出す。中国思想哲学研究の結晶。
鴎外、漱石をはじめ本郷に住んだ文人たちや伯父佐々醒雪、父母のこと、個人的な体験など、本郷を中軸に据え、そこにかかわる様々を語りながら、時代を生き生きと甦らせ、半生を映し出して行く。私が本郷を所有するのか、本郷が私を組み込むのか本郷に染着する文化を見事に描ききる『夕鶴』の作者の限りなき本郷愛着の記。
海軍予備学生に志願し従軍した牧野の青春は敗戦とともに打ち砕かれた。心は萎えていたー。身内に暗い苛立ちを棲みつかせ、世間に背を向け頑なに生きる男。短気で身勝手で、壮烈な暴力をふるう夫に戸惑い反撥しながらも、つき従う妻。典型的な夫婦像を描く作品の底に、亡き戦友への鎮魂の情を潜め、根源的な哀しみを鋭く突きつける傑作長篇。
弾雨のなかで輝いたキャパは戦雲おさまって模索の日々に入る。スタインベック、バーグマンとの邂逅、そして運命的な死に至る“光と影”。
“もっと単純に生きられたら”-。息子の受験、母の死、自身の心臓病など二年半の日々を、静かに、淡々と融通無礙に綴る、阿部昭の“自然と人生”。凛然たる精神、深く滲み出す人間理解のユーモア。阿部文学の静かで豊かな達成ー。
天皇はどうなるのかー太平洋戦争終戦で焦眉の急となった天皇制の問題。存続をはかる昭和天皇の側近たち。占領政策に天皇を利用しようとする占領軍。かくして天皇家の“密使”たちとGHQのひそかで熱い接触が始まり、人間天皇が誕生した。関係者の証言、新資料で初めて明かされた占領時代の皇室秘史。
自己形成の原点ーサハリンへの2週間の“帰郷”の実現。祖母、義姉、親族、同胞達との交歓。言葉なき言葉ー“陸封”34年を隔て異郷の地に再会した離散一族、民族の“それぞれの立場”を抱擁し、アイデンティティ同一性を真摯に追求しつづける、李恢成積年の願望ーパルチャ(運命)の旅。
友だちだから撮れたプライヴェート・ショット200点。こんなマリリン、知ってますか?
ベラスケスの最高傑作と称されながら某家に二百年間死蔵されたままだった幻の名画「侯爵令嬢」が突然売りに出た。メト、ナショナル・ギャラリー、ルーヴル,エルミタージュ…世界中の有名美術館が色めきたったのも無理はない。「謎の十字架」の著者が、元メトロポリタン美術館長の体験をいかしてあばいた、美術界の魑魅魍魎。
「庶民の宮様」として社会の現実に目覚めた弟と、宮中にあって立憲君主に徹した兄。天皇家と兄と弟の“相克と協力”の実相を描いた力作評伝。
ジェイソン少年は6歳のときに、ガンにかかっていることが発見されました。その日から始まった、長い、苦しい闘病期間の間、「ぼくが元気になったら、みんなに小児ガンはこわくないっていうことをしらせたい」と思いました。そして、退院して元気になった今、兄弟が描いたイラストと共に、感動的な手記をつづり、世界の人々に訴えます。
破綻した夫婦関係を解消すべく京都に“離婚旅行”にやって来た人気女優沖田カオルと映画監督の藤田雅也。そのカオルの付人亜美がバラのトゲに塗られた毒物で死んだ。続いて起きる連続殺人事件。芸能界の裏に錯綜する複雑な人間関係が捜査の進展をはばむ。ご存じ京都府警・橋口警部補とその恋人リカが大活躍。