「グリーン・ゲイブルス」「輝く湖水」「恋人の小径」「雪の女王」…名作の舞台を美しい写真でたどる
長春からかろうじて脱出を果した一家が、朝鮮国境に近い延吉までたどりついた時、栄養失調の上に全身を結核菌に冒されて、少女は危い状態にいた。奇跡的に本復を遂げた後も、彼らにはまだ様々な災厄が待ちかまえていた。革命の洗礼、朝鮮戦争の勃発。戦後中国に留まったある家族の苛酷な体験をつづった衝撃のドキュメンタリー。
豪華絢爛たる西陣織の老舗の当主小林総佐衛門。その周囲で連続殺人事件が次々と起こる。久々に来日したキャサリンは大張り切り。小林家の複雑な人間関係に迫るうちに、意外な事実をつきとめる。茶室内での密室トリックを解くかぎはー。古都・京都の美しさのなかにくりひろげられる本格ミステリーの傑作。
現代は、カラー時代といえる。現代人はカラーの夢を見るようになったと心理学者は指摘する。このような社会環境や個人生活での色彩化現象は、世界的に進行している傾向である。これを「色彩革命」と呼ぶ人も多い。ニュートンは「色彩は光そのものである」といったが、たしかに色彩は光の本質である。と同時に、現在の科学は「光は生命の本質であり、生命は色彩である」ことを明らにしている。現に私たちの体の器官はそれぞれ特定の色彩を持っている。このような新しい観点から、カラー時代を生きる個人、企業に応える『色彩学』を展開してみた。
著者の故郷を舞台にそこに住む人々とその暮しを描く。厳しい自然と対峙する強靭な生命力のしたたかさ。優しく哀しくユーモア滲む短篇の名手・三浦哲郎の瑞々しき豊饒の世界。「金色の朝」「がたくり馬車」「沈丁花」ほか〈故郷〉の匂い染み込む作品群十六篇。新境地を拓いた著者ならではの短篇集。
父をこよなく愛した幼、少年の日々。敗戦により海軍軍人であった父の失職の帰還。失意と家庭の不幸を耐えた父のストイシズム。人間の魂の高貴を平明、粉飾なき文体で描く秀作群。惜しまれて急逝した不朽の文学者魂・阿部昭の世界。
さまざまな情事を仕組むことにより、妻を自殺へと導く男の奇妙な心理を追う表題作ほか、男女の関係をミステリアスに描く最新作品集。
“人間の存在的な渇望は現実以上に真実である”我々の現代と西欧の現代ーその背後に脈々と流れる我々が“本能的”に持つ汎神的血液と西欧の一神的血液。生涯のテーマ=日本人であり、カトリックであることを追求する著者の最初のエッセイ「神々と神と」をはじめ、遠藤文学を確立した昭和40年代までを新編成。文学と信仰の原点と決意を語る熱きエッセイ。
硫黄島、沖縄、そして本土と日本軍が後退を続ける中、懸命の奮闘を続ける零戦搭乗員と技術者たち。零戦をめぐるドラマを軸に,日米決戦を今日的な複眼の視点から描く渾身の力作。
まだ焼け跡の残る敗戦直後の東京の町の片すみで男は恋を知りそめたばかりの盲目の少女と出会い、抱いた少女の裸身の背後に、朽ち果てた無惨な女たちの尸(しかばね)の幻影を見る。恋の道ゆき、地獄廻りのものがたりに、人間の哀しさ、愛しさと残酷さを容赦ない筆致で剔出する『風流尸解記』。芸術選奨受賞。『蛾』『手』『心猿』『姫鬼』『獲麟』『樹懶』の六短篇を併せて優れた現代詩人金子光晴の遺した全小説7篇を集成。
幕臣落語家“三笑亭可楽と三遊亭遊三”。江戸市中に爆弾を仕掛けた可楽、彰義隊士、判事補の経歴をもつ遊三、時代の波に翻弄された異色の落語家。
学生時代から仲の良い京都のOL三人組が、NTT株で儲けたのをきっかけに株を始めた。ところが、証券会社との連絡役を頼んでいた仲間が何者かに殺され、さらに株が暴落した翌日に担当営業マンの一人が謎の自殺。マネーゲームを背景に起こる奇妙な連続殺人…。推理しながら株が分かる財テク・ミステリー。
恒常的モノ不足と紙屑同然のルーブル。第一級の基礎科学とお粗末な技術。社会社義70年の実験はなぜ失敗したか。ソ連人経済学者が、生々しい体験からソ連経済の病根と復活の可能性を語る。