補佐官たちの激論火花散る議会工作大統領の癇癪、そしてそのときヒラリーは…部外者オフ・リミットの現職大統領の聖域をスリリングにあばく。
生粋の軍人でありながら司法大臣として司法に心血を注いだ軍人政治家、日本大学の創立者山田顕義の激動の生涯を描く書下ろし長篇歴史小説。
同時代の文士や思想家、政治家の行動、「そのつながりや関係や影響を明らかにすることに全力をつくした」という菊池寛賞受賞の伊藤整畢生の明治文壇史・全十八巻の“1”。仮名垣魯文、福沢諭吉、鴎外、柳北、新島襄、犬養毅ら、各界のジャーナリズムを動かした人々。坪内逍遥の出現と、まだ自己の仕事や運命も知らずに行き合う紅葉、漱石等々を厖大な資料を渉猟しつつ生き生きと描写する人間物語。
20世紀最大の画家パブロ・ピカソ。レンブラント、エル・グレコ、ベラスケス、マネなど、過去の多くの作品に触発されたピカソは、それらを独自に消化し、自らの作品としてまったく新たに開花させた。絵画のデーモンにとり憑かれた天才は美術史といかなる対話を交わしたのだろうか?稀代の画家・ピカソの創造性・人間性の本質を浮き彫りにする。
大航海時代に本格化した西洋文明の東漸は産業革命によって加速され、アジア諸国の社会的・政治的伝統は深刻な危機に直面した。その中でなぜ、ひとり日本だけが西欧の衝撃によく対処しえたのか-豊かな歴史的蓄積と日本への深い愛情のもとに、二つの文明の衝突と融合の歴史でもあった日本の近代史を美しく知的な文章で描き出した先駆的労作。上巻は初期の地中海文明のアジアとの接触に始まり、キリシタン時代の中国と日本におよぶ東西文明交流を浮き彫りにする。
昭和11年(1936)年、吉田茂は駐英大使に任ぜられた。折りしも、日独伊防共協定の締結(1936年)、日中戦争の勃発(1937年)によって対米英関係の緊張が最も高まった時期である。外交という手段によって、何とか米英との戦争突入を回避しようとする吉田の努力もむなしく、破滅への道をひた走る日本。炯眼にもこの戦争の無謀を予測していた吉田は、天皇に戦争終結を直言した。いわゆる「近衛上奏文」に関係した廉で憲兵隊に拘束を余儀なくされてしまった。そして、昭和20年(1945)年の終戦とともに外相に就任、いよいよ激動の戦後政治が幕を開ける。
英文学教授水科恭子の息子正治を偲ぶ会の当日、その会場となった教室で、幽霊騒ぎがあったり、女子学生が刺されたり、“水科先生は講義中に殺されます”という電話があったりで、学園は大混乱となった。事件は大学の学部長選挙がらみとあって、永井夕子とオニ警部宇野喬二の名コンビは大ハッスル。好評シリーズの第7弾。
東に美女あれば歓を尽くし、西に異才あれば耳学問に励むー。好奇心と下心のおもむくままに東へ西へ、今をときめく面々と丁々発止。さくらももこに弟子入り宣言するかと思えば、宜保愛子にはもっと女にモテルよう守護霊に頼んでもらう始末。暴論、珍説、すっぱぬき、失敗談に霊視まで、狐狸庵の真骨頂、何でもありの対談集。
一九三三(昭八)年、英国留学後に上梓、幾多の詩人達に衝撃的影響を与えた日本語第一詩集『Ambarvalia』(「アルバルワリア」)。「旅人は待てよ/このかすかな泉に/…」ではじまる東洋的幽玄漂う長篇詩、一九四七年刊『旅人かへらず』。対照的な二冊に時に燿き時に沈潜する西脇順三郎の奔放自在、華麗な詩想とことばの生誕の源泉を見る。日本の現代詩最高の偉業二作を完全収録の文庫版。
“あたかも衆俗の安易な理解を拒むかのように”、また、“佶屈を以つて武装し、晦渋を以て身を護る”と評された、自己の美学を貫ぬき通した詩人にして、碩学、秀抜な批評家・日夏耿之介のE・ポオの訳詩と、O・ワイルドの詩劇の名訳。前人未踏の独創的な視覚と聴覚の綜合美の世界。
日本民俗のルーツである天孫族はシュメールの祖である中央アジア・ツラン(天の子)の末裔だった。BC3000年、砂漠の民ユダヤに盗み取られ、日本に封印されたシュメール文明の痕跡を、聖書・超古代文献から鋭く追究する。
昭和35年、北朝鮮帰国運動に加わって渡北した元在日朝鮮人が金日成体制に幻滅して韓国に亡命するまでの苦難にみちた34年間の手記。
本書は手話を言語として扱ったものとしては日本ではじめての、本格的な手話の入門書である。
十歳の少年ジャスティンは両親の突然の離婚話で子供心に胸を痛める毎日。そんなある日ふと目にしたテレビ番組で、“悪魔”と恐れられる有名弁護士が自分と同じ気持を語っていた。「もう離婚にはうんざりだ」と。ぼくの味方はもう“悪魔”しかいない。早速、ジャスティンは手紙を書いたが…。ほろ苦いユーモアの風刺コメディ。
1936年、若き毛沢東にひきいられた中国紅軍は、1年にわたる長征を終えたばかりだった。この時スノーは、外国人ジャーナリストとしてただ一人中国北西部の紅区に入り、4カ月間かれらと生活を共にし対話した。新しい中国を築こうとする人びとのありのままの姿を行き届いた理解にもとづいて記録した本書は、指導者から無名の少年まで、かられの言葉と行為を世界にはじめて紹介するものとなった。下巻でスノーは、いよいよ紅軍の前線部隊を訪問し、兵士たちの生活と考えをくわしく見聞きする。
金融市場の混乱が引き金になって、貿易危機、失業、経済難民、民族紛争…と絶望の暗い雲がヨーロッパを覆う。フランスとドイツはその軍事力と経済力を背景に、それぞれの野望をふくらませる。そして、1998年、世界は未曾有の危機に瀕した。トム・クランシーが“テクノ・スリラーのエース”と絶賛するラリー・ボンド第三作。
欧州同盟の盟主として、フランスが東欧諸国を力でねじ伏せようと画策したことから、あっという間に戦火はヨーロッパ各地にひろがった。さらに英米連合に対する戦況の不利を逆転するため、ロシアを巻き込もうとするが…。米軍戦争シミュレーターとしてのキャリアをいかんなく発揮した、ボンドならではの白熱の戦闘シーン。