素朴な中にも、どこか優雅なものがあり、ロマンの色濃いアジアの伝統芸能。日本芸能との類似に驚倒。
電子工学・電子産業という言葉を日本で初めて使ったTVアンテナ発明者。湯川秀樹、江崎玲於奈、西沢潤一らを表舞台に登場させた名伯楽。説得力、交渉力に富んだ名組織者。八木秀次の波瀾の生涯を軸に草創期日本エレクトロニクスの歩みを辿る書き下ろし力作。
企業は「環境の変化に適応して自己変革するシステム」といえる。日本海軍もまたそのひとつであったはずなのに、その指揮官たちはついに自己変革できないままに終り、帝国海軍は崩壊した。海軍大学校のエリート教育が生んだ10人の代表的参謀を俎上にのせ、彼らの失敗を今日的視点で検証して明らかにする「幹部の条件」。
ヴェールをはずしたロシア人の母なる都モスクワの素顔。
雲仙普賢岳でなにが起きたのか。大自然に呑み込まれたカメラマンたちの生と死。そして大惨事のあとに…。
江戸の残照を映す下町と新興の山の手-。明治維新から大震災にいたるまでの東京は、新と旧、洋風と伝統の風俗文化が渾然と融けあう不思議な魅力を醸しだしたひときわ鮮やかな光芒を放つ都市であった。江戸の町からモダン都市へと変貌していく東京の原風景をアメリカ日本文学研究の泰斗が深い愛着をこめて描いた香気あふれる傑作。
1945年4月、ソ連軍はベルリン総攻撃を開始、独軍は劣勢ながらも必死の防禦戦を展開するが、エルベ川で西部の米軍と東部のソ連軍の連繋がなり、独軍は南北に分断される。激闘のベルリン包囲戦の中で、ヨーロッパに新秩序確立を夢みたヒトラーは非命の到来を覚悟し、愛人エバとともに自決、波瀾に富んだ生涯を終える。完結篇。
何故、35歳の富裕な株式仲買人ポール・ゴーギャンが突然、その職を投げ打って、画家をめざしたのか?“野蛮人”たらんとした文明人、傲岸と繊細、多くの矛盾、多くの謎を孕んで“悲劇”へと展開するゴーギャンの“世界”。著者の詩魂がゴーギャンの魂の孤独、純粋な情熱、内なる真実と交響する。文献を博渉し、若き日の“出遇”から深い愛情で育んだ第1級の評伝文学。毎日出版文化賞受賞。
高度成長の出発点となった巨大プロジェクトを成功させた男たちの感動の軌跡。零戦から新幹線へ。国産技術が再び世界を凌駕した。
イタリアはもとより世界を震撼させたファルコーネ判事の爆殺事件。死の数ヵ月前、判事みずからが徹底暴露した世界最大の犯罪結社の全貌。イタリアで6ヵ月間ベストセラー。
〈前近代的なものを否定的な媒介として近代を超える〉。著者の生涯を貫ぬいて実践された主題に添って書かれた「柳田国男について」は、柳田国男の現代的な再発見を促がし、フォークロアや口承文芸、〈近代〉から排除されたB級文化話芸などが教養主義的価値観から解放され陽の目を見た。活字中心の価値観に、根柢的改変を迫った衝撃的エッセイ。
“最後の文士”と謳われた高見順が、食道癌の手術前後病床で記した絶唱63篇。野間文芸賞受賞。
万人の作者となり、最多上演作者として逝って百年の今なお生きる、河竹黙阿弥。秘蔵の原稿・手記をもとに曾孫がやさしく語る義理と恩義に厚い〈忍〉から〈容〉への七十八年の生涯。
京都所司代・板倉勝重の片腕として存分な働きをした算長は、おうのと共に江戸へ下る。江戸には以前からの愛人・蔵人がいた。お互いが気づかぬよう細心の注意を払いながら、算長は江戸警固につとめ、盗賊集団の頭領・風摩小太郎と対決し、打ち果たす。またもや特命が下り、おうのを連れ、算長は京都へ向う。
戦後文学を代表する批評家である著者は、多年にわたる内外の映画批評を通して、独自のリアリズム理論を構築した。1950年代イタリアのネオ・リアリズム映画に始まるヴィスコンティ、ロッセリーニ、フェリーニらの卓越した映画技法をそれぞれの代表作について具体的に論じ、さらに日本映画の特質と可能性に言及する。時代を映す鏡として、今や最大の大衆文化に発展した映画への同時代批評の集大成。
大江健三郎、村上春樹、藤沢周平、E・ホッパー、つげ義春、横山操、黒沢明…。愛する作家・芸術家たちをまったく新しい角度から論じた、目からウロコが落ちるような評論集。